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チャプタ―27

チャプター27

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「――いや、得体の知れぬ輩の言を汲む者に若は任せられぬ」
「では、龍造寺家に?」
 二人が言葉を交わすのを傍観者になって見守りながら、「あ、拙者のことは忘れていなかったのか」と市右衛門は顔をしかめた平兵衛の言葉を聞いて思った……まあ、結局のところ、こちらの意思など無視していることに変わりはないが。
 拙者が元服したことを忘れておるのではないか、平兵衛は? そんな思いさえ抱く。
「若を成り上がり者の家臣する訳にはいかぬ」
「では、島津家の戦に陣借りすることといたしましょう」
 ――こうして、市右衛門の意見などいっさい聞かず向後、どうするかが決まってしまった。

 と、そこへ、
「見つけたぞ、貴様ら!」
 という甲高い声が響いてくる。
 次の瞬間、孤影(こえい)が屋内に飛び込んできた。
 ――その場の全員の手が太刀の柄へと伸びる。市右衛門ですらそうだった。
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