切支丹陰陽師――信長の恩人――賀茂忠行、賀茂保憲の子孫 (時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走

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 至上の教えのひとつとして先の言葉をヴィレラに教えられている。だが、現実の門徒はどうだ。
 なるほど、危害をくわえるものをしりぞける場合は手をあげるのもしかたがないのかもしれない。しかし、死者を異教徒だからといって蔑むその姿は、それこそ司祭(パードレ)の忌む悪魔にしか見えなかった。
 因習によって「遊女の血の流れる者」として蔑まれた在昌にとって、先人の教えだからと盲目的に他者を蔑視するカブラルの態度はあきらかに誤ったものに映る。
 いずれ、たもとを分かつことになろう――そんな未来を彼は予見した。

   終章

「父上、一大事にございます」
 十一歳になった在昌の次男が血相を変えて教会堂に飛び込んできた。
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