96 / 207
チャプタ―99
チャプタ―99
しおりを挟む
刀でいうところの峰に当たる部分が、次の瞬間には市右衛門に襲いかかる。
市右衛門はその場を転がって躱した。
紫電の突きを、木立を利用して防御――すばやく立ち上がる。
相手は幹を回り込み猛然と斬りかかってきた。
――一瞬で軌道が急激に変化する。
旋回した長剣が市右衛門の後頭部に迫った。
……辛うじて、斜めに退がって刃を逃れる。
異国(とつくに)の刀術、侮りがたい――両刃の特性を生かした攻撃を前に、市右衛門は翻弄されつつあるのを理解した。
刹那、鳥の子が飛翔してくる。落下地点は、市右衛門と異国人(とつくにびと)の間だ。
「潮時か――またすぐに会おう、異国の剣士よ」
なにやら一方的に告げて、相手は煙幕に紛れる――。
気配が遠ざかる――が、不用意に突っ込んでは、鳥の子を放った透波の反撃や、あの剣士の不意打ちを受ける可能性があった。
市右衛門は歯を軋らせながらも動けない……。
市右衛門はその場を転がって躱した。
紫電の突きを、木立を利用して防御――すばやく立ち上がる。
相手は幹を回り込み猛然と斬りかかってきた。
――一瞬で軌道が急激に変化する。
旋回した長剣が市右衛門の後頭部に迫った。
……辛うじて、斜めに退がって刃を逃れる。
異国(とつくに)の刀術、侮りがたい――両刃の特性を生かした攻撃を前に、市右衛門は翻弄されつつあるのを理解した。
刹那、鳥の子が飛翔してくる。落下地点は、市右衛門と異国人(とつくにびと)の間だ。
「潮時か――またすぐに会おう、異国の剣士よ」
なにやら一方的に告げて、相手は煙幕に紛れる――。
気配が遠ざかる――が、不用意に突っ込んでは、鳥の子を放った透波の反撃や、あの剣士の不意打ちを受ける可能性があった。
市右衛門は歯を軋らせながらも動けない……。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
怪奇短篇書架 〜呟怖〜
縁代まと
ホラー
137文字以内の手乗り怪奇小話群。
Twitterで呟いた『呟怖』のまとめです。
ホラーから幻想系、不思議な話など。
貴方の心に引っ掛かる、お気に入りの一篇が見つかると大変嬉しいです。
※纏めるにあたり一部改行を足している部分があります
呟怖の都合上、文頭の字下げは意図的に省いたり普段は避ける変換をしたり、三点リーダを一個奇数にしていることがあります
※カクヨムにも掲載しています(あちらとは話の順番を組み替えてあります)
※それぞれ独立した話ですが、関西弁の先輩と敬語の後輩の組み合わせの時は同一人物です
座頭の石《ざとうのいし》
とおのかげふみ
歴史・時代
盲目の男『石』は、《つる》という女性と二人で旅を続けている。
旅の途中で出会った女性《よし》と娘の《たえ》の親子。
二人と懇意になり、町に留まることにした二人。
その町は、尾張藩の代官、和久家の管理下にあったが、実質的には一人のヤクザが支配していた。
《タノヤスケゴロウ》表向き商人を装うこの男に目を付けられてしまった石。
町は幕府からの大事業の河川工事の真っ只中。
棟梁を務める《さだよし》は、《よし》に執着する《スケゴロウ》と対立を深めていく。
和久家の跡取り問題が引き金となり《スケゴロウ》は、子分の《やキり》の忠告にも耳を貸さず、暴走し始める。
それは、《さだよし》や《よし》の親子、そして、《つる》がいる集落を破壊するということだった。
その事を知った石は、《つる》を、《よし》親子を、そして町で出会った人々を守るために、たった一人で立ち向かう。
大江戸怪物合戦 ~禽獣人譜~
七倉イルカ
歴史・時代
文化14年(1817年)の江戸の町を恐怖に陥れた、犬神憑き、ヌエ、麒麟、死人歩き……。
事件に巻き込まれた、若い町医の戸田研水は、師である杉田玄白の助言を得て、事件解決へと協力することになるが……。
以前、途中で断念した物語です。
話はできているので、今度こそ最終話までできれば…
もしかして、ジャンルはSFが正しいのかも?
伊勢山田奉行所物語
克全
歴史・時代
「第9回歴史・時代小説大賞」参加作、伊勢山田奉行所の見習支配組頭(御船手組頭)と伊勢講の御師宿檜垣屋の娘を中心にした様々な物語。時に人情、時に恋愛、時に捕り物を交えた物語です。山田奉行所には将軍家の御座船に匹敵するような大型関船2隻を含み7隻の艦隊がありました。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
毛利隆元 ~総領の甚六~
秋山風介
歴史・時代
えー、名将・毛利元就の目下の悩みは、イマイチしまりのない長男・隆元クンでございました──。
父や弟へのコンプレックスにまみれた男が、いかにして自分の才覚を知り、毛利家の命運をかけた『厳島の戦い』を主導するに至ったのかを描く意欲作。
史実を捨てたり拾ったりしながら、なるべくポップに書いておりますので、歴史苦手だなーって方も読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる