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 目配せをし、それぞれが意思を確認した。
 ――どうなさるおつもりか、先生? と頼慶が尋ねれば、
 ――こげな刻限に訪(おとな)う者(もん)がまもつな奴のはずなか、と蔵人がいい、
 ――まずは、正体を確かめるのが先決であろう、と文五郎が告げた。その意見が決め手になる。ただし、文五郎は蔵人の次に取った行動には度肝を抜かれた。
「外におるのは判っとるばい! 隠れてなかで、出てこんね!」
 と、こちらが相手の存在に気づいていることを知らせてしまったのだ。
 刹那、家屋の出入り口にかけられた筵(むしろ)からのぞく闇の奥で殺気が膨れ上がる。
 筵の隙間から何かが飛び込んできた――抜刀一閃、それを屋内であることを考慮した上での蔵人の居合の一撃が弾いた。あさっての方向へ跳ね、棒手裏剣が壁にぶつかる。
 直後、文五郎、蔵人、頼慶の順で外へと駆け出る。
 その間も手裏剣が飛ぶが、音と勘を頼りに三人はそれを防いだ。
 疾風と化した三者は、殺気の源へと走る。家屋から少し離れた場所に、透波らしき相手が佇んでいた。
 襲撃者を逃がさないよう、蔵人たちは三方からそれを囲みにかかる。
「こげなことして無事で済むと思うとっとか! どぎゃんつもりや?」
 剣気を発しながら、蔵人は透波を一喝した。
「……」と相手は無言で全身から力を抜き、構えを解く。
 余りにも呆気ない、蔵人たちは怪訝に思った。
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