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いや、予断は禁物、小平次に誘いにしたがいそうになる自分を声に出さずに強く叱咤するが、もっともではないでしょうか――だが、幾重もの甘い文句に小平次の意思も小刻みに揺らいだ。
それでもなんとか気力をふりしぼって眠気に対抗していたが、はっ、と我に返ったことに小平次はおどろいた。いつの間にか意識を途切れさせていたのだ。そのことを、焚き火の炎のなかで小さくなった小枝が物語っている。
いかぬいかぬ――小平次はみずからの腕を思い切り抓った。皮が剥けてささくれ立つほどの力を込める。
よし、目が覚めたと安心した。が、気づけば意識は闇のなかにあり、あわてて瞼をこじ開ける。自分自身が信じられなかった。兄ほど優秀ではなかったが、これでも厳しい忍びの鍛練を乗り越えてきたのだ。一日で四十里(百五十キロ)を走り、錘を入れた竹で全身を隈なく打ち、爪先で跳躍と着地を決めるなどということもおこなった。
それがたかだが睡魔にすらかなわないというのか。幾度も意識の途絶と覚醒を小刻みにくり返した。
そして、最悪の事態が起こる。気付けば、間合いに人影が踏み込んでいたのだ。寒気が現実の気温の低下を錯覚させるほどに肌を凍てつかせる。紫電一閃、相手は銀光をひらめかせた。小平次は転がって躱すだけで精一杯だった。とたん、相手の狙いは側に寝転がる吟へと変更される。
騒がしさを意識に感じながらも、吟は夕刻の小平次とのやり取りを夢に見ていた。
あまりにも足を引っ張っている自分がなさけない。それで、海で漁に挑んでいる小平次を尻目に吟はそろそろと動き、必要な品を集めた。火口となる鳥の巣の小枝、焚きつけ、それに別の用途のある枝。目的は火を起こすことだ。
力の入らない体を引きずってまわって用意した木の板や棒を、懐に収めていた短刀で加工して準備する。木の板にもうけた窪みに棒を押し当てて渾身の力で回転させる。思うように力が入らず時間ばかりが過ぎた。
それでも、忍びとして鍛え上げた肉体と意思は望みを叶えようと休憩をはさみながらも動きつづけた。
それでもなんとか気力をふりしぼって眠気に対抗していたが、はっ、と我に返ったことに小平次はおどろいた。いつの間にか意識を途切れさせていたのだ。そのことを、焚き火の炎のなかで小さくなった小枝が物語っている。
いかぬいかぬ――小平次はみずからの腕を思い切り抓った。皮が剥けてささくれ立つほどの力を込める。
よし、目が覚めたと安心した。が、気づけば意識は闇のなかにあり、あわてて瞼をこじ開ける。自分自身が信じられなかった。兄ほど優秀ではなかったが、これでも厳しい忍びの鍛練を乗り越えてきたのだ。一日で四十里(百五十キロ)を走り、錘を入れた竹で全身を隈なく打ち、爪先で跳躍と着地を決めるなどということもおこなった。
それがたかだが睡魔にすらかなわないというのか。幾度も意識の途絶と覚醒を小刻みにくり返した。
そして、最悪の事態が起こる。気付けば、間合いに人影が踏み込んでいたのだ。寒気が現実の気温の低下を錯覚させるほどに肌を凍てつかせる。紫電一閃、相手は銀光をひらめかせた。小平次は転がって躱すだけで精一杯だった。とたん、相手の狙いは側に寝転がる吟へと変更される。
騒がしさを意識に感じながらも、吟は夕刻の小平次とのやり取りを夢に見ていた。
あまりにも足を引っ張っている自分がなさけない。それで、海で漁に挑んでいる小平次を尻目に吟はそろそろと動き、必要な品を集めた。火口となる鳥の巣の小枝、焚きつけ、それに別の用途のある枝。目的は火を起こすことだ。
力の入らない体を引きずってまわって用意した木の板や棒を、懐に収めていた短刀で加工して準備する。木の板にもうけた窪みに棒を押し当てて渾身の力で回転させる。思うように力が入らず時間ばかりが過ぎた。
それでも、忍びとして鍛え上げた肉体と意思は望みを叶えようと休憩をはさみながらも動きつづけた。
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