4 / 30
4ー最ゼリアにて給餌
しおりを挟む
猪瀬が陸を食事に誘った。
陸と食事……!
番が口をパクっと開けて料理を食べる姿を見れるなんて、想像するだけで眼福…
猪瀬がコホンと咳ばらいをする。
表情筋が死んでいると言われている私だが、にやけてしまったのだろうか。陸はすごいな…私に存在しなかったものを再生させるのだから。だが、そうであるならば注意せねば。私のような地位にいる者にとって無表情は武器だ。
猪瀬が私をちらりと見た後、再び食事を固辞する陸を誘う
猪瀬の狙いは陸の個人情報を引き出すことだ。もちろん調査会社にも依頼はするが陸から聞いた方が早いところも多々ある。
陸が最ゼリヤに行きたいと言った。あの格安チェーン店の最ゼリヤだ。
「そこなら、俺たちが行かないとでも思ったか…」
猪瀬がブツブツ言っている。添加物のない新鮮なものを食べるべきという考え方は上位αに共通の考え方だ。それが可能なだけの経済力もある。だから、陸以外の者がそんな発言をしたら即切り捨てる。
猪瀬が、なじみの店を上げるが陸は最ゼリヤの気分なんですと、譲らない。
なんてかわいらしい。私に遠慮して最ゼリヤというなんて、なんて奥ゆかしいのだ。
陸が食べたいものはいくらでも出してあげるのに。とは言え、私を慮ってくれる陸を認めないのも問題だ。陸を尊重したい。
「陸のリクエストだ。最ゼリアに行くぞ」
猪瀬がブツブツと文句を言うが黙殺した。陸が驚いたように私を見る。本当に行くんですか?と。陸が行きたいと言っているのだ、当然じゃないか。
食事が美味しいという感覚は私にはない。味覚はあるがそれだけだった。それなのに最ゼリヤの料理は今まで食べたどんな料理よりも美味しく感じた。
猪瀬を見てみると眉を潜めていたから、陸という存在が私に食事というものを美味しく感じさせているのだ。
…陸は素晴らしいな。
単品で食べるのはが辛かったようで猪瀬はいろいろなものを注文し、それらを組み合わせてアレンジを行っていた。
そのアレンジは陸にはとても魅力的に映ったようだ。
くださいというのと同時に猪瀬の皿からパスタを奪った。
何てことだ!
私の番がわたし以外の皿から食事を奪うなんて。給餌は番にのみ許される行為なのに。
「陸っ!猪瀬のモノを奪うな。食べたいなら私が陸にあげる」
そう言って、私の皿にあるパスタを陸の口に運んだ。陸は少し不満があるようだった。ひどいな。ちらりと猪瀬を見ると。猪瀬は自分の皿を陸から遠い所に移動していた。
当然だ。私の陸に給餌しようだなんて百万年早い。
けれど陸の視線は猪瀬の皿にいっている。
そうか、陸はアレンジされた料理が食べてみたいのだ。
仕方がない。
猪瀬の前のにある皿を奪い取る。
まあ、猪瀬のものは私のもの。ならばそれを私の手ずから陸に給餌をする分には問題はない。フォークにパスタをクルッと巻いて陸の口へと運んであげる。陸がヒナように口を開けた。
ああなんて可愛い。パスタの味に満足したのだろう。陸が私の皿にフォークを伸ばそうとする。
けれどあげない。
私が給餌してあげたいのだ。陸、私から給餌の機会を奪わないで。
腹に食べ物が入っても陸の警戒感はほぼ変わらない。
好きな食べ物は何?と聞けば素直に答えるが、恋人はいるのかと訊くと曖昧に笑う。
好きなスポーツは何かと聞けえば答えるが、好みのタイプは?と答え聞けばまた曖昧な答えを返す。
返答も簡単にではなく、少し考えてから行っていた。
何をそこまで私に警戒をしているのだろうか?こんちゃんとやらに関して警戒するのは分かる。ただ、それ以外の返答についても何かを考えてから答えている気がする。私に気に入られようとして答えているというわけでもない。もっとも、どんな答えでも私にとっては可愛く思えるのだが。
結局、食事中に陸の婚約者についての情報は得られなかった。なぜか陸は私に婚約者の存在を知られるのを恐れている。当たり前といえば当たり前だ。
私の番に手を出した者がいるなんて許されることではない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブクマありがとうございます!
ブクマが108になったら、ぼんのー企画をやるのが私の通例なのですが…こんな勢いでカウントが回ると思っていなかったので準備が追いつかなかった。
いや~嬉しい誤算。ありがたい。
他の作品読んで下さってる方はご存知かもしれませんが、私にとってブクマが3桁はかなりハードルが高く、特別な思いがあります。ましてや108だなんて、煩悩の数!という事で、けっこうな記念な数だったりします。なので特別な事をしたい!
う~ん……ネタはあった。が、これから書いていると108記念じゃなくてただの番外編になっちゃうけど、いきなり番外編?読者様、嫌じゃないかなぁ……?章を分けるのは作者的にはNGなんですよね……。
陸と食事……!
番が口をパクっと開けて料理を食べる姿を見れるなんて、想像するだけで眼福…
猪瀬がコホンと咳ばらいをする。
表情筋が死んでいると言われている私だが、にやけてしまったのだろうか。陸はすごいな…私に存在しなかったものを再生させるのだから。だが、そうであるならば注意せねば。私のような地位にいる者にとって無表情は武器だ。
猪瀬が私をちらりと見た後、再び食事を固辞する陸を誘う
猪瀬の狙いは陸の個人情報を引き出すことだ。もちろん調査会社にも依頼はするが陸から聞いた方が早いところも多々ある。
陸が最ゼリヤに行きたいと言った。あの格安チェーン店の最ゼリヤだ。
「そこなら、俺たちが行かないとでも思ったか…」
猪瀬がブツブツ言っている。添加物のない新鮮なものを食べるべきという考え方は上位αに共通の考え方だ。それが可能なだけの経済力もある。だから、陸以外の者がそんな発言をしたら即切り捨てる。
猪瀬が、なじみの店を上げるが陸は最ゼリヤの気分なんですと、譲らない。
なんてかわいらしい。私に遠慮して最ゼリヤというなんて、なんて奥ゆかしいのだ。
陸が食べたいものはいくらでも出してあげるのに。とは言え、私を慮ってくれる陸を認めないのも問題だ。陸を尊重したい。
「陸のリクエストだ。最ゼリアに行くぞ」
猪瀬がブツブツと文句を言うが黙殺した。陸が驚いたように私を見る。本当に行くんですか?と。陸が行きたいと言っているのだ、当然じゃないか。
食事が美味しいという感覚は私にはない。味覚はあるがそれだけだった。それなのに最ゼリヤの料理は今まで食べたどんな料理よりも美味しく感じた。
猪瀬を見てみると眉を潜めていたから、陸という存在が私に食事というものを美味しく感じさせているのだ。
…陸は素晴らしいな。
単品で食べるのはが辛かったようで猪瀬はいろいろなものを注文し、それらを組み合わせてアレンジを行っていた。
そのアレンジは陸にはとても魅力的に映ったようだ。
くださいというのと同時に猪瀬の皿からパスタを奪った。
何てことだ!
私の番がわたし以外の皿から食事を奪うなんて。給餌は番にのみ許される行為なのに。
「陸っ!猪瀬のモノを奪うな。食べたいなら私が陸にあげる」
そう言って、私の皿にあるパスタを陸の口に運んだ。陸は少し不満があるようだった。ひどいな。ちらりと猪瀬を見ると。猪瀬は自分の皿を陸から遠い所に移動していた。
当然だ。私の陸に給餌しようだなんて百万年早い。
けれど陸の視線は猪瀬の皿にいっている。
そうか、陸はアレンジされた料理が食べてみたいのだ。
仕方がない。
猪瀬の前のにある皿を奪い取る。
まあ、猪瀬のものは私のもの。ならばそれを私の手ずから陸に給餌をする分には問題はない。フォークにパスタをクルッと巻いて陸の口へと運んであげる。陸がヒナように口を開けた。
ああなんて可愛い。パスタの味に満足したのだろう。陸が私の皿にフォークを伸ばそうとする。
けれどあげない。
私が給餌してあげたいのだ。陸、私から給餌の機会を奪わないで。
腹に食べ物が入っても陸の警戒感はほぼ変わらない。
好きな食べ物は何?と聞けば素直に答えるが、恋人はいるのかと訊くと曖昧に笑う。
好きなスポーツは何かと聞けえば答えるが、好みのタイプは?と答え聞けばまた曖昧な答えを返す。
返答も簡単にではなく、少し考えてから行っていた。
何をそこまで私に警戒をしているのだろうか?こんちゃんとやらに関して警戒するのは分かる。ただ、それ以外の返答についても何かを考えてから答えている気がする。私に気に入られようとして答えているというわけでもない。もっとも、どんな答えでも私にとっては可愛く思えるのだが。
結局、食事中に陸の婚約者についての情報は得られなかった。なぜか陸は私に婚約者の存在を知られるのを恐れている。当たり前といえば当たり前だ。
私の番に手を出した者がいるなんて許されることではない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブクマありがとうございます!
ブクマが108になったら、ぼんのー企画をやるのが私の通例なのですが…こんな勢いでカウントが回ると思っていなかったので準備が追いつかなかった。
いや~嬉しい誤算。ありがたい。
他の作品読んで下さってる方はご存知かもしれませんが、私にとってブクマが3桁はかなりハードルが高く、特別な思いがあります。ましてや108だなんて、煩悩の数!という事で、けっこうな記念な数だったりします。なので特別な事をしたい!
う~ん……ネタはあった。が、これから書いていると108記念じゃなくてただの番外編になっちゃうけど、いきなり番外編?読者様、嫌じゃないかなぁ……?章を分けるのは作者的にはNGなんですよね……。
220
お気に入りに追加
253
あなたにおすすめの小説
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる