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それから旅行までの期間はひたすら仕事仕事の毎日だった。
会社にとって、私が業務に専念できるこの時期はとても有益な時間だ。社員の成長会社の成長に著しい影響を与える。このため、この時期は基本的に私に休日はない。そんな私が1週間休みを取るのだ。会社にとってはなかなかの痛手となるはずだったが、社員の不満は実力で黙らせた。
陸との蜜月を前にすれば私の作業効率・能力は上る一方だ。
部下か持ってくる案件には起こりうる様々な可能性を指摘し、不具合が出ないようにする。
滞りがちな部署には私自ら直接出向き解決案を提示すると同時に担当者の能力向上に努めた。
私が休みを取る1週間、否、10日間程度は社員たちは手持無沙汰になる、それくらい完璧に業務を終わらせた。
猪瀬をはじめ、社員の一部のαには私が番と出会ったことが知られている。今回の事もあって、その者たちは私と陸が早々に番契約を結ぶことを望んだ。
『番とともに過ごせる、それだけで これほどの能力を発揮されるのだ。完全に番契約を終えたら、この方はどこまでいくのだろう。』
陶酔したような目で見てくる。
……陸に会いたい。
陸は私を尊敬してくれているが、こんな目では見ない。
『え?いや、京極様だって人間だからフツーに休憩時間が必要っしょ』
陸が私に休憩を進めたときに『まだ他にも仕事が詰まっています』と反対した社員へ言った台詞だ。
陸の返しに猪瀬もその社員同様、唖然としていた。
けれど私は嬉しかった。そう、私だって疲れる。けれど最高位αというフィルターが私を完全無欠に見せているのだ。
『お疲れ様です。お茶にしませんか』
陸は私を神のようには見ない…
志摩の別荘に向かう日になった。
今日もいい天気で旅行日和だ。天候まで私と陸を祝福してくれている。
「おはようございます。昨日ちょっと寝不足で…すみません」
マンションのエントランスにきた陸は気だるげな表情で言った。
私も寝不足だ。まるで幼い子供が遠足の前日に眠れなくなるように期待で眠れなかった。けれど、疲れは一切ない。
陸と過ごせるのだと思うだけで全身に力が漲る。番という存在はαを最強にさせる。
「そっか。けど、旅行中は色々なアクティビティがあるからヘリの中で少し休むといいよ」
宮下が言う。……その言葉は私が言いたかった。陸を一番に気遣っているのは私だ。出しゃばるな。
「そうだな。青島が体験した事もないアクティビティも計画してる。楽しめるはずだ。コツをヘリの中で話してやる」
猪瀬まで……
いや、猪瀬をはじめ、千葉以外の参加者は皆私の仕事の補佐をしていた。それぞれの限界に近いタスクを与えたから、猪瀬達はほぼ屍状態で、ヘリの中でも寝落ちしているであろう。
となると、陸の話相手は私だけとなる。
「基本的に同じアクティビティはやらない、一発勝負だから、予備知識を入れておいた方が楽しめる。ちゃんと聞いとけよ?」
…猪瀬の査定を上げなければな。
無理矢理招待した猪瀬に対しては不満を持っている陸だが、初のヘリ移動には少しテンションがあがっているようだ。千葉以外は寝落ちするだろし、千葉も寝たふりをするだろう。
事実上、陸と二人っきりだ!
~~~~~~~~~~~
千葉、狸寝入り……
いや、彼は狐かなぁ
ちなみに、猪瀬は完全無欠とは思ってないよ~。
少なくとも、陸に対してはポンコツだって知ってます~~。
そして次回!
京極様のIQが果てしなく下がります
うん?既に皆様の中では下がってる?
違います。京極様は孤高の最上位αなのです!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
会社にとって、私が業務に専念できるこの時期はとても有益な時間だ。社員の成長会社の成長に著しい影響を与える。このため、この時期は基本的に私に休日はない。そんな私が1週間休みを取るのだ。会社にとってはなかなかの痛手となるはずだったが、社員の不満は実力で黙らせた。
陸との蜜月を前にすれば私の作業効率・能力は上る一方だ。
部下か持ってくる案件には起こりうる様々な可能性を指摘し、不具合が出ないようにする。
滞りがちな部署には私自ら直接出向き解決案を提示すると同時に担当者の能力向上に努めた。
私が休みを取る1週間、否、10日間程度は社員たちは手持無沙汰になる、それくらい完璧に業務を終わらせた。
猪瀬をはじめ、社員の一部のαには私が番と出会ったことが知られている。今回の事もあって、その者たちは私と陸が早々に番契約を結ぶことを望んだ。
『番とともに過ごせる、それだけで これほどの能力を発揮されるのだ。完全に番契約を終えたら、この方はどこまでいくのだろう。』
陶酔したような目で見てくる。
……陸に会いたい。
陸は私を尊敬してくれているが、こんな目では見ない。
『え?いや、京極様だって人間だからフツーに休憩時間が必要っしょ』
陸が私に休憩を進めたときに『まだ他にも仕事が詰まっています』と反対した社員へ言った台詞だ。
陸の返しに猪瀬もその社員同様、唖然としていた。
けれど私は嬉しかった。そう、私だって疲れる。けれど最高位αというフィルターが私を完全無欠に見せているのだ。
『お疲れ様です。お茶にしませんか』
陸は私を神のようには見ない…
志摩の別荘に向かう日になった。
今日もいい天気で旅行日和だ。天候まで私と陸を祝福してくれている。
「おはようございます。昨日ちょっと寝不足で…すみません」
マンションのエントランスにきた陸は気だるげな表情で言った。
私も寝不足だ。まるで幼い子供が遠足の前日に眠れなくなるように期待で眠れなかった。けれど、疲れは一切ない。
陸と過ごせるのだと思うだけで全身に力が漲る。番という存在はαを最強にさせる。
「そっか。けど、旅行中は色々なアクティビティがあるからヘリの中で少し休むといいよ」
宮下が言う。……その言葉は私が言いたかった。陸を一番に気遣っているのは私だ。出しゃばるな。
「そうだな。青島が体験した事もないアクティビティも計画してる。楽しめるはずだ。コツをヘリの中で話してやる」
猪瀬まで……
いや、猪瀬をはじめ、千葉以外の参加者は皆私の仕事の補佐をしていた。それぞれの限界に近いタスクを与えたから、猪瀬達はほぼ屍状態で、ヘリの中でも寝落ちしているであろう。
となると、陸の話相手は私だけとなる。
「基本的に同じアクティビティはやらない、一発勝負だから、予備知識を入れておいた方が楽しめる。ちゃんと聞いとけよ?」
…猪瀬の査定を上げなければな。
無理矢理招待した猪瀬に対しては不満を持っている陸だが、初のヘリ移動には少しテンションがあがっているようだ。千葉以外は寝落ちするだろし、千葉も寝たふりをするだろう。
事実上、陸と二人っきりだ!
~~~~~~~~~~~
千葉、狸寝入り……
いや、彼は狐かなぁ
ちなみに、猪瀬は完全無欠とは思ってないよ~。
少なくとも、陸に対してはポンコツだって知ってます~~。
そして次回!
京極様のIQが果てしなく下がります
うん?既に皆様の中では下がってる?
違います。京極様は孤高の最上位αなのです!!
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