直刀の誓い――戦国唐人軍記(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)

牛馬走

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 ――各個撃破されるのを防ぐため三蔵たちは一塊になって、数人が防戦にまわってはほかの者が距離を稼ぐという手順をくり返した。『武士道とは死に狂い也(なり)』という言葉を体現したかのような彼らの前に、さすがの島津の士卒たちも敵ではなかった。
 そんななか、悟浄と並んで押し寄せる敵の足止めをしていると、
「お前のことが好きだ、三蔵!」
 と悟浄が怒鳴った。
「……藪から棒になんだ!?」
 戸惑いといらだちのないまぜになった顔で三蔵は聞く。
「生きて帰れるかわからない。だから、悔いのないように云っておくことにした!」
「――っ、俺は男を愛せない!」
 どこか晴れ晴れとした顔の悟浄とは対照的に、三蔵の表情は苦々しいものだ。
「それでもいいんだ。ただ、この胸のうちを告げておきたかった!」
「――お前のことなんて大嫌いだ。だから、俺を惚れさせることができるよう、生き延びろ!」
 三蔵の返した言葉に、悟浄が嬉しそうに笑う。
「――お前ら、こんなときに莫迦か!」
 そこに悟空が笑みを浮かべながら割って入った――悟浄に突き入れられようとしていた槍の穂先を棍でもって螺旋状に受け、勢いを殺すや撥ね退けた。
「こんな面白ぇ話が聞けるなら、そう易々と死ねねぇな!」
 彼は棍をひるがえし、敵の顔を先端で打って叩きつぶす。

 みなが満身創痍だった。
 だが、不思議と負ける気はしない――
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