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ビルの屋上に移動する。
陸に元気が戻った。ヘリを近くで見るのも初めてのはずだ
「うわぁ、近くで見ると迫力があるな。コレに乗るのか」
陸が宮下に笑いながら言う
「風が強くてちょっと緊張する~。」
宮下、陸に声をかけられるなんてズルい。
「確かに風は強いけど、ここからの景色もまた特別だよ。ヘリポートは見晴らしがいいし、これからのフライトが楽しみだね。」
負けじと割り込んで陸に話しかけた。
「はい、早くヘリコプターに乗ってみたいです!でも、初めてだからちょっとドキドキしてます!」
興奮のあまり、陸の目がキラキラしている。
「大丈夫だよ。パイロットもプロフェッショナルだから安心して。」
「はい!」
先に私が乗り、陸に手を差しのべる。陸が私の手をしっかりと掴んだ。
あぁ…番の手…。
コホン。
猪瀬の咳払いで我に返る。まだ、私の恋慕が陸に知れるわけにはいかないのだ
「思ってたより広い……そして中も快適そう。でも、凄い音がする…」
つぶやきながら席についた陸にシートベルトをしめてあげる。覆い被さるような感覚に少し動悸が早くなる。
ああ、いつ、私は陸にこんな風に……
コホンコホン。
猪瀬が無粋な咳払いをする。……分かっているっての!
「陸、ヘッドセットをつけると、音も少しは和らぐし、パイロットと話すこともできて、景色の説明も聞けるよ。」
最も、陸と話す権利を人にやったりはしないけどな!
そう思いながら、陸にヘッドセット装着してあげる。無意識なのだろう、陸が目を閉じた。
あぁ、陸。やはり君は私の事が好きなはずだ。こんなにも無防備な姿を私に曝すのだから。美味しそうな唇、私に微かにかかる陸の吐息……
「り……」「京極」
私の声に千葉の声がかぶさる。
………。分かっている。陸と24時間共にいれる。その想いが私の理性を弱めているようだ。つくづく陸は魔性だ。
大きく深呼吸する。
「陸、離陸するときの浮遊感が最高だから、楽しみにするといい」
「はい!」
なんのてらいも無く陸が答える。こんなに壁を感じない陸は珍しい。…………もっと早くヘリに誘えばよかった。
ヘリが離陸する。
陸が興奮したように叫ぶ
「うわぁ、離陸した瞬間の感じがすごい!一瞬、宙に浮かんだみたいな!」
あぁかわいい。
「そうだね、最初は驚くだろう。けれど、すぐに慣れる。」
そう、そんなにヘリが気に入ったなら、何度もでも乗せてあげる。
チラリと猪瀬達をみると、欠伸をしていた。陸に対して眠いアピールだ。そして興奮を抑えきれない陸は私に話しかける。……消去法だろうがなんだろうが、陸が私に話しかけたというのが事実なのだ!
「この高さから見る景色は本当に素晴らしいですね!凄い、富士山がこんなに近くに見えるなんて。」
覗き込むのにシートベルトが邪魔そうなので一時的に私と陸のを外した。
「ほらほら、富士山の冠が上から見える~!」
陸が私を引っ張り込もうとして、逆に倒れこんできた。私の体幹が確立しているためだ。トスっと陸を抱きとめると、陸が上目使いで私を見る。そして自分のおなかを触った。……私を誘惑してきているわけではなく、おそらく自分の筋肉と比較しているはずだ。散れ、邪念。その証拠に陸は『筋トレメニュー見直ししよう…』とつぶやいているじゃないか。
散れ。
するとパイロットがインカムでもっと近寄りますか?と聞いてきた。陸が『かっこええ!』と操縦席を見た。
私が雑念を散らしている間に、パイロットに陸の熱い視線を奪われてしまった。陸がうっとりと見上げる相手は私だけでいいのに。
「私も操縦できるんだよ。今度乗せてあげる」
「ぇえ??凄い!凄すぎる!なんで免許を取ったんですか!?大変だったんじゃないですか?」
陸の意識が私に戻ってくる。
「パイロットは信用している、それでも生殺与奪権を完全に与える訳にはいかないからね、京極の嗣子なら当然の事だ。取得するのはそれほど大変でもなかったよ」
「…」
陸に元気が戻った。ヘリを近くで見るのも初めてのはずだ
「うわぁ、近くで見ると迫力があるな。コレに乗るのか」
陸が宮下に笑いながら言う
「風が強くてちょっと緊張する~。」
宮下、陸に声をかけられるなんてズルい。
「確かに風は強いけど、ここからの景色もまた特別だよ。ヘリポートは見晴らしがいいし、これからのフライトが楽しみだね。」
負けじと割り込んで陸に話しかけた。
「はい、早くヘリコプターに乗ってみたいです!でも、初めてだからちょっとドキドキしてます!」
興奮のあまり、陸の目がキラキラしている。
「大丈夫だよ。パイロットもプロフェッショナルだから安心して。」
「はい!」
先に私が乗り、陸に手を差しのべる。陸が私の手をしっかりと掴んだ。
あぁ…番の手…。
コホン。
猪瀬の咳払いで我に返る。まだ、私の恋慕が陸に知れるわけにはいかないのだ
「思ってたより広い……そして中も快適そう。でも、凄い音がする…」
つぶやきながら席についた陸にシートベルトをしめてあげる。覆い被さるような感覚に少し動悸が早くなる。
ああ、いつ、私は陸にこんな風に……
コホンコホン。
猪瀬が無粋な咳払いをする。……分かっているっての!
「陸、ヘッドセットをつけると、音も少しは和らぐし、パイロットと話すこともできて、景色の説明も聞けるよ。」
最も、陸と話す権利を人にやったりはしないけどな!
そう思いながら、陸にヘッドセット装着してあげる。無意識なのだろう、陸が目を閉じた。
あぁ、陸。やはり君は私の事が好きなはずだ。こんなにも無防備な姿を私に曝すのだから。美味しそうな唇、私に微かにかかる陸の吐息……
「り……」「京極」
私の声に千葉の声がかぶさる。
………。分かっている。陸と24時間共にいれる。その想いが私の理性を弱めているようだ。つくづく陸は魔性だ。
大きく深呼吸する。
「陸、離陸するときの浮遊感が最高だから、楽しみにするといい」
「はい!」
なんのてらいも無く陸が答える。こんなに壁を感じない陸は珍しい。…………もっと早くヘリに誘えばよかった。
ヘリが離陸する。
陸が興奮したように叫ぶ
「うわぁ、離陸した瞬間の感じがすごい!一瞬、宙に浮かんだみたいな!」
あぁかわいい。
「そうだね、最初は驚くだろう。けれど、すぐに慣れる。」
そう、そんなにヘリが気に入ったなら、何度もでも乗せてあげる。
チラリと猪瀬達をみると、欠伸をしていた。陸に対して眠いアピールだ。そして興奮を抑えきれない陸は私に話しかける。……消去法だろうがなんだろうが、陸が私に話しかけたというのが事実なのだ!
「この高さから見る景色は本当に素晴らしいですね!凄い、富士山がこんなに近くに見えるなんて。」
覗き込むのにシートベルトが邪魔そうなので一時的に私と陸のを外した。
「ほらほら、富士山の冠が上から見える~!」
陸が私を引っ張り込もうとして、逆に倒れこんできた。私の体幹が確立しているためだ。トスっと陸を抱きとめると、陸が上目使いで私を見る。そして自分のおなかを触った。……私を誘惑してきているわけではなく、おそらく自分の筋肉と比較しているはずだ。散れ、邪念。その証拠に陸は『筋トレメニュー見直ししよう…』とつぶやいているじゃないか。
散れ。
するとパイロットがインカムでもっと近寄りますか?と聞いてきた。陸が『かっこええ!』と操縦席を見た。
私が雑念を散らしている間に、パイロットに陸の熱い視線を奪われてしまった。陸がうっとりと見上げる相手は私だけでいいのに。
「私も操縦できるんだよ。今度乗せてあげる」
「ぇえ??凄い!凄すぎる!なんで免許を取ったんですか!?大変だったんじゃないですか?」
陸の意識が私に戻ってくる。
「パイロットは信用している、それでも生殺与奪権を完全に与える訳にはいかないからね、京極の嗣子なら当然の事だ。取得するのはそれほど大変でもなかったよ」
「…」
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