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第2話 スマホという概念のない日本
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『昨日、謎の凶器を使い、警察官の公務を妨害するという事件が起きました。容疑者は現在も逃走中とのことです』
翌日、空太はテレビのニュースキャスターが昨日、自分が起こした事件について報道しているのを目にした。どうやら異世界に転生したのは夢ではなかったらしい。
『現場に居合わせた警察官の話によると、犯人は学生で、手に見たこともないものを握っていたとのことです。今後新しい情報が入り次第、お伝えしてまいります。』
空太は安堵した、警察官には顔を見られてはいるが、ニュースでは学生としか報道されていない。スマートフォンがあったなら通行人に撮られている場合も考えたが、やはりこの日本にはスマートフォン――スマホという概念が存在しないようだ。
「問題はこれからどう動いていくかなんだよな~」
空太は異世界の日本に転生したものの、何をしていけばいいのか分からなかった。
今のところ問題は起きていないし、平和な日本というところは変わらないようだ。
さてどうしたものか――空太が考えていると。
ピンポーン!
玄関で誰かが呼び鈴を鳴らしたようだ。
――まさか警察か? そんなことも考えたがその不安はすぐに消えた。
「空太~? 居るの~? 私だよー」
透き通った声が聞こえる。すぐに玄関へ向かう。扉を開けるとそこにいたのは幼馴染の秋葉 凛が立っていた。
整った顔立ち、黒髪ロングを風になびかせ手にはスクールバッグを持っていた。
「凛か、今日は迎えに来てくれたのか」
凛は幼馴染で、家も隣ということもあり、時間があるときには一緒に登校する間柄だ。今日は時間に余裕があったらしく空太の家まで迎えに来てくれたようだ。
「そうだよ~、昨日はあんな事件もあったことだし、一緒に登校しようと思ってね。」
「あんな事件?」
空太が問いかけると。
「あれ? 知らないの? 学生が警察官を、謎の凶器を使って妨害するって事件! 今朝のニュースでもやってたじゃん!」
「そ、そういえばそんなこともやってたな」
空太は犯人は俺だとは言えずに黙っておくことにした。
「それじゃあ、学校いこっか!」
凛はそういうと、俺の袖を引っ張る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 今準備してくるから!」
凛を一旦外に待たせて、登校の準備をする。十分後、玄関に向かい扉を開けて凛と学校へ向かうことにした。
学校へはいつも歩いていくのだが、今日は準備に時間がかかったので、バスで行くことにした。
「もう、空太が早くしないからこうなるんだよ?」
凛は頬を膨らませている。ハリセンボンみたいだな。
「それは悪かったって」
とりあえず謝罪の言葉を述べる。
バスは順調に進み、学校まであと二、三個バス停を過ぎれば到着する。
異世界に転生してもいつもの日常だな、と思っていると。
事件は突然起きる。
「全員動くな!」
突然車内に響く怒声。声のしたほうを見てみると――
手に包丁を持った男が、運転手に包丁を突き付けて告げた。
「このバスは俺が、乗っ取る! 全員いうことを聞け! 聞かなかった奴から殺す!」
「おいおいまじかよ・・・・・・」
空太は小声で呟いた。バスジャックという事件は良くニュースで耳にするが、実際に経験することになるとは。
幸い、空太と凜はバスの最後方に座っていた。犯人の顔はよく見えないが、殺気立っているのは分かった。
「凜、大丈夫か?」
凛に声をかけると、凛は意外と冷静だった。
「なんだろうね? 目的はあるのかな?」
「お前よく冷静でいられるな、俺なんか足が生まれたての小鹿みたいだぞ?」
「空太は、もう少し落ち着いたら?」
凛にそう言われて深呼吸をする。うん、少し落ち着いた。
しかし、どうしたものか、平凡な高校生にできることはない。せいぜい誰かが警察に連絡して・・・・・・連絡?
考えて空太は気づいた。ここはスマホという概念が存在しない日本。誰かが連絡できる状況ではないのだ。
いよいよまずい状況になってきた――そんな時。
ポロン♪
メッセージが届いた。送り主はアンノウンだ。
空太は慌ててスマホをマナーモードにした。この世界でスマホを持っているのは空太だけなのだ。凜にもバレないようにこっそりスマホを確認する。
メッセージが届いていた。送り主はアンノウンだ。
『お困りのようですね』
『ああ、大ピンチだ』
『そんな空太様に耳寄りな情報をお持ちいたしました』
『なんだって? 耳寄りな情報?』
『はい、カメラを起動して、犯人を撮影してください』
『無理なんだが?』
『そこは上手くやってください。空太様』
アンノウンは無理を言ってくる。しかし、やるしかなさそうだ。
「凜、少し下を向いててくれるか?」
「え? どうして?」
「いいから、早く」
「わ、分かったわよ」
凜はおとなしく下を向く。
今のうちにやるしかない。
空太はスマホのカメラを起動する。犯人に向けてスマホを構え、シャッターボタンを押す。
カシャ
上手くいった。犯人を撮影することに成功した。それと同時にメッセージアプリが起動する。
『被写体撮影成功。解析中・・・・・・』
アンノウンが何かをしているようだ。
『解析率100% 解析が完了しました。情報を提供いたします。』
スマホに映し出されたのは犯人の情報だった。
『年齢56歳 職業 無職 犯行動機 金銭を得るため 凶器 刺身包丁 犯罪レベル 低』
「なるほど、こんな風に出るのか」
色々と情報が分かった。アンノウン意外とやるじゃないか。
『それで、これからどうしたらいい?』
空太はアンノウンに問いかける。
『空太様は、犯人を無力化してください』
『無理をいうな、俺は平凡な高校生だぞ』
『私が音声で空太様をサポートいたします』
『音声で?』
『私の音声案内通りに行動してください』
『やるしかないのか? 成功確率は?』
『成功確率は85%です』
『微妙に不安な数字だな! ポ〇モンだったら外すぞ!』
『大丈夫です、音声案内通りに行動してください』
『あーもう、分かったよ! やればいいんだろ!』
『それでは、案内を開始します』
空太は席を立つ。凜が顔をあげた。
「え? 空太? 何してるの?」
「ちょっと待っててくれ」
空太は走り出した!
『行動その1 カメラを起動しフラッシュをオンにし、犯人にフラッシュを浴びせてください』
「信じるぞ! アンノウン!」
空太はカメラを起動しフラッシュをオンにし犯人に浴びせた。
「お前! なにをして・・・・・・うわああああ! 目が! 目が開けられない!」
『行動その2 犯人にタックルしてください』
「うおおおおお!」
空太は犯人に力任せにタックルした。犯人の手から包丁が離れ床に落ちる。
『行動その3 犯人に金的をお見舞いしてください』
「え? それはかわいそうでは・・・・・・?」
男子なら誰でも共感できるであろうそのワードに空太は一瞬躊躇うが、やるしかない。
「ごめんなさい!」
空太は犯人に金的をした。
「~~~~~~っ!!」
声にならない悲鳴を上げて犯人は泡を吹いて倒れた。
「やった・・・・・・のか?」
犯人は床に倒れてピクピクしていたが、もう立ち上がることはできないようだ。
ウ~ ウ~
聞き覚えのあるサイレンが遠くから聞こえてきた。スマホがないのにどうやって?
『私が警察の無線周波数を使い応援を要請致しました。』
『アンノウン、なんでもできるな! 初めからそうしてくれ!』
空太はどっと疲れたが、トラブルは無事解決した。
『本日はお見事でした。空太様』
『もうやりたくないけどな』
そうメッセージを打つと、空太はアプリを閉じた。
「いや~、今日は大変だったね!」
凛が背伸びをしながら言った。
「本当だよ、疲れた・・・・・・」
「それにしても、今日の空太凄かったね! 悪人を成敗しちゃってさ!」
「たまたまだよ、もうやらない」
「ところで、気になってたんだけど・・・・・・」
「ん? なんだ? 言ってみ」
「空太のズボンから聞こえた声、何だったの?」
――さて、どう説明するか。
翌日、空太はテレビのニュースキャスターが昨日、自分が起こした事件について報道しているのを目にした。どうやら異世界に転生したのは夢ではなかったらしい。
『現場に居合わせた警察官の話によると、犯人は学生で、手に見たこともないものを握っていたとのことです。今後新しい情報が入り次第、お伝えしてまいります。』
空太は安堵した、警察官には顔を見られてはいるが、ニュースでは学生としか報道されていない。スマートフォンがあったなら通行人に撮られている場合も考えたが、やはりこの日本にはスマートフォン――スマホという概念が存在しないようだ。
「問題はこれからどう動いていくかなんだよな~」
空太は異世界の日本に転生したものの、何をしていけばいいのか分からなかった。
今のところ問題は起きていないし、平和な日本というところは変わらないようだ。
さてどうしたものか――空太が考えていると。
ピンポーン!
玄関で誰かが呼び鈴を鳴らしたようだ。
――まさか警察か? そんなことも考えたがその不安はすぐに消えた。
「空太~? 居るの~? 私だよー」
透き通った声が聞こえる。すぐに玄関へ向かう。扉を開けるとそこにいたのは幼馴染の秋葉 凛が立っていた。
整った顔立ち、黒髪ロングを風になびかせ手にはスクールバッグを持っていた。
「凛か、今日は迎えに来てくれたのか」
凛は幼馴染で、家も隣ということもあり、時間があるときには一緒に登校する間柄だ。今日は時間に余裕があったらしく空太の家まで迎えに来てくれたようだ。
「そうだよ~、昨日はあんな事件もあったことだし、一緒に登校しようと思ってね。」
「あんな事件?」
空太が問いかけると。
「あれ? 知らないの? 学生が警察官を、謎の凶器を使って妨害するって事件! 今朝のニュースでもやってたじゃん!」
「そ、そういえばそんなこともやってたな」
空太は犯人は俺だとは言えずに黙っておくことにした。
「それじゃあ、学校いこっか!」
凛はそういうと、俺の袖を引っ張る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 今準備してくるから!」
凛を一旦外に待たせて、登校の準備をする。十分後、玄関に向かい扉を開けて凛と学校へ向かうことにした。
学校へはいつも歩いていくのだが、今日は準備に時間がかかったので、バスで行くことにした。
「もう、空太が早くしないからこうなるんだよ?」
凛は頬を膨らませている。ハリセンボンみたいだな。
「それは悪かったって」
とりあえず謝罪の言葉を述べる。
バスは順調に進み、学校まであと二、三個バス停を過ぎれば到着する。
異世界に転生してもいつもの日常だな、と思っていると。
事件は突然起きる。
「全員動くな!」
突然車内に響く怒声。声のしたほうを見てみると――
手に包丁を持った男が、運転手に包丁を突き付けて告げた。
「このバスは俺が、乗っ取る! 全員いうことを聞け! 聞かなかった奴から殺す!」
「おいおいまじかよ・・・・・・」
空太は小声で呟いた。バスジャックという事件は良くニュースで耳にするが、実際に経験することになるとは。
幸い、空太と凜はバスの最後方に座っていた。犯人の顔はよく見えないが、殺気立っているのは分かった。
「凜、大丈夫か?」
凛に声をかけると、凛は意外と冷静だった。
「なんだろうね? 目的はあるのかな?」
「お前よく冷静でいられるな、俺なんか足が生まれたての小鹿みたいだぞ?」
「空太は、もう少し落ち着いたら?」
凛にそう言われて深呼吸をする。うん、少し落ち着いた。
しかし、どうしたものか、平凡な高校生にできることはない。せいぜい誰かが警察に連絡して・・・・・・連絡?
考えて空太は気づいた。ここはスマホという概念が存在しない日本。誰かが連絡できる状況ではないのだ。
いよいよまずい状況になってきた――そんな時。
ポロン♪
メッセージが届いた。送り主はアンノウンだ。
空太は慌ててスマホをマナーモードにした。この世界でスマホを持っているのは空太だけなのだ。凜にもバレないようにこっそりスマホを確認する。
メッセージが届いていた。送り主はアンノウンだ。
『お困りのようですね』
『ああ、大ピンチだ』
『そんな空太様に耳寄りな情報をお持ちいたしました』
『なんだって? 耳寄りな情報?』
『はい、カメラを起動して、犯人を撮影してください』
『無理なんだが?』
『そこは上手くやってください。空太様』
アンノウンは無理を言ってくる。しかし、やるしかなさそうだ。
「凜、少し下を向いててくれるか?」
「え? どうして?」
「いいから、早く」
「わ、分かったわよ」
凜はおとなしく下を向く。
今のうちにやるしかない。
空太はスマホのカメラを起動する。犯人に向けてスマホを構え、シャッターボタンを押す。
カシャ
上手くいった。犯人を撮影することに成功した。それと同時にメッセージアプリが起動する。
『被写体撮影成功。解析中・・・・・・』
アンノウンが何かをしているようだ。
『解析率100% 解析が完了しました。情報を提供いたします。』
スマホに映し出されたのは犯人の情報だった。
『年齢56歳 職業 無職 犯行動機 金銭を得るため 凶器 刺身包丁 犯罪レベル 低』
「なるほど、こんな風に出るのか」
色々と情報が分かった。アンノウン意外とやるじゃないか。
『それで、これからどうしたらいい?』
空太はアンノウンに問いかける。
『空太様は、犯人を無力化してください』
『無理をいうな、俺は平凡な高校生だぞ』
『私が音声で空太様をサポートいたします』
『音声で?』
『私の音声案内通りに行動してください』
『やるしかないのか? 成功確率は?』
『成功確率は85%です』
『微妙に不安な数字だな! ポ〇モンだったら外すぞ!』
『大丈夫です、音声案内通りに行動してください』
『あーもう、分かったよ! やればいいんだろ!』
『それでは、案内を開始します』
空太は席を立つ。凜が顔をあげた。
「え? 空太? 何してるの?」
「ちょっと待っててくれ」
空太は走り出した!
『行動その1 カメラを起動しフラッシュをオンにし、犯人にフラッシュを浴びせてください』
「信じるぞ! アンノウン!」
空太はカメラを起動しフラッシュをオンにし犯人に浴びせた。
「お前! なにをして・・・・・・うわああああ! 目が! 目が開けられない!」
『行動その2 犯人にタックルしてください』
「うおおおおお!」
空太は犯人に力任せにタックルした。犯人の手から包丁が離れ床に落ちる。
『行動その3 犯人に金的をお見舞いしてください』
「え? それはかわいそうでは・・・・・・?」
男子なら誰でも共感できるであろうそのワードに空太は一瞬躊躇うが、やるしかない。
「ごめんなさい!」
空太は犯人に金的をした。
「~~~~~~っ!!」
声にならない悲鳴を上げて犯人は泡を吹いて倒れた。
「やった・・・・・・のか?」
犯人は床に倒れてピクピクしていたが、もう立ち上がることはできないようだ。
ウ~ ウ~
聞き覚えのあるサイレンが遠くから聞こえてきた。スマホがないのにどうやって?
『私が警察の無線周波数を使い応援を要請致しました。』
『アンノウン、なんでもできるな! 初めからそうしてくれ!』
空太はどっと疲れたが、トラブルは無事解決した。
『本日はお見事でした。空太様』
『もうやりたくないけどな』
そうメッセージを打つと、空太はアプリを閉じた。
「いや~、今日は大変だったね!」
凛が背伸びをしながら言った。
「本当だよ、疲れた・・・・・・」
「それにしても、今日の空太凄かったね! 悪人を成敗しちゃってさ!」
「たまたまだよ、もうやらない」
「ところで、気になってたんだけど・・・・・・」
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――さて、どう説明するか。
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