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ドアへと歩きながら思う。
幸人は何時からいたのだろう。
俺が気づかなかった以上、それなりに距離をとっていたはずだ。
俺が飛び降りないという確証はなかったはず。親父から自殺させるなと厳命を受けていただろうに、俺が落ちつくまで待っていてくれた。
……俺が飛び降りていたら、どうするつもりだったんだろう。親父は許さないだろうし。
「俺が足を滑らしていたら、どうするつもりだったんだ?」
「え?追いかけるよ?」
「…………」
当然の様に言われて、猪瀬さんを思った。まるで呪いの様な奴隷契約の様な京極家と猪瀬家の結びつき。
『主君が亡くなれば後を追います』それを当たり前の様にいう。
そんな猪瀬さんだから父さんと番って、余計に苦しんだんだろう……。
「冗談だって」
「…うん」
笑って幸人が言ってくれるから、ソレに誤魔化される事にした。
ウチの玄関先まで幸人が送ってくれた。
「ホントにウチにとまらなくて大丈夫か?」
門にかけた俺の手を上から押さえて幸人が言った
「うん。父さんも心配してるだろうし」
「……分かった」
不器用だよな……と幸人が呟いた。
なに?とそっちをみるけど、首を振るだけだった。
玄関を開けて振り向くと幸人が手を振っていた。
頷いて入っていく。
だから…幸人が呟いた言葉は俺に聞こえる事はなかった。
「お前が学校に行くだろうって連絡したのは貴嗣様だ。……見てなきゃ分かんないだろ、そんな事…」
リビングに行くと、父さんと親父がいた。
「おかえり、架向」
強張った笑顔に気が付かないふりで、ただいまと挨拶をした
「どこ行ってたんだよ。スコーン食べちゃったからな?」
「うん」
父さんには気が付かれていない。良かった。
一方で親父の俺をみる目は険しい。けれど、それに負けていられない。
ズタボロにされた父さんの矜持。俺と猪瀬さんを守る為に棄てた矜持。ならば、俺はそれに報いなければならない。
「お茶淹れるよ」
父さんがソファから立ち上がろうとして、ふらついた。親父に酷使されたのだろう。親父が手を伸ばすが、父さんは無視した。
『ありがとうな』
普段なら、単純によろけただけならそう言って手をとっていたはずだ。
父さんは親父を尊敬していた。小さな会社を経営している父さんだから、親父をより尊敬していたのだろう。
『俺がアイツを嫌っているように見えたか!?』
いいや、父さん。恋愛感情は無くても、慕っているようには見えたよ。
番に拒否されて呆然と突っ立っている親父。自分が何をしたか自覚は無いのだろうか。
…………無いんだろうな。
『番ってしまえば、Ωなんてどうとでもなる』
…親父も俺もそう思っていた。
だからこそ、ビッチングしてでも手に入れようとした。
けれど、その結果がコレだ。
心までは支配できない。体を得ることはできても心は得られない。
……親父がもっと下位だったらそれでも良かったのだろう。けれど、最高位のαともなれば番に対する執着は強い。体だけででは満たされない、番の心も欲して、得られなけば満たされずに心が疲弊していく。
それでも、父さんに定期的にヒートが訪れていた時は、まだマシだったのだろう。その時にささくれ立った心を癒していたのだ。ヒートの時に延ばされる父さんの腕を、自分を求める腕と思うことで。……実際にはヒートの苦しさを緩和する薬剤を求めただけなのだろうけど
それでも、その腕を曲解することで正気を保ってこれた親父は、父さんのヒートが無くなって理性が薄れてしまったのだろう。
『陸から私を求めて』
なんて惨い事をと思ったし、今でも残虐な行為だと思う。
その一方で、憐憫を覚える。心をくれと、仮初でもいい、心をくれと懇願していたのだ。
不可能なことはない、最上位αなのに…
ヘテロの父さんを無理矢理ビッチングして、結果がこれだ。
そして…親父ほどではないにしろ、俺もかなりの上位αだ。
猪瀬さんを無理矢理ビッチングしても、結果は目の前の夫夫にしかならない。
猪瀬さんも、俺も、幸せにはなれなかっただろう
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京極様はさすがに『自分が何をしたか』自覚ありますよ。
陸の信頼を失ってしまっ行動をしてしまった自覚はありますよ~
ただ、失ったと思っていても、態度にあらわされると、実感が伴うのです…
幸人は何時からいたのだろう。
俺が気づかなかった以上、それなりに距離をとっていたはずだ。
俺が飛び降りないという確証はなかったはず。親父から自殺させるなと厳命を受けていただろうに、俺が落ちつくまで待っていてくれた。
……俺が飛び降りていたら、どうするつもりだったんだろう。親父は許さないだろうし。
「俺が足を滑らしていたら、どうするつもりだったんだ?」
「え?追いかけるよ?」
「…………」
当然の様に言われて、猪瀬さんを思った。まるで呪いの様な奴隷契約の様な京極家と猪瀬家の結びつき。
『主君が亡くなれば後を追います』それを当たり前の様にいう。
そんな猪瀬さんだから父さんと番って、余計に苦しんだんだろう……。
「冗談だって」
「…うん」
笑って幸人が言ってくれるから、ソレに誤魔化される事にした。
ウチの玄関先まで幸人が送ってくれた。
「ホントにウチにとまらなくて大丈夫か?」
門にかけた俺の手を上から押さえて幸人が言った
「うん。父さんも心配してるだろうし」
「……分かった」
不器用だよな……と幸人が呟いた。
なに?とそっちをみるけど、首を振るだけだった。
玄関を開けて振り向くと幸人が手を振っていた。
頷いて入っていく。
だから…幸人が呟いた言葉は俺に聞こえる事はなかった。
「お前が学校に行くだろうって連絡したのは貴嗣様だ。……見てなきゃ分かんないだろ、そんな事…」
リビングに行くと、父さんと親父がいた。
「おかえり、架向」
強張った笑顔に気が付かないふりで、ただいまと挨拶をした
「どこ行ってたんだよ。スコーン食べちゃったからな?」
「うん」
父さんには気が付かれていない。良かった。
一方で親父の俺をみる目は険しい。けれど、それに負けていられない。
ズタボロにされた父さんの矜持。俺と猪瀬さんを守る為に棄てた矜持。ならば、俺はそれに報いなければならない。
「お茶淹れるよ」
父さんがソファから立ち上がろうとして、ふらついた。親父に酷使されたのだろう。親父が手を伸ばすが、父さんは無視した。
『ありがとうな』
普段なら、単純によろけただけならそう言って手をとっていたはずだ。
父さんは親父を尊敬していた。小さな会社を経営している父さんだから、親父をより尊敬していたのだろう。
『俺がアイツを嫌っているように見えたか!?』
いいや、父さん。恋愛感情は無くても、慕っているようには見えたよ。
番に拒否されて呆然と突っ立っている親父。自分が何をしたか自覚は無いのだろうか。
…………無いんだろうな。
『番ってしまえば、Ωなんてどうとでもなる』
…親父も俺もそう思っていた。
だからこそ、ビッチングしてでも手に入れようとした。
けれど、その結果がコレだ。
心までは支配できない。体を得ることはできても心は得られない。
……親父がもっと下位だったらそれでも良かったのだろう。けれど、最高位のαともなれば番に対する執着は強い。体だけででは満たされない、番の心も欲して、得られなけば満たされずに心が疲弊していく。
それでも、父さんに定期的にヒートが訪れていた時は、まだマシだったのだろう。その時にささくれ立った心を癒していたのだ。ヒートの時に延ばされる父さんの腕を、自分を求める腕と思うことで。……実際にはヒートの苦しさを緩和する薬剤を求めただけなのだろうけど
それでも、その腕を曲解することで正気を保ってこれた親父は、父さんのヒートが無くなって理性が薄れてしまったのだろう。
『陸から私を求めて』
なんて惨い事をと思ったし、今でも残虐な行為だと思う。
その一方で、憐憫を覚える。心をくれと、仮初でもいい、心をくれと懇願していたのだ。
不可能なことはない、最上位αなのに…
ヘテロの父さんを無理矢理ビッチングして、結果がこれだ。
そして…親父ほどではないにしろ、俺もかなりの上位αだ。
猪瀬さんを無理矢理ビッチングしても、結果は目の前の夫夫にしかならない。
猪瀬さんも、俺も、幸せにはなれなかっただろう
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京極様はさすがに『自分が何をしたか』自覚ありますよ。
陸の信頼を失ってしまっ行動をしてしまった自覚はありますよ~
ただ、失ったと思っていても、態度にあらわされると、実感が伴うのです…
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