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   七

 ――平戸へと足を踏み入れた蔵人たちは、表の通りを避け家屋の陰を伝うよう移動を為した。
 あと少しのところで浜へと着くというところで、頭上から複数の影が襲いかかってくる。
 蔵人の腰間から奔った光の筋が、影の一つを貫いた。血飛沫が舞って、地面に透波の骸が転がる。
 他の襲撃者も、文五郎や頼慶、行雲の得物にかかって息絶えた。
 だが、路地裏を埋め尽くそうとするように、四方から敵の透波たちが姿を現す。
「押し通る!」と蔵人は叫ぶや駆けた。速影が透波の間合いに踏み込むと同時に、閃光が幾つも瞬く。
 打ち合わせていたように、透波たちがぱっくりと傷口を開けて倒れた。
 それらを踏み越え蔵人は突き進み、後に仲間が続く。背後から迫る敵は、相良家に仕える透波の一部が残って足止めした。
 黒い津波となって襲いくる透波を、蔵人の縦横無尽に振るう刃が突き崩していく。
 更に、背後から援護の棒手裏剣が飛んで敵を牽制し動きを鈍らせた。
 ――右に左にと七間ほど駆けると、路地の出口が見えた。その先には、浜が広がっている。

 路地を飛び出した蔵人は舌打ちしたくなった。
 既に浜には複数の艀(はしけ)が到着し、火縄の代わりに火打ち石を備えた鉄炮を構え縦隊となっている南蛮人たちの姿がそこにはある。立射の姿勢で、得物を今や遅しと待っていた。
「待ち伏せたい!」と怒鳴り、蔵人は咄嗟に近くの荒屋(あばらや)の障子を突き破って飛び込む。
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