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それから、彼ととわは結局、木戸番の者に話を聞くことなくその場を去ることとなった。
やじ馬もそれなりに集まり人の目を引いてしまっていた。町方に捕まることを危惧し逃げ出さなければならなかったのだ。
三
結局、あき以外の人間と会うこともなかったため――岡っ引たちの襲撃は“会った”うちには入らない――たいした疲労もなく、めずらしく宗左衛門は夕餉を作る気になった。
帰宅した妹はこちらが常日頃に比べて随分と早く起きていることに驚いていた。
そんな彼女に、今日は夕餉は自分が作る、と告げたところさらに驚愕したようすを見せたあと、
「ま、まあ、本来はお役目も放り出して暇を持て余しているのですから、それぐらいして当然です」
などといわれてしまったが。
褒めて欲しいとは思わないが、なにも憎まれ口を叩かずともいいだろうにと少し沈んだ気分になるのを宗左衛門は感じた。
米を炊き、魚を焼き、とわが余分に作っていった味噌汁を温めて、こちらも残っていた煮物を器に盛って夕餉は完成する。それらを箱膳に並べて居間でとわとともに食事をとった。
「兄上の作る煮物はかような味でしたか」
煮物を口にしたあきが怪訝な顔で問うたので、宗左衛門は背筋に寒気が走るのをおぼえる。
やじ馬もそれなりに集まり人の目を引いてしまっていた。町方に捕まることを危惧し逃げ出さなければならなかったのだ。
三
結局、あき以外の人間と会うこともなかったため――岡っ引たちの襲撃は“会った”うちには入らない――たいした疲労もなく、めずらしく宗左衛門は夕餉を作る気になった。
帰宅した妹はこちらが常日頃に比べて随分と早く起きていることに驚いていた。
そんな彼女に、今日は夕餉は自分が作る、と告げたところさらに驚愕したようすを見せたあと、
「ま、まあ、本来はお役目も放り出して暇を持て余しているのですから、それぐらいして当然です」
などといわれてしまったが。
褒めて欲しいとは思わないが、なにも憎まれ口を叩かずともいいだろうにと少し沈んだ気分になるのを宗左衛門は感じた。
米を炊き、魚を焼き、とわが余分に作っていった味噌汁を温めて、こちらも残っていた煮物を器に盛って夕餉は完成する。それらを箱膳に並べて居間でとわとともに食事をとった。
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