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そして長脇差を抜き放つ。
「破落戸(ごろつき)ずれが小癪な」
とたん、浪人者はこちらに狙いを定めた。
距離は三間、既に刃圏内だ。平太は肌を粟立たせながらも呼吸を懸命にととのえる。
拍子を“読んだ”のか、相手は無造作に青眼から袈裟斬りを見舞ってきた。とっさに平太は刃を合わせる。
これは――痛みと驚愕を同時に感じた。
互いに刀身を交差させたというのに平太のほうだけが肩のあたりをかすかに裂かれたのだ。
切り落とし、あるいは合撃(がっし)打ち――それでも、なんとか相手の技の正体を推量する。
一刀流の技には小手を斬るものが多いはず、太刀筋から相手の流儀と一刀流だと推察した平太は一瞬裡のうちにそこまで考え、後ろに下がりながら刺突の構えを取った。
刹那、相手の口もとに嘲笑が浮かぶ。
間合いを読み違えておるわ、たわけ――そんな思いを抱いたのだろう。が、その笑顔の次の瞬間、凍りついた。
余裕をもって躱したはずの刺撃がしっかりと胸元に決まったためだ。
「莫迦な」
相手の最期の言葉は単純なものだった。
浪人者が倒れるのに合わせ平太は長脇差を引く。その手もとは、攻撃をくり出す前と変わっていた。
右手が、柄の下端に位置する左手に接する場所へと移動しているのだ。
「破落戸(ごろつき)ずれが小癪な」
とたん、浪人者はこちらに狙いを定めた。
距離は三間、既に刃圏内だ。平太は肌を粟立たせながらも呼吸を懸命にととのえる。
拍子を“読んだ”のか、相手は無造作に青眼から袈裟斬りを見舞ってきた。とっさに平太は刃を合わせる。
これは――痛みと驚愕を同時に感じた。
互いに刀身を交差させたというのに平太のほうだけが肩のあたりをかすかに裂かれたのだ。
切り落とし、あるいは合撃(がっし)打ち――それでも、なんとか相手の技の正体を推量する。
一刀流の技には小手を斬るものが多いはず、太刀筋から相手の流儀と一刀流だと推察した平太は一瞬裡のうちにそこまで考え、後ろに下がりながら刺突の構えを取った。
刹那、相手の口もとに嘲笑が浮かぶ。
間合いを読み違えておるわ、たわけ――そんな思いを抱いたのだろう。が、その笑顔の次の瞬間、凍りついた。
余裕をもって躱したはずの刺撃がしっかりと胸元に決まったためだ。
「莫迦な」
相手の最期の言葉は単純なものだった。
浪人者が倒れるのに合わせ平太は長脇差を引く。その手もとは、攻撃をくり出す前と変わっていた。
右手が、柄の下端に位置する左手に接する場所へと移動しているのだ。
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