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 伴天連(バテレン)とは身なりを異にした南蛮人たちが鉄砲を手に周囲を睥睨していた。彼らは商船の船員たちだ。門徒の襲撃から施設や耶蘇教門徒を守るために司祭(パードレ)の依頼で警固に当たっている。その姿は頼もしくもあるが、同時にそんな者たちを駆り出さねばならないことが悲しくもある。
 隣人を愛せと教える耶蘇教がなにゆえかような手立てをもちいねばならぬ――。
 しかし、そもそもが伴天連(バテレン)は大砲と鉄砲に守られた船ではるか遠くから海を渡ってくるのだ。日の本にやって来る時点で教えに大きく背いており、それが現実というものだった。
 さらに切支丹だけでなく、仏門の者たちにも沈鬱な気分にさせられている。
 なにも、大友家が毛利との戦いで危機に瀕するなかでかようなふるまいに出ずともよかろう――人間の欲望というものは分別すらもなくさせるのか、と人という存在そのものに幻滅を感じざるを得ない。
 それに、こうして府内にいることで在昌が大友家の勝利に与する機会は失われる。そのことが物憂くもあった。向後、自分が生きているうちに好機は到来するのか、それまで妻は無事にいてくれるのか、そもそも肝心の大友家が存続できるのか。
 様々な思いが絡み合い気分を重くする。特に成果を出すこともできずに日々を過ごして気塞ぎでいたところなだけにそれは一様ではない。水底に沈められ肺腑の隅々まで水に満たされたような息苦しさを感じる。
 刹那、銃声が闇にとどろき、夜が深紅の炎に裂かれる。
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