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自殺未遂表現があります。
苦手な方、体調の良くない方は、この話は飛ばしてください
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そのまま自宅に帰る。
父さんも親父も在宅で…二人はリビングにいた。
「おかえり、架向」
何事もなかったかのように父さんが俺に声をかける。けれど、ぎこちなさは完全には消せない。
「うん…」
父さんになんて声をかけていいのかわからなかった。
ごめんなさいもありがとうも、すべてが父さんを傷つける。
絶対的王者、専制君主な親父から俺を守るためにはソレしかなかったのだ。
どうすればいいのかわからなくて、自室に逃げ込みたかった。けれど、父さんが怯えている。俺に軽蔑されたんじゃないかって怯えている。
『ビッチ!』
ああ、俺は父さんになんて酷い事を言ったのだろう。
猪瀬さんと番った時の状況なんて詳細は知らない。だけど、今回みたいなものだったのだろう。絶対的王者、残虐な王を前に守らねばならないものがあるなら、自分を顧みている余裕などないのだ。
『ビッチ!』
今、父さんはおれの言葉を思い出しているかもしれない。
覆水盆に返らず。
なんで、俺はこんなにも愚かなんだろう…
「…お土産のスコーンがあるんだ。父さん達も食べる?」
「ああ」
親父が返事をする。その声に父さんが震える。怖いんだ…当然だ。それでも父さんは今まで通りに戻りたいと思っている、表面上だけでも今まで通りの家族に。だから、俺も気が付かないふりで紅茶を用意した。
「はい。美味しいよ」
父さんの目に絶望がうかんだ。
「コンちゃん…」
「あ…」
そうだ、父さんが今回の事を最も知られたくないと思った相手、それが俺と菫さんだったのに。菫さんの所でもらったスコーンなんて渡せば…!
家を飛び出した。逃げ出した。傷つけた父さんを見れなくて。
なんで、なんで俺はこんなに考え無しなんだろう。
猪瀬さん!
猪瀬さんの家に突撃した。
何とかなりたくて、猪瀬さんの気配を探した。けれど、家内は人の気配もなくて。猪瀬さんを少しでも感じ慰められたくて寝室のドアを開けた。
……!
点滴とチューブにつながれた猪瀬さんがいた。
あの場を逃げ出した俺。
『猪瀬の所に行ってくる』
千葉さんが、千葉さんが手配してくれたのだ。父さんを失って壊れてしまった猪瀬さんに医療を受けさせてくれた。
『俺が守るんだ』どの口でそんなことをいえた。
千葉さんはその手配で帰りが遅くなった。菫さんが夜勤から帰ってくるまで本来なら時間があった。菫さんに知られないように事の処理だって出来たはずだ、俺が泊まらなければ
なんで、なんで俺はこんなに人を傷つけるのか!
無我夢中で走った。
気が付いたら、校舎の屋上にいた。
発作的に柵を乗り越えて縁に立つ。
なのに、なのに足がカタカタと震える。
死にたいと思うのに、でも足が震えて一歩が出ない。
情けない。この期に及んでまだ生きたいと心の奥底で思っているのか。だから震えるのか
猪瀬さんを傷つけて父さんを傷つけておいて菫さんを悲しませて、自分は……。
どうして。どうして。
誰か、不甲斐ない俺の背中を押してくれ。
どれくらい経っただろう。
不意に人の気配がした
「…気がすんだか?」
「いつから……」
声をかけられて後ろを振り向くと幸人がいた。
「貴嗣様から連絡を受けて。『陸を苦しめることは許さない』って伝えろって」
…自殺するな。陸が悲しむ。そう言いたいのだ。
そうだ、父さん…父さんが身を挺して庇った息子がそれが原因で自殺なんてしたら、それこそ父さんが…。本当に俺はどうしようもない利己主義だ…
『甘えん坊の世話なんてしている時間はないんだよ』
ホント、どうしようもない……
「何があったんだ?猪瀬さんは意識がないし…とりあえず、こっちにこい」
柵をまたぐ。
幸人はいつからいたのだろうか
「今日はうちに泊まるか?」
首を振った。親父の声にすら怯えていた父さんだ。二人っきりにはさせれない。
俺が帰ったとき二人はリビングにいた。父さんは親父に近付いてほしくなかっただろうけど、そんな配慮をする親父じゃない。父さんがあの家から出られない以上、俺はあの場にいる、それが父さんへの贖罪だ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ブクマが1500を超えた!
いや~ありがたい。
放置状態の『努力…』や『変態天才……』も地味~にブクマが増えているから、嬉しい限りです。この作品を、ではなく、この作品を入口にして私の作品を気に入って下さるご新規様が増えているって事♪、と、勝手にプラス思考解釈
いや~、ありがたいですね~。
自殺未遂表現があります。
苦手な方、体調の良くない方は、この話は飛ばしてください
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そのまま自宅に帰る。
父さんも親父も在宅で…二人はリビングにいた。
「おかえり、架向」
何事もなかったかのように父さんが俺に声をかける。けれど、ぎこちなさは完全には消せない。
「うん…」
父さんになんて声をかけていいのかわからなかった。
ごめんなさいもありがとうも、すべてが父さんを傷つける。
絶対的王者、専制君主な親父から俺を守るためにはソレしかなかったのだ。
どうすればいいのかわからなくて、自室に逃げ込みたかった。けれど、父さんが怯えている。俺に軽蔑されたんじゃないかって怯えている。
『ビッチ!』
ああ、俺は父さんになんて酷い事を言ったのだろう。
猪瀬さんと番った時の状況なんて詳細は知らない。だけど、今回みたいなものだったのだろう。絶対的王者、残虐な王を前に守らねばならないものがあるなら、自分を顧みている余裕などないのだ。
『ビッチ!』
今、父さんはおれの言葉を思い出しているかもしれない。
覆水盆に返らず。
なんで、俺はこんなにも愚かなんだろう…
「…お土産のスコーンがあるんだ。父さん達も食べる?」
「ああ」
親父が返事をする。その声に父さんが震える。怖いんだ…当然だ。それでも父さんは今まで通りに戻りたいと思っている、表面上だけでも今まで通りの家族に。だから、俺も気が付かないふりで紅茶を用意した。
「はい。美味しいよ」
父さんの目に絶望がうかんだ。
「コンちゃん…」
「あ…」
そうだ、父さんが今回の事を最も知られたくないと思った相手、それが俺と菫さんだったのに。菫さんの所でもらったスコーンなんて渡せば…!
家を飛び出した。逃げ出した。傷つけた父さんを見れなくて。
なんで、なんで俺はこんなに考え無しなんだろう。
猪瀬さん!
猪瀬さんの家に突撃した。
何とかなりたくて、猪瀬さんの気配を探した。けれど、家内は人の気配もなくて。猪瀬さんを少しでも感じ慰められたくて寝室のドアを開けた。
……!
点滴とチューブにつながれた猪瀬さんがいた。
あの場を逃げ出した俺。
『猪瀬の所に行ってくる』
千葉さんが、千葉さんが手配してくれたのだ。父さんを失って壊れてしまった猪瀬さんに医療を受けさせてくれた。
『俺が守るんだ』どの口でそんなことをいえた。
千葉さんはその手配で帰りが遅くなった。菫さんが夜勤から帰ってくるまで本来なら時間があった。菫さんに知られないように事の処理だって出来たはずだ、俺が泊まらなければ
なんで、なんで俺はこんなに人を傷つけるのか!
無我夢中で走った。
気が付いたら、校舎の屋上にいた。
発作的に柵を乗り越えて縁に立つ。
なのに、なのに足がカタカタと震える。
死にたいと思うのに、でも足が震えて一歩が出ない。
情けない。この期に及んでまだ生きたいと心の奥底で思っているのか。だから震えるのか
猪瀬さんを傷つけて父さんを傷つけておいて菫さんを悲しませて、自分は……。
どうして。どうして。
誰か、不甲斐ない俺の背中を押してくれ。
どれくらい経っただろう。
不意に人の気配がした
「…気がすんだか?」
「いつから……」
声をかけられて後ろを振り向くと幸人がいた。
「貴嗣様から連絡を受けて。『陸を苦しめることは許さない』って伝えろって」
…自殺するな。陸が悲しむ。そう言いたいのだ。
そうだ、父さん…父さんが身を挺して庇った息子がそれが原因で自殺なんてしたら、それこそ父さんが…。本当に俺はどうしようもない利己主義だ…
『甘えん坊の世話なんてしている時間はないんだよ』
ホント、どうしようもない……
「何があったんだ?猪瀬さんは意識がないし…とりあえず、こっちにこい」
柵をまたぐ。
幸人はいつからいたのだろうか
「今日はうちに泊まるか?」
首を振った。親父の声にすら怯えていた父さんだ。二人っきりにはさせれない。
俺が帰ったとき二人はリビングにいた。父さんは親父に近付いてほしくなかっただろうけど、そんな配慮をする親父じゃない。父さんがあの家から出られない以上、俺はあの場にいる、それが父さんへの贖罪だ。
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ブクマが1500を超えた!
いや~ありがたい。
放置状態の『努力…』や『変態天才……』も地味~にブクマが増えているから、嬉しい限りです。この作品を、ではなく、この作品を入口にして私の作品を気に入って下さるご新規様が増えているって事♪、と、勝手にプラス思考解釈
いや~、ありがたいですね~。
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