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殺気を察知し、了斎と視線を交わした瞬間、れんは激しくうろたえた。
修羅場に接し、その瞳には極度の緊張、それにおびえがあるのは確かだ。後者の感情は現役の忍びであれば叱責されてもしかたのないものだ。
だが、それでも果敢に立ち向かおうとするからこそ、れんに連携を求めた。
おのが身を一番に案じるのならなにも考えずに逃げ出せばいい、他者の力など必要ではない。
そうではなく、敵に立ち向かおうという所存でいる。
話が違う――れんはそう思った。
れんが尼子の蜂起の件で了斎と“再会”して以降、ことあるごとにれんはとある人物に、
「奴は笑いながらおまえの父を殺した」
と告げられていた。
それだというのに、
目の前のこの切支丹の所業はどうだ――。
とてもそうは見えない。
その形相からつたわるのは必死に仲間を、目の前で命を失おうとする者を救おうという念だ。
それは直後からことの一部始終の幕が閉じるまで同じだった。
まず、己の身をかえりみずにアルメイダを救う。一歩間違えば串刺しになっていた。
さらに、打たれた手裏剣を危ういところで防いだ。了斎だけが生き延びるのであれば躱すこともできだろう。
が、仲間を救うために一瞬裡のうちに鉄砲を拾いあげてなんとか手裏剣を弾くという行為に出た。これも少しでも遅れれば鋭い得物にその身をつらぬかれていただろう。
それにアルメイダと次郎丸も応えた。鉄砲でもって勇猛に戦った。
自分たちだけ逃げ出すのではなく仲間とともに視線をくぐり抜けるために。
もし、人を殺めることに快楽を見出す者であれば、やはりそういう性根は多くの時間を共に過ごした者にはつたわるものだ。
つまり、歴戦の商人にして宗教者であるアルメイダ、無垢さを残すゆえに敏感な次郎丸の両者が信頼に足る人物だと判断したということになる。
殺気を察知し、了斎と視線を交わした瞬間、れんは激しくうろたえた。
修羅場に接し、その瞳には極度の緊張、それにおびえがあるのは確かだ。後者の感情は現役の忍びであれば叱責されてもしかたのないものだ。
だが、それでも果敢に立ち向かおうとするからこそ、れんに連携を求めた。
おのが身を一番に案じるのならなにも考えずに逃げ出せばいい、他者の力など必要ではない。
そうではなく、敵に立ち向かおうという所存でいる。
話が違う――れんはそう思った。
れんが尼子の蜂起の件で了斎と“再会”して以降、ことあるごとにれんはとある人物に、
「奴は笑いながらおまえの父を殺した」
と告げられていた。
それだというのに、
目の前のこの切支丹の所業はどうだ――。
とてもそうは見えない。
その形相からつたわるのは必死に仲間を、目の前で命を失おうとする者を救おうという念だ。
それは直後からことの一部始終の幕が閉じるまで同じだった。
まず、己の身をかえりみずにアルメイダを救う。一歩間違えば串刺しになっていた。
さらに、打たれた手裏剣を危ういところで防いだ。了斎だけが生き延びるのであれば躱すこともできだろう。
が、仲間を救うために一瞬裡のうちに鉄砲を拾いあげてなんとか手裏剣を弾くという行為に出た。これも少しでも遅れれば鋭い得物にその身をつらぬかれていただろう。
それにアルメイダと次郎丸も応えた。鉄砲でもって勇猛に戦った。
自分たちだけ逃げ出すのではなく仲間とともに視線をくぐり抜けるために。
もし、人を殺めることに快楽を見出す者であれば、やはりそういう性根は多くの時間を共に過ごした者にはつたわるものだ。
つまり、歴戦の商人にして宗教者であるアルメイダ、無垢さを残すゆえに敏感な次郎丸の両者が信頼に足る人物だと判断したということになる。
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