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刃を合わせることなく斬るという香取神道流の理合を無視した、抜き打ちの剣で一撃を防ぐという行動に出た。
刃が甲高い悲鳴を漏らす。周囲にあつまったやじうまがどよめいた。
刹那、騒音が合図となったように晴幸の体が動く。電光石火、彼はとにかく小男に向かって突撃する。
「卑怯な真似しやがって」という男がもらした声は弱々しいものとなった。
抜きつけの一撃が既に相手をとらえているためだ。ただし、峰打ちだった。直前で刃を返した斬撃を、刃(は)で斬られたと勘違いした相手は気を失う。
相手を手にかける寸前で師の教えを思い出したのは僥倖といっていい。
「慮外者、財布を掏っておいて偉そうなことをいうな」
晴幸は興奮のままに相手を罵った。それでやっと、冷静さがいくらかもどってくる。
助、と呼んで朋友を見やった。彼は半ば呆然自失の状態に陥ってその場に棒立ちになっている。
刃が甲高い悲鳴を漏らす。周囲にあつまったやじうまがどよめいた。
刹那、騒音が合図となったように晴幸の体が動く。電光石火、彼はとにかく小男に向かって突撃する。
「卑怯な真似しやがって」という男がもらした声は弱々しいものとなった。
抜きつけの一撃が既に相手をとらえているためだ。ただし、峰打ちだった。直前で刃を返した斬撃を、刃(は)で斬られたと勘違いした相手は気を失う。
相手を手にかける寸前で師の教えを思い出したのは僥倖といっていい。
「慮外者、財布を掏っておいて偉そうなことをいうな」
晴幸は興奮のままに相手を罵った。それでやっと、冷静さがいくらかもどってくる。
助、と呼んで朋友を見やった。彼は半ば呆然自失の状態に陥ってその場に棒立ちになっている。
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