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「いかさま、織田上総介殿にご助力つかまつりやす」
そして、真剣な顔つきとなって彼が明かしたのは衝撃の事実だ。
「浅井・朝倉の両家が織田家を撃滅せんとせまってあらしゃる」
前久の言葉に在昌は苦い気持ちを抱く。
当事者である織田家家中であれば目の前の本願寺勢に対応することに忙殺され余のことを考える余裕はないはずだ。だが、あくまで第三者に近い立場にいる在昌にはそういった勢力に目を向ける心のゆとりがあった。前久が告げたような事態をあらかじめ予想していた。
「紀州の門徒が本願寺へと向かってあらしゃいますし、伊勢長島、近江の門徒も挙兵いたしやす」
紀州の門徒となると厄介な雑賀衆が動くであろうな――。
さらに、伊勢長島、近江の門徒の動向によっては織田勢は尾張・美濃への道を断たれ京と摂津に封じ込められることになる。そして、浅井・朝倉勢に不意打ちを仕掛けられることがなによりの致命打となるはずだ。
「織田上総介殿への仲立ち、しかと頼みまする」
「お任せあれ」
前久の言葉に応じながらも在昌の意識はすでに信長のもとへ飛んでいる。それほどに強烈なあせりをおぼえていた。
そして、真剣な顔つきとなって彼が明かしたのは衝撃の事実だ。
「浅井・朝倉の両家が織田家を撃滅せんとせまってあらしゃる」
前久の言葉に在昌は苦い気持ちを抱く。
当事者である織田家家中であれば目の前の本願寺勢に対応することに忙殺され余のことを考える余裕はないはずだ。だが、あくまで第三者に近い立場にいる在昌にはそういった勢力に目を向ける心のゆとりがあった。前久が告げたような事態をあらかじめ予想していた。
「紀州の門徒が本願寺へと向かってあらしゃいますし、伊勢長島、近江の門徒も挙兵いたしやす」
紀州の門徒となると厄介な雑賀衆が動くであろうな――。
さらに、伊勢長島、近江の門徒の動向によっては織田勢は尾張・美濃への道を断たれ京と摂津に封じ込められることになる。そして、浅井・朝倉勢に不意打ちを仕掛けられることがなによりの致命打となるはずだ。
「織田上総介殿への仲立ち、しかと頼みまする」
「お任せあれ」
前久の言葉に応じながらも在昌の意識はすでに信長のもとへ飛んでいる。それほどに強烈なあせりをおぼえていた。
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