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 これは大きな発見だ。遠打ちの延長線上に家中の士が集まっていれば当然、事態を把握しての追手の人数も増える。だが、駕籠のまわりの家中の士が少なければ追跡の頭数も当初は少ないはずだ。
 これはいいことを発見した――大名家当主を狙うという大事に対し、わざと考えないで栄助はそんなことを思う。
 次に発見したのは、
 藩主が街道を歩く――。
 事実だった。
 当然ながら、一日中駕籠に揺られているのは辛い。だから、大名もみずからの足で歩く機会があるのだ。
 あの殿さまは午(ひる)を過ぎてから駕籠を下りなされる――のだ。
 これは先の発見よりさらに大事な発見だった。
 なぜなら、駕籠の中では大名を狙い撃つのは博奕だが、外を歩いているとこをならば銃丸を狙って命中させることも可能だ。
「という訳だ、殿様を狙うなら徒歩立ちのとき、隊列が崩れてるときだ」
 仲間に合流した栄助は締め切った部屋で興奮をにじませて告げる。
 が、
「まあ、おおむね予想通りだな」
 猪助の冷静な言葉に意気を挫かれた。
「わかってのたか」
「大体はな。渡世人稼業をしていれば大名行列のことはそれなりにわかる」
 なら、下見させるなよ、と栄助は気持ちが腐る。そんな彼を励ますように、
「なに、午を過ぎてからが狙い時ってわかったのは大収穫だ」
 猪助が言葉をかさねる。
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