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チャプタ―99

チャプタ―99

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 刀でいうところの峰に当たる部分が、次の瞬間には市右衛門に襲いかかる。
 市右衛門はその場を転がって躱した。
 紫電の突きを、木立を利用して防御――すばやく立ち上がる。
 相手は幹を回り込み猛然と斬りかかってきた。
 ――一瞬で軌道が急激に変化する。
 旋回した長剣が市右衛門の後頭部に迫った。
 ……辛うじて、斜めに退がって刃を逃れる。
 異国(とつくに)の刀術、侮りがたい――両刃の特性を生かした攻撃を前に、市右衛門は翻弄されつつあるのを理解した。
 刹那、鳥の子が飛翔してくる。落下地点は、市右衛門と異国人(とつくにびと)の間だ。
「潮時か――またすぐに会おう、異国の剣士よ」
 なにやら一方的に告げて、相手は煙幕に紛れる――。
 気配が遠ざかる――が、不用意に突っ込んでは、鳥の子を放った透波の反撃や、あの剣士の不意打ちを受ける可能性があった。
 市右衛門は歯を軋らせながらも動けない……。
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