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角隈石宗――二年あまり、大友家において在昌が格別なにがしかの利を得たという事実もないというのに執念深く妨害のために動いたのだ。
「これ以上、大友家の陣中を動き回るようなら細作と見なし斬る」
石宗の顔を思い浮かべこらえようのない怒りを抱いた在昌だが、宗歓の発したせりふを受けて強烈な寒気に襲われた。
この状況で頼りになるとすれば戸次鑑連だが彼は大友家屈指の勇将、求められる武働きも一通りではなく戦場では他の部将以上に忙殺されている。とても、部外者である在昌が接触できる状況ではなかった。
四
吉岡宗歓との不毛な対面から数日後、鬱屈を抱えたまま在昌は府内へともどっていた。
至急、もどるようにという知らせが入ったのだ。府内の僧の一部が、門徒を先導し切支丹への迫害に動いたという。府内の異変を知った瞬間、いても立っても入られなくなり、在昌はあわてて大友家の陣中をあとにしたのだ。切支丹の者たちもそうだが、特に家族を心配した。
そして深更、彼は落ちつかない心地でデウス堂の敷地の出入り口にたたずんでいる。
ただ、篝火の照らすなか佇立するのは彼だけではない。
「これ以上、大友家の陣中を動き回るようなら細作と見なし斬る」
石宗の顔を思い浮かべこらえようのない怒りを抱いた在昌だが、宗歓の発したせりふを受けて強烈な寒気に襲われた。
この状況で頼りになるとすれば戸次鑑連だが彼は大友家屈指の勇将、求められる武働きも一通りではなく戦場では他の部将以上に忙殺されている。とても、部外者である在昌が接触できる状況ではなかった。
四
吉岡宗歓との不毛な対面から数日後、鬱屈を抱えたまま在昌は府内へともどっていた。
至急、もどるようにという知らせが入ったのだ。府内の僧の一部が、門徒を先導し切支丹への迫害に動いたという。府内の異変を知った瞬間、いても立っても入られなくなり、在昌はあわてて大友家の陣中をあとにしたのだ。切支丹の者たちもそうだが、特に家族を心配した。
そして深更、彼は落ちつかない心地でデウス堂の敷地の出入り口にたたずんでいる。
ただ、篝火の照らすなか佇立するのは彼だけではない。
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