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「しかと見せてもらったぞ、そちの覚悟」「戯れが過ぎましょう、若殿」
そんな為勝に、久脩は詰めていた息を吐いて告げる。そんな彼に、
「なにが戯れか、そなたの覚悟が足りぬと感じれば、こちはそちを打ち殺しておったわ」
為勝は笑顔でさらりととんでもないことを言った。
広純の言葉、あながち否定できぬな――久脩は思わず心のうちでぼやく。
そもそもが、公家とうのは平安の頃から実は優雅さとはかけ離れた存在だ。権勢を持った者を中心に実力行使をともなった闘争が絶えなかった。それを考えれば、為勝のような者こそが本来の公家といってもいいくらいだ。
刹那、久脩は身体を緊張させる。
これは、殺気か――未熟なせいで確信は持てなかったが、道端の木陰から鋭い気配が突き刺さってきた。
それから出来事は一瞬で進行する。
木の陰から童が飛び出してきた。反射的に広純が棒手裏剣を彼に向けて投じている。手裏剣を為勝が木薙刀で弾いた。
その間に距離を詰めてきた童は剥き身の短刀で久脩に襲いかかってくる。
意外な襲撃者に久脩はとっさに動けなかった。
刃がみぞおちに刺さる。
その寸前で、視界を影が走った。肉薄した次郎太が、鞘ごと差し料を抜くや一閃し、短刀を弾き飛ばしたのだ。
童はそれでもなお、久脩に飛びかかろうとする。
そんな為勝に、久脩は詰めていた息を吐いて告げる。そんな彼に、
「なにが戯れか、そなたの覚悟が足りぬと感じれば、こちはそちを打ち殺しておったわ」
為勝は笑顔でさらりととんでもないことを言った。
広純の言葉、あながち否定できぬな――久脩は思わず心のうちでぼやく。
そもそもが、公家とうのは平安の頃から実は優雅さとはかけ離れた存在だ。権勢を持った者を中心に実力行使をともなった闘争が絶えなかった。それを考えれば、為勝のような者こそが本来の公家といってもいいくらいだ。
刹那、久脩は身体を緊張させる。
これは、殺気か――未熟なせいで確信は持てなかったが、道端の木陰から鋭い気配が突き刺さってきた。
それから出来事は一瞬で進行する。
木の陰から童が飛び出してきた。反射的に広純が棒手裏剣を彼に向けて投じている。手裏剣を為勝が木薙刀で弾いた。
その間に距離を詰めてきた童は剥き身の短刀で久脩に襲いかかってくる。
意外な襲撃者に久脩はとっさに動けなかった。
刃がみぞおちに刺さる。
その寸前で、視界を影が走った。肉薄した次郎太が、鞘ごと差し料を抜くや一閃し、短刀を弾き飛ばしたのだ。
童はそれでもなお、久脩に飛びかかろうとする。
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