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「相変わらずの耳をしていますね、あなたは」
それに、司祭(パードレ)アルメイダは快活な声で応じた。もとは商人というだけあって妙に人なつっこさを感じさせる声音だ。
「それほどでも。それはそうと、小さな同行者のお名前をお聞かせください」
「本当に耳ざとい」
アルメイダが小さい笑う。そして、かたわらの手をやるのがなんとかくわかった。
「自己紹介なさい」
「次郎丸ともうします」
目の前を見ているようでどこか遠い目をした不思議なまなざしの少年が名を名乗った。
ふふふ、とそんな彼を可愛らしく思いロレンソは笑った。
だが、突如としてそれは途切れることになる。原因は体に生じた異変にあった。
その正体は、
股間を――。
つかまれたのだ。あきらかに成人よりも小さな手がこちらの股間の一物を手でとらえていた。
「な、なにをするのです、次郎丸」
アルメイダが驚愕の声をあげる。
「この人が司祭様のことを簡単に言い当てたから実は目が見えてるんじゃないかと思って」
と彼に応じながら次郎丸が手をはなした。
「でも、股間をつかまれたってことは本当に見えないんだね」
「『本当に見えないんだね』ではありません、次郎丸」
拍子抜けしたような声を出す少年をアルメイダが叱りつける。
「ま、まあまあ」
ロレンソはおどろきから立ち直り、反射的にアルメイダをなだめにかかった。彼もそこまで本気で怒っているふうではないが、子どもが好奇心でしたことだから叱るまでもないと彼は思ったのだ。
それに、司祭(パードレ)アルメイダは快活な声で応じた。もとは商人というだけあって妙に人なつっこさを感じさせる声音だ。
「それほどでも。それはそうと、小さな同行者のお名前をお聞かせください」
「本当に耳ざとい」
アルメイダが小さい笑う。そして、かたわらの手をやるのがなんとかくわかった。
「自己紹介なさい」
「次郎丸ともうします」
目の前を見ているようでどこか遠い目をした不思議なまなざしの少年が名を名乗った。
ふふふ、とそんな彼を可愛らしく思いロレンソは笑った。
だが、突如としてそれは途切れることになる。原因は体に生じた異変にあった。
その正体は、
股間を――。
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と彼に応じながら次郎丸が手をはなした。
「でも、股間をつかまれたってことは本当に見えないんだね」
「『本当に見えないんだね』ではありません、次郎丸」
拍子抜けしたような声を出す少年をアルメイダが叱りつける。
「ま、まあまあ」
ロレンソはおどろきから立ち直り、反射的にアルメイダをなだめにかかった。彼もそこまで本気で怒っているふうではないが、子どもが好奇心でしたことだから叱るまでもないと彼は思ったのだ。
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