41 / 57
引っ越し祝い会ー徹
しおりを挟む
『翔が暫く我が家で過ごすことになったので、歓迎会をするのですが、徹さんも参加していただけますか?先日のお礼もさせて下さい』
翔のばあちゃんからお誘いメールが来た。
ってか、俺、翔と一回しかあったことないんだけど、既に子守認定?う~ん、けれど、お祝い会ってなると断れないよなぁ…。
母さんに相談したら、「行け」の一言で終わった。
迷子のーーというか、あれ、家出だったんだろうなーーの翔を保護しただけだったんだけど、翔宅のあのカオスな朝食後、爺さんが車で家まで送ってくれて、母さんに手土産と共にお礼言ってくれて。この手土産が半端なく高級品で母さんのテンション爆上がり。
『ウチの孫が徹君に懐きましてね。孫にも兄はいるのですが………』爺さんのしんみりに母さん、『こんなんで良ければいくらでも!!』
こんなんってなんだよ。
まあ、兎に角、そういう訳でまたも翔の爺さん家にお邪魔した。黒塗りの高そうな車で執事さん?が迎えに来てくれた。ご近所さんにびっくりされたぞ。
爺さんのでっかいでっかい家に着くと、翔が飛び込んできた。
「徹~」
うんうん、翔君。大歓迎は嬉しいけれど、身長差があるからソレやめようね。徹徹ってソコで口を動かされるとお兄さんは困るから。俺は犯罪者になりたくない。ああ、ジーパンとか硬いズボンにしときゃよかった。
翔の肩に手をかけて引きはがしながら、しゃがんで視線を合わせて言う
「お招きありがとう」
「徹!」
また、抱きつかれた。まぁ、これなら問題ない。そして前回同様、首をかぷかぷされる。赤ちゃん返りらしい。親と離れて暮らす不安や不満が翔にはあって、そのせいでこうなっているようだ。
家出するくらいだもんなぁ。
頭を撫でてあげていると、翔のばあちゃんがやってきて翔を叱った。
「スミマセンね。徹君」
「いえいえ、赤ちゃん返りみたいですね。」
腕の中の翔がピクリとした。あ、しまった。プライドを傷つけたか?
大丈夫のようだ。まだかぷかぷを続けているからな。
ばあちゃんは困ったような何とも言えない顔をした。
歓迎会のメニューはちょっと不思議だった。
「翔の好物で揃えてみたの」
なるほど。だから前菜?にソフトクリーム。あれ、でも翔にはなし?
「翔が好きになりそうなものも用意したんです。この子は想像力がない。だから、好きなものが少なさすぎる。昨日もソフトクリームをあげたんだが、好きにはならなかった」
「え?こんな美味しい物を?」
「徹、好きなの?じゃあ、僕も好きになる」
対抗意識?
でも好き嫌いってそういう問題でもないんだけどなあ。
とりあえず、とけるからさっさと先端からばくりといく。
「とととととおる!く、くち、口の端からクリームが」
ああ、ちょっとついた。ペロっと舐め取る。うん、美味い。
とおるがとおるがとおるが……って翔がブツブツ呟いている。何か、目がギラギラしてないか。
「どうですか?ウチの料理人の自慢の一品です」
「いや!美味しいです!こんな美味しいソフトクリーム、初めて食べました!クリームが濃厚で、口の中にねっとりと残るのに、食べやすいからとまらない。」
クリームが濃厚クリームが濃厚……
翔がぶつぶつと呟いている。無視してペロペロするとぶほっと変な音が聞こえた。翔がソフトクリームを凝視している。
「食うか?」
差し出すと、恐る恐るペロリとして、満面の笑みになった。
うん。ホントにソフトクリーム好きになったっぽい
いや、だってこのソフトクリーム、マジ美味い。欠点は市販のより溶けやすいこと。今もだけど、クリームがコーンから溢れて手についちゃうんだよ。もったいないから舐め取るけど
「徹が徹が徹が…………悪魔」
「??」
「ううん。チュー○ットより白いね」
「おう、こっちはミルクだからな。」
ミルクが徹にミルクが徹にミルクが……
「?おう。」
徹がミルク徹がミルク徹のミルク…
翔呟きが何かだんだん誤変換されてってる。
とりあえず、無視して食べる。とけるとける。
市販のって、コーンの周りを紙でつつんでいる。今回のはそれがない。やっぱりあれは意味があるんだな。
「手がミルクでベタベタ。濃厚だからですね」
手を洗いに行かねば…と席を立つ直前に手を取られた。翔がペロペロ俺の手を舐める
「こら、ばっちいでしょ。手を洗ってくるから。今度、作ってもらいなさい」
そんなに気に入ったのか~。まぁ、ソフトクリームは美味いからな!
お手伝いさんが、おしぼりを持ってきてくれた。それで手を拭く。
「濃厚なミルクで徹の手がベタベタ……」
翔がぼんやりという。なんだろう?目が虚ろ?
「翔、分かったか?お前に不足しているのは想像力だ。何も考えずに興味を持たずにいるとどうなる?今回、私がソフトクリームを用意しなかったらどうなっていた?昨日、ヒントをやったのにお前は気がつかず、私に先をこされた。それで良いのか?」
「??」
爺さんが翔に小言を言っているが、よくわからん。けれど、思わず背筋がピシッとなる。何か重要な事なのだろう。翔もハッとして爺さんを見る
「いいえ。反省しました。僕はもっと色々なものを見るべきです。」
「そうだ。全てに興味をもて。物には二面性がある。用途は一つじゃない。意外な使用方法があるかもしれない、今後はそういう発想が大切なのだ。」
??
よくわからん。
けど、歓迎会でそんなに重々しく幼児に言わなくてもよくないか?
まぁ、翔も頷いてるし、翔がいいならいいけど……。これじゃ家出もしたくなるよな。また、遊びにきてやんないとなぁ…………
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
副題
こうして変態αが生まれた。
もしくは
変態の祖父はやはり変態
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入り登録、ありがとうございます!
80人も!
108人いったら、ぼんのー企画な作品上げたいけど、このシリーズ自体が煩悩まみれだから、違いが出ないような…………
ま、私でこの作品で100人行く可能性は低いから、近くなったら、考えますか!
私の拙い作品を読んで頂き、いつもありがとうございます!
翔のばあちゃんからお誘いメールが来た。
ってか、俺、翔と一回しかあったことないんだけど、既に子守認定?う~ん、けれど、お祝い会ってなると断れないよなぁ…。
母さんに相談したら、「行け」の一言で終わった。
迷子のーーというか、あれ、家出だったんだろうなーーの翔を保護しただけだったんだけど、翔宅のあのカオスな朝食後、爺さんが車で家まで送ってくれて、母さんに手土産と共にお礼言ってくれて。この手土産が半端なく高級品で母さんのテンション爆上がり。
『ウチの孫が徹君に懐きましてね。孫にも兄はいるのですが………』爺さんのしんみりに母さん、『こんなんで良ければいくらでも!!』
こんなんってなんだよ。
まあ、兎に角、そういう訳でまたも翔の爺さん家にお邪魔した。黒塗りの高そうな車で執事さん?が迎えに来てくれた。ご近所さんにびっくりされたぞ。
爺さんのでっかいでっかい家に着くと、翔が飛び込んできた。
「徹~」
うんうん、翔君。大歓迎は嬉しいけれど、身長差があるからソレやめようね。徹徹ってソコで口を動かされるとお兄さんは困るから。俺は犯罪者になりたくない。ああ、ジーパンとか硬いズボンにしときゃよかった。
翔の肩に手をかけて引きはがしながら、しゃがんで視線を合わせて言う
「お招きありがとう」
「徹!」
また、抱きつかれた。まぁ、これなら問題ない。そして前回同様、首をかぷかぷされる。赤ちゃん返りらしい。親と離れて暮らす不安や不満が翔にはあって、そのせいでこうなっているようだ。
家出するくらいだもんなぁ。
頭を撫でてあげていると、翔のばあちゃんがやってきて翔を叱った。
「スミマセンね。徹君」
「いえいえ、赤ちゃん返りみたいですね。」
腕の中の翔がピクリとした。あ、しまった。プライドを傷つけたか?
大丈夫のようだ。まだかぷかぷを続けているからな。
ばあちゃんは困ったような何とも言えない顔をした。
歓迎会のメニューはちょっと不思議だった。
「翔の好物で揃えてみたの」
なるほど。だから前菜?にソフトクリーム。あれ、でも翔にはなし?
「翔が好きになりそうなものも用意したんです。この子は想像力がない。だから、好きなものが少なさすぎる。昨日もソフトクリームをあげたんだが、好きにはならなかった」
「え?こんな美味しい物を?」
「徹、好きなの?じゃあ、僕も好きになる」
対抗意識?
でも好き嫌いってそういう問題でもないんだけどなあ。
とりあえず、とけるからさっさと先端からばくりといく。
「とととととおる!く、くち、口の端からクリームが」
ああ、ちょっとついた。ペロっと舐め取る。うん、美味い。
とおるがとおるがとおるが……って翔がブツブツ呟いている。何か、目がギラギラしてないか。
「どうですか?ウチの料理人の自慢の一品です」
「いや!美味しいです!こんな美味しいソフトクリーム、初めて食べました!クリームが濃厚で、口の中にねっとりと残るのに、食べやすいからとまらない。」
クリームが濃厚クリームが濃厚……
翔がぶつぶつと呟いている。無視してペロペロするとぶほっと変な音が聞こえた。翔がソフトクリームを凝視している。
「食うか?」
差し出すと、恐る恐るペロリとして、満面の笑みになった。
うん。ホントにソフトクリーム好きになったっぽい
いや、だってこのソフトクリーム、マジ美味い。欠点は市販のより溶けやすいこと。今もだけど、クリームがコーンから溢れて手についちゃうんだよ。もったいないから舐め取るけど
「徹が徹が徹が…………悪魔」
「??」
「ううん。チュー○ットより白いね」
「おう、こっちはミルクだからな。」
ミルクが徹にミルクが徹にミルクが……
「?おう。」
徹がミルク徹がミルク徹のミルク…
翔呟きが何かだんだん誤変換されてってる。
とりあえず、無視して食べる。とけるとける。
市販のって、コーンの周りを紙でつつんでいる。今回のはそれがない。やっぱりあれは意味があるんだな。
「手がミルクでベタベタ。濃厚だからですね」
手を洗いに行かねば…と席を立つ直前に手を取られた。翔がペロペロ俺の手を舐める
「こら、ばっちいでしょ。手を洗ってくるから。今度、作ってもらいなさい」
そんなに気に入ったのか~。まぁ、ソフトクリームは美味いからな!
お手伝いさんが、おしぼりを持ってきてくれた。それで手を拭く。
「濃厚なミルクで徹の手がベタベタ……」
翔がぼんやりという。なんだろう?目が虚ろ?
「翔、分かったか?お前に不足しているのは想像力だ。何も考えずに興味を持たずにいるとどうなる?今回、私がソフトクリームを用意しなかったらどうなっていた?昨日、ヒントをやったのにお前は気がつかず、私に先をこされた。それで良いのか?」
「??」
爺さんが翔に小言を言っているが、よくわからん。けれど、思わず背筋がピシッとなる。何か重要な事なのだろう。翔もハッとして爺さんを見る
「いいえ。反省しました。僕はもっと色々なものを見るべきです。」
「そうだ。全てに興味をもて。物には二面性がある。用途は一つじゃない。意外な使用方法があるかもしれない、今後はそういう発想が大切なのだ。」
??
よくわからん。
けど、歓迎会でそんなに重々しく幼児に言わなくてもよくないか?
まぁ、翔も頷いてるし、翔がいいならいいけど……。これじゃ家出もしたくなるよな。また、遊びにきてやんないとなぁ…………
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
副題
こうして変態αが生まれた。
もしくは
変態の祖父はやはり変態
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入り登録、ありがとうございます!
80人も!
108人いったら、ぼんのー企画な作品上げたいけど、このシリーズ自体が煩悩まみれだから、違いが出ないような…………
ま、私でこの作品で100人行く可能性は低いから、近くなったら、考えますか!
私の拙い作品を読んで頂き、いつもありがとうございます!
24
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる