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プロポーズーΩ疑似薬ー翔

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徹がこっそり不動産サイトを見ていた。

「ただいま~」
「あ、お帰り」
慌てて、パソコンを閉じる。そんな事したって無駄なのにね。
どの物件をブックマークしているかも分かっているんだよ。
高位αなんてものは異常なまでに番に執着するもんだと、まだ分かってないらしい。

ホントにバカわいい。

とはいえ、対策をせねばならない。

この間のプロポーズ、徹は断るつもりだった。
そんな事、許しはしない。

徹に、そんなことを考えさせたあのΩ、許しはしない。見せしめの意味も込めて罰してやる。

徹もだ。
俺から離れて一人暮らしする?
二度と不安にならない、なれない位に愛してあげるよ。

夕食の準備をしている徹に話しかける
「明後日、出かけない?」
「え?お前、出張があるって言ってなかったか?」
「うん。でも、もっと優先しなきゃならないことができて」
「いやいや、そしたら、俺と遊んでいる場合じゃないだろ?それに俺にも予定が」
「誰と?」
被せるように質問すると、徹がワタワタした。
「あ、いや、ふど、」
「ふど?」
「ふ、ふど、太巻きが食べたくて。え、恵方巻のシーズンだしっ」
「何処の?」
「池袋!」
メーカー聞いたんだけどね。でも、キョドる徹もカワイイから許す。
「じゃあ、帰りに買ってかえろう?僕が行きたい所も池袋なんだ」
「お、おう。あ、俺、仕事持ち帰ってるから、続きは明日な。ちゃっちゃと飯にしよう」


徹が仕事を持ち帰ってきたことなんて一度もないけどね。そういう会社に転職させたし
大方、『池袋限定 太巻き』で慌てて調べるのだろう。

ノートパソコンを開いて何やら調べ物をしている徹にそっと近づく
「ねえ、徹」
後からそっと耳たぶにかみつくと、徹の体が跳ねた。画面をバタンと閉じられる
「かかかかかけるっ」
う~ん。カワイイ。挙動不審。
ついついちょっかいかけたくなる。

「お、おれ、仕事中。邪魔しないでくれ。明後日一緒に出かけるだろう?恵方巻、お前の好きな具のヤツだから楽しみにしていろよ。それまで、俺に構うな」

………
邪魔と言われたのはムっとなるけど。
でも!
徹が俺の為に恵方巻を選んでくれるなんて!
俺のこと考えて買った恵方巻なんて徹が僕の為に作ったのと同じじゃないか



土曜日、徹を連れだした。
恵方巻を買えなくなることがわかっているので、先に買っておく。

目的地のマンションに着くと徹が顔を強張らせた

「………ここ?」

「うん。投資用マンション買いたいなあって思ってて」

不動産会社の営業と中に入る。
想像通り、安ぶちんな作りだった。壁は薄いしキッチンも狭い。セキュリティだってダメダメだ

まったく、徹は……
こんな物件に一人で住もうとしていたなんて



まあ、いいけどね。














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