変態天才αに掴まったチョロβの話

認認家族

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メイド服……1ー徹

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「有賀~。駅前のメイドカフェ行こうぜ。すげ~んだよ」
友達が、両手を胸の前でばい~んとする。
「これだから、男ってヤダ」
下駄箱でタイミングが重なった女子がいう。
「なんだよ~。女子だってメイド服興味ないの?可愛くね?」
「…………まぁ、カワイイとは思うけど。……文化祭の出し物、カフェにするし私達も行ってみようか?」
「うんうん」

と言うわけで、男2女2でメイドカフェに行く運びになったのだが……
何故ここに翔がいる!!
「おい…有賀……」
「うん、わかってる。わかってるんだが……」
男友達がジト目で俺を見る。いや、俺だって文句言いたいよ!
「きゃ~。可愛い!」
アニメやエロゲーにでてきそうな、ばい~んで、ぼい~んなメイドさんが翔の天使度にメロメロになっているのだ。
ゆ、許せん。

事のおこりは校門を出たら翔がいて、4人でメイドカフェに行くから遊ぶのはまた今度な、と言ったら
「徹のスケベ、変態!ヤリチン!不潔!」
などと大声で叫んだのだ!子供の声は通る。慌てて翔の口を押さえたが、周り中の視線を集めてる。
「単なるカフェだよ、カフェ!そうだ、翔も行ってみよう、そんなに怪しい所じゃないってわかるから!!」

…で、今にいたる。
「翔君、お姉さんが食べさせてあげる~」
ソファに、絶対領域メイドさんが腰掛けて、むっちり太ももをポンポンする。
膝の上に乗れと!?
いや、羨ましすぎるっ!
「有賀!」
おう!
のそのそ移動する翔を止めねば。翔にムチムチ太腿は10年早い!
「翔、食べさせてあげるから、こっちおいで」
「ありがとう徹!」
満面の笑顔でぴょんと俺の膝の上に乗る翔。取り敢えず、俺らの絶対領域観察権は守ったぞ!
…………、いや、こっちに来いとは言ったが何故膝の上に乗る。
翔君、君の座り方はお兄さんのお兄さんにぶつかるのだよ。可愛いお姉さんを前に緊張しているのかもしれないが貧乏ゆすりはやめてくれ。
「徹?」
まだ幼い瞳が俺を捉える。
俺はなんて汚れているのか!
散らす事に集中せねば。メイドさんを見る余裕も無くなった。ひたすらオムライスを翔の口に運ぶ。
散れ散れ散れ!
息子よおさまれ!
翔がふふっと嬉しそうに笑った。
「ああ、早く大人になりたいな」
「??」
か、翔くん。動かないで。俺ジュニアと背中が擦れる。
散れ散れ散れ!


…………俺はなんの為にメイドカフェに行ったのだろう。高いオムライスを食べに行った、それだけだ。
「じゃあな、有賀!」
鼻の下が伸び切った男友達と別れて翔を家までおくる。
くそう、ヤツばっかり愉しみやがって。
ぜってーリベンジしてやる。

「徹?」
「なんでもないよ。」
うう
澄んだ瞳で見つめないでくれ。


翔を爺さん家に送ると、晩ごはんを食べて行けと言われた。
お言葉に甘える事にする。

翔と遊んでいると爺さんが帰ってきた。挨拶もそこそこにジロリと翔をみて言った。
「聞いたぞ、お前はどうしてそんなにも浅慮なのだ」
センリョ、千両?良く分からないけど、翔が叱られている
「僕は敵を味方につけました!二兎を得ました」
翔がジジイに言い返した。にと?
「そうだな、だが、対処療法だ。次に同じ事がお前の知らない所で起きたらどうするつもりだ?まだまだ幼いな」
翔が悔しそうに唇を噛んだ。
イヤイヤジジイ、翔はまだ小一、幼いに決まってんだろ。なんだよその言い方。
「徹君、この子の未来はキツイものになる。それが分かっているからこそ、私は翔に厳しくするのですよ。」
睨みつけた俺にジジイが言う。
「でも、翔はまだ小さくて」
未来だって色々な未来がある。キツイものになるなんて確定してない。夢だって見れるのになんて言い草だ。
「そう、まだ今ならジュンボクだし間に合う。その間に翔は大人にならなければならない。物事の本質を見極め、根本を叩き潰さねばならない」
ジュンボク??
「本質なんて決まってる!徹が…!」
へ?オレ?
何かを言いかけて翔が押し黙る。薄っすら潤んだ瞳、かわいそうで思わず抱き寄せた。そのままに、爺さんを睨む
「翔、叩き潰せ。方法が思い浮かばないか?つくづく想像力がない。それでもαか」
爺さんの言葉に婆ちゃんが抗議する。
「あなた……。翔はまだ幼いのよ。もう少し優しく諭してあげて」
「…………分かった。翔。こういう方法もあるのだと、学びなさい。私が手本をみせてあげるからな」
「え……。あなた、私はそんなつもりじゃなくて……」
婆ちゃんが青ざめるながら爺さんをとめようとするとするが、それを俺がとめた。
「お婆さん、お願いしましょうよ」
外野なら何だっていえる。幼い翔をここまで追い詰めたのだから、責任とってお手本を見せてもらおうじゃねぇか。……けど、なんの事を言ってんのか分かって無いんだけどさ。
「…………御祖父様、自分が情けないです。でも、今の僕では……プライドなんかで失うよりも実利をとります。よろしくお願いします」
翔が俺の腕の中から出てきて、ジジイに頭を下げた。
「ああ。まかせなさい。けれど翔、敵を敵のままにしては成長はないし、何より勿体ない。敵の良い所は自分にとってプラスにならないのか、その想像力はお前の今後の人生を豊かにするぞ」
ジジイが急に優しくなる。
ジジイは婆ちゃんに弱いからな……

その婆ちゃんはさめざめと泣いている。
「ごめんなさい、ごめんなさい徹君、そんなつもりは無くて…………。」
「はい、お祖父様!」
翔はキラキラした目でジジイを見上げる。

…………
この家ってホント、時々カオスだと思う。












~~~~~~~~~~~~~~~~~~

読者様より、メイドネタを提供していただきました。
ありがとうございます。













    
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