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父の愚かな所業で助左衛門に対する罪を無理やりに背負わされた栄助にしてみると、理不尽な出来事に屈するというのはどうしても許せない。
「されど、このままでは」
「なに、どうせ恨みをあちこちで買ってる。おまえの抱える仔細で今さら狼狽(うろた)えるあっしらじゃねえさ」
なおも言い募る小次郎に、猪助が優しい口調で諭した。
「手前も抜け忍、いつ追手が現れるか分からぬ身」
伊平治の言葉に、
「それは」
小次郎は口ごもった。
「持ちつ持たれつ、やっていこうじぇねえか」
猪助が両腕を広めてみなを示す。
それに小次郎は、「親分」と涙ぐんだ声をもらす。
夕餉が終わったあと、栄助は小次郎に伴われて旅籠の裏の空き地に赴いた。剣術修行のためだ。
用意した練習台はすでに普通の太さにまで達した竹だ。
竹を地面に埋めて固定する。
「されば、存分に腕前をふるわれよ」
小次郎に告げられ、栄助は抜刀一閃、長脇差を竹に深々と食い込ませた。
引き抜き、首筋の高さに一閃する。
一見すると竹を横薙ぎにほぼ切断したように見えた。
「腰がやや前に出過ぎでござる」
だが、心得のある小次郎からすると違う。
彼の指摘を念頭に置き栄助はふたたび首の高さに長脇差をふるった。
「腰に気が向いたせいか、少し疲れ足になってござる」
「疲れ足ってのは?」
初めて耳にした言葉に栄助は首をかしげた。
「されど、このままでは」
「なに、どうせ恨みをあちこちで買ってる。おまえの抱える仔細で今さら狼狽(うろた)えるあっしらじゃねえさ」
なおも言い募る小次郎に、猪助が優しい口調で諭した。
「手前も抜け忍、いつ追手が現れるか分からぬ身」
伊平治の言葉に、
「それは」
小次郎は口ごもった。
「持ちつ持たれつ、やっていこうじぇねえか」
猪助が両腕を広めてみなを示す。
それに小次郎は、「親分」と涙ぐんだ声をもらす。
夕餉が終わったあと、栄助は小次郎に伴われて旅籠の裏の空き地に赴いた。剣術修行のためだ。
用意した練習台はすでに普通の太さにまで達した竹だ。
竹を地面に埋めて固定する。
「されば、存分に腕前をふるわれよ」
小次郎に告げられ、栄助は抜刀一閃、長脇差を竹に深々と食い込ませた。
引き抜き、首筋の高さに一閃する。
一見すると竹を横薙ぎにほぼ切断したように見えた。
「腰がやや前に出過ぎでござる」
だが、心得のある小次郎からすると違う。
彼の指摘を念頭に置き栄助はふたたび首の高さに長脇差をふるった。
「腰に気が向いたせいか、少し疲れ足になってござる」
「疲れ足ってのは?」
初めて耳にした言葉に栄助は首をかしげた。
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