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「得物は何を使う?」
「へい、鉄砲で。元は猟師で人を追いかけるのにも通じておりやす」
「ほう、なかなか役に立ちそうなのを拾ったな」
 親分は口角をあげた。
「おまえさん、人生ってのはパッと咲いてパッと散るのが上手い生き方だ。その点、陣借り無宿に加わったのは悪くない」
 親分の言葉に、栄助は内心顔をしかめる。
 助左衛門と再会するまで栄助の生き方は地道なものだった。それが正しいと思っていた。今でも人を殺していないなら故郷のあの村で猟師として慎ましく生きていたはずだ。だから、親分のせりは到底受け入れられるものではなかった。
「栄助、返事をしねえか」
 猪助に促され、
「へえ」
 と彼は曖昧な言葉を発する。
「まあ、稼業を続けりゃわかってくるさ」
 親分は気にするでもなく笑った。
 本当にわかるんだろうか――命の花を短期間に咲いて、散るのがいいと言う彼はろくなものではないと栄助は思った。
「それじゃあ、仕事の話といこうや」
 親分が話を切り替える。
「実はな、この先の宿場を縄張りにするやくざが最近、ここいらにも手を伸ばして目障りなんだ、どうにかしてほしい」
「なるほどなるほど」
 親分の言葉に猪助が二度三度とうなずく。
 その軽いやり取りに、栄助は一瞬これが命のやり取りを頼む話だということを忘れてしまった。
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