Ωにうまれて

認認家族

文字の大きさ
上 下
4 / 10

4

しおりを挟む
救救いは意外な所から現れた。
国税庁だ。
市の監査が入った後も両親は働いてなかった。働いてないから、当然ながら税金なんて納めてない。無収入で子供が二人もいるのだ。むしろ、行政から色々な支援を貰っていた。

当然、近所にやっかまれる。再びチクられたのだろう。マルサとやらがやってきて、箪笥や屋根裏、畳の下まで調べられ、隠していた現金が見つかってしまったのだ。
両親はそれほど頭が良い部類ではなく、すぐにどうやって稼いでいたのかがバレた。

小学生の僕を好事家のもとに送り込んでいたということで両親は児童虐待で逮捕された。両親は僕をシッターさんお願いしただけで、シッターさんが自分たちに内緒で僕に無体な事をしていただけ、息子は私たちにそのことを言わなかったから気が付かなかったと、無罪を訴えていた。
けれど、却下された。僕と妹は児童相談所に保護された。
僕はホッとしていた。
なんで大人が僕に触ったり舐めたりしているのか当時の僕は意味が解らなかったけれど、とても不快で気持ち悪かったから、もうそんなことをしないで済むと言ってもらえて、両親と離れ離れになっても嬉しかった。
妹は違った。可愛い服を買ってもらえなくなって、その元凶の僕を恨んだ。田舎でブランド物のかわいい服を着ていた妹はピラミッドの頂点だったのだ。それが…今やお下がりを着ているのだ。

僕を恨んだのは両親もだ。マルサが入り、両親のメモ書きを発見した捜査官が警察と児相に通報したのだ。そして僕は児相のケアラーに訊かれるがままに答えた。その結果、両親は捕まったのだ。僕が正直に答えなければ両親は捕まることはなかったと妹にも両親にも責められ、当時の僕は自分が悪いのだ。。。と自分を責めた。

今なら、それが言いがかかりだとわかる。
両親は、馬鹿ではあるが商才はあった。僕という商品を効率よく高く回していくかをマネジメントしていた。斡旋業者はヤクザだけあって、そこから紹介される好事家もやはりまともではない者も多かった。つまり加虐趣味がある者もいたのだ。そのため、ディスカウントしてくる客には、傷跡がある状態での斡旋,太い客にはきれいな状態の僕を斡旋していた。そのスケジュール帳を捜査官に見られたのだ。僕が沈黙していたとしてもごまかしようがない状態だった。
スケジュール帳には客の連絡先も載っていた。斡旋業者の中抜き額を知った両親は直接客とやり取りをするようになっていた。そしてそれは当然ながら斡旋業者との契約違反でもあった。このため、客であった好事家のところにも操捜査が及んだ際も斡旋業者は見捨てるだけだった。
両親は契約違反ということで斡旋業者からペナルティーを科された。刑務所の中でなかなかハードな生活を強いられたらしい。それでも違反金の支払いの一割にも満たないため、このまま出所してからも大変なことになると、僕を再び売った。
両親のペナルティ金額は約一億だった。両親と妹の臓器を売ったところでそのような金額にはならない。ある程度肉体労働に従事させたのちに臓器を売る、とういう提案?をされたらしい。世の中にはいろいろな好事家かいるからと。僕の傷跡を見ていた両親は自分がそんな目に合うのは耐えられなかったらしい。
伝手を頼りに頼り、津守というお金持ちの高齢男性に行きつき、僕を売った。
そう、僕はまたも彼らに売られたのだ

津守は、気前よく一億円を前払いした。しかも僕の養育費も出した。けれど、引き取るのはまだ先…僕が成人してからといった。
何故、成人してからなのか…それは行方不明になっても然程問題がないから。体が出来上がっているからそう簡単にこわれないから。
津守の後妻は僕で12人目。以前の妻は行方不明だったり、心臓発作などでなくなっているのだ。十人以上もそんな事が続けば偶然で片づけるには無理がある。
ただ、後妻の家族が警察などに何かを訴えることはなかった。ウチと同じなのだろう。大金と沈黙の引き換えなのだ。
僕を紹介された現妻は自分のリミットを知って青ざめた。青ざめた妻を見て津守はご機嫌になった。嗜虐趣味だけで構成されている津守は恐怖を与えることが出来てご満悦だ。
そして僕は…安堵した。
自分のタイムリミットがあることに。
この先も、僕は客を取り続ける人生しか見えなかった。けれど、高校を卒業して津守に嫁ぎ数年でこの世を去れる。
そう思ったら、気分が楽になった。
自殺する勇気もなかった。気力もなかった僕に、津守は希望を与えてくれた。
タイムリミットがある、そう思ったら、全てが愛おしくなった。

津守は、僕に他者との性的接触を禁じた。感染症になっては困るから。同様に心身の健康を維持するための出費にはいくらでも援助をしてくれた。
僕はそれで弓道部に入ることにした。強いものを折るのが趣味の津守は僕が弓道部に入ったことを悦んだ。心を鍛える部活という点で。
ただ、僕はオメガで力はなかった。だから試合の成績はあまりよくはない。
それでも、この澄んだ空気、道場の静謐さに僕は嵌っていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

βの僕、激強αのせいでΩにされた話

ずー子
BL
オメガバース。BL。主人公君はβ→Ω。 αに言い寄られるがβなので相手にせず、Ωの優等生に片想いをしている。それがαにバレて色々あってΩになっちゃう話です。 β(Ω)視点→α視点。アレな感じですが、ちゃんとラブラブエッチです。 他の小説サイトにも登録してます。

巨根王宮騎士(アルファ)に食べられた僕(オメガ)!

天災
BL
 巨根王宮騎士は恐ろしい!

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺

toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染) ※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。 pixivでも同タイトルで投稿しています。 https://www.pixiv.net/users/3179376 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/98346398

毒親育ちで余り物だった俺が、高校で出会った強面彼氏の唯一になった話 (浮気相手にされて〜スピンオフ)

Q.➽
BL
仁藤 余、16歳。 5人兄弟の末っ子で、兄弟唯一のΩに生まれた彼は、両親からのネグレクトに遭っていた。すっかりひねくれた余はグれ、似たような境遇の仲間達と荒れた中学時代を過ごした。 『余り物』と呼ばれ、理不尽な扱いを受けながら育った少年が、誰かのかけがえの無いたった一人になるまで。 序盤は重め。 ★高校での出会い当初 仁藤 余 16歳 170cm 綾城学園2年 西谷 遼一 17歳 181cm 綾城学園3年 ※一部当初の設定と変更部分があります。 ※この作品は『浮気相手にされて別れたら、ノーマークだった男が『俺の子供産みません?』と、プロポーズしてきた。 』のスピンオフ作品です。

体育倉庫で不良に犯された学級委員の話

煉瓦
BL
以前撮られたレイプ動画を材料に脅迫された学級委員が、授業中に体育倉庫で不良に犯される話です。最終的に、動画の削除を条件に学級委員は不良の恋人になることを了承します。 ※受けが痛がったりして結構可哀想な感じなので、御注意ください。

僕に優しくしてくれたアルファ先輩は、僕を孕ますのが目的でした

天災
BL
 僕に優しくしてくれたアルファ先輩の本当の顔。

「俺の子を孕め。」とアルファ令息に強制的に妊娠させられ、番にならされました。

天災
BL
 「俺の子を孕め」  そう言われて、ご主人様のダニエル・ラーン(α)は執事の僕、アンドレ・ブール(Ω)を強制的に妊娠させ、二人は番となる。

処理中です...