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 皮肉なことにそんな折にアルメイダと再会することとなる。彼がデウス堂をおとずれたのだ。
 こちらの昏い表情を目の当たりにした彼は開口一番気づかわしげな顔でたずねる。 
「なにか悩み事があるのですか」
 アルメイダの問いかけに在昌はしばし逡巡した。余人に告げてどうにかなるものなのか、そういう考えが頭をよぎる。
 しかし、懊悩はひとりで抱えるには重かった。脳裏に宗麟の孤独な影が浮かんだのも一因ではある。
「この死者たちはわたしが御屋形様に献策した軍略が遠因となって生まれました。これは罪なのでしょうか」
「罪ではありません、マノエル」
 かすれ気味の在昌の問いかけに、アルメイダは力強く首を左右にふった。
「それはなぜです」
「あなたは彼らに怒りや憎しみを抱いていましたか。欲望のために動きましたか」
 アルメイダの質問に在昌は「諾」と答えることができない。
“欲望のために”という部分は当てはまるためだ。大友宗麟に歓心を買おうという魂胆があった。元商人として人の心の機微に通じたアルメイダが、敏感にこちらの心のうちを察する。
「あなたは大友家を守ったのです。大友家を守ることは我ら切支丹を保護することにも通じるのです」
 励ますように彼は言葉をかさねた。
「しかし、武をもってことに当たることは主の教えに反することではないでしょうか」
「悲しいことですが、そうせねば無辜の者の命が失われます。こんな悲劇を減らすためにも天下にあまねく主の教えを広げることが必要なのです」
 アルメイダのせりふに対し、在昌はとっさに「そうなのだろうか」と思った。
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