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のふの指示にしたがって森の夜行の準備が進められる。
野太刀の鞘や壷胡籙には植物の蔓が巻きつけられた。着ている者も泥で汚された。これでは狩りを生計とする狗山と変わらない。
「かような目に遭うとは聞いていないぞ」
在信がなさけない顔で抗議するがのふは構わずに彼の衣装を泥で汚す。それも嬉々としてだ、まるで童だ。
「そなた、まるで兵が嫌いなようだの」
それに将門は笑ってのふに告げた。何気ない一言だ。
「嫌いだよ」
在信の仕度が終わったのふが、こちらを見やって透徹としたまなざしを向ける。
む、と声をもらし将門は一瞬固まった。
「なにゆえ、兵が嫌いなのだ」
そこに在信が声を割り込ませる。彼は心底不思議という顔をしていた。
「何が気に食わなかったのか、あたいの母御は兵に斬り殺されたんだよ」
「まことに相すまない」
とたんに在信が悄然となって謝罪する。
「あんたが謝っても何にもならないよ」
それにのふが冷めた言葉を返した。
「兵が嫌いというなら俺も一緒だ」
将門は抑揚を欠いた声で告げる。なんだって、とのふはいぶかしげな顔つきでこちらを見た。
「実はな」
のふの指示にしたがって森の夜行の準備が進められる。
野太刀の鞘や壷胡籙には植物の蔓が巻きつけられた。着ている者も泥で汚された。これでは狩りを生計とする狗山と変わらない。
「かような目に遭うとは聞いていないぞ」
在信がなさけない顔で抗議するがのふは構わずに彼の衣装を泥で汚す。それも嬉々としてだ、まるで童だ。
「そなた、まるで兵が嫌いなようだの」
それに将門は笑ってのふに告げた。何気ない一言だ。
「嫌いだよ」
在信の仕度が終わったのふが、こちらを見やって透徹としたまなざしを向ける。
む、と声をもらし将門は一瞬固まった。
「なにゆえ、兵が嫌いなのだ」
そこに在信が声を割り込ませる。彼は心底不思議という顔をしていた。
「何が気に食わなかったのか、あたいの母御は兵に斬り殺されたんだよ」
「まことに相すまない」
とたんに在信が悄然となって謝罪する。
「あんたが謝っても何にもならないよ」
それにのふが冷めた言葉を返した。
「兵が嫌いというなら俺も一緒だ」
将門は抑揚を欠いた声で告げる。なんだって、とのふはいぶかしげな顔つきでこちらを見た。
「実はな」
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