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チャプタ―83
チャプタ―83
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と、娘がうなされているのか表情をゆがめる。瞼が小刻みに痙攣した。目覚めるかもしれない、そう思うと相反するふたつの感情が胸のうちに湧く。
目覚めてほしい、いや目覚めないでほしい――どちらも本音だ。
娘と再会したい――だが、己の姿を見られたくない。
迷っているうちに、彼女の瞼が開いた。茫洋としていた目が、こちらを捉えたとたん一瞬にして見開かれる。反射的に、渠は狼狽(うろた)え一歩下がった。そんな渠を追うように、娘は半身を起こしてこちらを見やる。
「父上……?」
「そう、呼んでくれるのか――」泣きたいほどに嬉しい。
だが、それは叶わない。なぜなら……
「……その、お姿は」
「それがしは戦場(いくさば)で果てたのだ……なれど、おことを一目見たいがためにこうして、魂魄(こんぱく)のみとなって帰ってまいったのだ」
蒼白の顔の娘に、渠――死霊と化した侍は複雑な思いで告げる。
再会できたことは嬉しい。しかし、怯えさせてしまっていることに申し訳なさを感じていた。
――渠の全身に矢が突き立っている。この姿が無気味でないはずがない。
目覚めてほしい、いや目覚めないでほしい――どちらも本音だ。
娘と再会したい――だが、己の姿を見られたくない。
迷っているうちに、彼女の瞼が開いた。茫洋としていた目が、こちらを捉えたとたん一瞬にして見開かれる。反射的に、渠は狼狽(うろた)え一歩下がった。そんな渠を追うように、娘は半身を起こしてこちらを見やる。
「父上……?」
「そう、呼んでくれるのか――」泣きたいほどに嬉しい。
だが、それは叶わない。なぜなら……
「……その、お姿は」
「それがしは戦場(いくさば)で果てたのだ……なれど、おことを一目見たいがためにこうして、魂魄(こんぱく)のみとなって帰ってまいったのだ」
蒼白の顔の娘に、渠――死霊と化した侍は複雑な思いで告げる。
再会できたことは嬉しい。しかし、怯えさせてしまっていることに申し訳なさを感じていた。
――渠の全身に矢が突き立っている。この姿が無気味でないはずがない。
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