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「さような眼目のために仲間を裏切るのか」
「それが戦国乱世の習いだ」
「されば、わたしはお前と妻夫になどならない。そのくだらない因習にしたがえば、父の失われることになった端緒を作った者たちと同じになる」
れんがいい返したとたん、金介の顔が一気に脱力し呆けたように見える表情を浮かべた。
そうか、と辛うじてこちらに聞こえるような声をもらし、
「なれば、死ね」
次の瞬間、分銅を電光の速度でくり出していた。
これを避けても鎌の一撃が待っているか、軌道を変えた分銅に絡めとられる危険がある。
が、逡巡の間もなく風を巻いてれんは動いた。頭上へと。跳躍で側にはえた木の太い枝へと移動する。
「それで逃げたつもりか」
紫電の速度で分銅が宙を飛んできた。金介の手もとの操作で障害となる枝を避けるという飛燕を思わせる動きを見せる。
ふたたびの跳躍、だが足場が悪いために勢いが地上のときよりも出ない。結果、脇を分銅がかすめた。鎖帷子越しでも分銅の一撃は身のうちにまで浸透する。
並行してれんは懐から特製の煙玉を取り出し火をつけた。
それを認め金介が警戒のまなざしを向けてくる。
構わず投擲、地面に落ちた煙玉はしかし視界を覆い隠すほどの煙を吐くことはない。
それでも旋風(つむじ)を巻いて金介は遠ざかった。
「毒だな」
と黄色い煙から距離をへだてて語気を強めて独語するようにいう。
やってくれたな、とでもいったひびきがこもっていた。
しかし、れんにしてみれば己に懸想していようが金介のごとき言動をとるものは敵以外の何者でもない。
情には流されない、己のさだめた道を歩むと決めたのだから。
「それが戦国乱世の習いだ」
「されば、わたしはお前と妻夫になどならない。そのくだらない因習にしたがえば、父の失われることになった端緒を作った者たちと同じになる」
れんがいい返したとたん、金介の顔が一気に脱力し呆けたように見える表情を浮かべた。
そうか、と辛うじてこちらに聞こえるような声をもらし、
「なれば、死ね」
次の瞬間、分銅を電光の速度でくり出していた。
これを避けても鎌の一撃が待っているか、軌道を変えた分銅に絡めとられる危険がある。
が、逡巡の間もなく風を巻いてれんは動いた。頭上へと。跳躍で側にはえた木の太い枝へと移動する。
「それで逃げたつもりか」
紫電の速度で分銅が宙を飛んできた。金介の手もとの操作で障害となる枝を避けるという飛燕を思わせる動きを見せる。
ふたたびの跳躍、だが足場が悪いために勢いが地上のときよりも出ない。結果、脇を分銅がかすめた。鎖帷子越しでも分銅の一撃は身のうちにまで浸透する。
並行してれんは懐から特製の煙玉を取り出し火をつけた。
それを認め金介が警戒のまなざしを向けてくる。
構わず投擲、地面に落ちた煙玉はしかし視界を覆い隠すほどの煙を吐くことはない。
それでも旋風(つむじ)を巻いて金介は遠ざかった。
「毒だな」
と黄色い煙から距離をへだてて語気を強めて独語するようにいう。
やってくれたな、とでもいったひびきがこもっていた。
しかし、れんにしてみれば己に懸想していようが金介のごとき言動をとるものは敵以外の何者でもない。
情には流されない、己のさだめた道を歩むと決めたのだから。
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