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架向18
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「架向、美味しいフルーツが届いているんだ。剥いてあげるから一緒に食べよう?」
猪瀬さん家を出た父さんに言われてなんとか笑って答えた
「うん」
ゲスゲスゲス…!
クズクズクズ…!
「いつもの農家さんのだから楽しみだなぁ…」
ニコニコしている父さんに向かって千葉さんが言う。
「青島、お前は先に帰っていろ。たまには架向と手合わせしてみたいんだ。」
「え?架向凄いな?千葉さんにそんな事を言って貰えるなんて、光栄な事だよ?」
気配を気取られずにリビングにまで到達出来た、そこが気に食わなかったのか。
アホい父さんは喜んでて気付いてないけれど、千葉さんの俺を見る目は厳しい。
ただ、断わらないほうが無難だろう
αというものは番以外には合理的な生き物だ。
だから、千葉さんの父さんに対する態度には違和感がある。
何故、こうも父さんを守るのか。業務提携の問題で親父と良好な関係は維持したいだろうけど、修練をみてあげる必要まではない。自分以外の男が番に触る。親父的には許せないわけで、千葉さんにとっては距離を置いた方が得だ。
何故、こんなビッチΩに。…このαも父さんに喰われたのか。菫さんに救ってもらえてよかったな。だから猪瀬さんにも運命を用意したのか
道場に入る。
「とりあえずかかってきな。」
千葉さんに言われて加減せずに本気でいった。猪瀬さんに運命を紹介?猪瀬さんを奪う輩だ、手加減なんてしない。
……
………
残念ながらながらすぐ転がされる。受け身を満足に取る余裕もなくて、全身を打ち付けてかなりの痛みだった。
「もう終わりか?」
千葉さんのからかうような言い方にムっとして向かっていったけど、またすぐ転がされて諦めた。痛いし、動きたくない。
「……ほんと諦めるの早いよなぁ。青島とは大違いだ。」
……確かに父さんは床に叩きつけられても、それでも何度も千葉さんに向かっていっていた。
「あの青島と最高位アルファの京極の息子だから、それなりになると思っていたんだがな。」
失望した、と千葉さんがぽつりとつぶやく。
あの青島?
親父はともかく、父さんは最下位に近いアルファだったと聞いている。実際、身長だって低いからアルファとしては上位でなかったことが証明されてる。上位αほど恵まれた体躯になるのだから。
下位で、バース転向後はビッチなΩ、それが父さんだ。
俺が上位でないとすれば、それは父さんの劣勢な遺伝子を半分も受け継いでしまったからだ。
あの青島?
鼻で嗤ってしまう
千葉さんは大の字に横たわっている俺を引っ張り上げ、そして再び放り投げた。
「な、なにを…」
無言で何度も繰り返される。無防備でいるわけにもいかない。何とか受け身をとるように心がけた。
痛みがひどい。気を失えたら楽なのにと思うほどだ。
千葉さんの攻撃が止まった。
「来週もやるか?」
「なわけないでしょ?何?八つ当たり?なんで?」
ホントはこっちが痛めつけてやりたいくらいなのに。
「それでも、やるのが青島だ」
「……」
「何を聞いたか知らんが、お前が下に見てる青島はそういうやつだ。お前よりもっと打撲していたがそれでも俺に稽古付けを依頼してきた。猪瀬の為に。そしてお前は何をした?」
「………」
「大事なおうちが無くなっちゃうなんて嫌でちゅ~。ぼくちんの猪瀬さんを奪わないで~ってか?放置してりゃ、猪瀬の番狂いは進行する。むずがってりゃいいだけのお前は楽だな」
カッとなって千葉さんに手を上げようとして、痛みに呻いた。
「青島ならあともう二本は俺に依頼をしてくる」
……俺が父さんより使えないって?猪瀬さんへの想いが劣るって?
「番候補を手配したのは菫さんだ。父さんはここで稽古づけてもらっていただけだ!」
睨みながら言う。
「甘やかしすぎだな、バカ島は。こんな節穴甘ったれじゃ、京極の引退後は没落の未来しかないな。…お前は菫を過剰評価しすぎだ。Ωの遺伝子情報なんてそう簡単に盗れるわけないだろ。猪瀬に見合うランクのΩ…良家のΩともなれば最も秘匿すべき情報だ。青島だよ。ヤツが頭を下げられたらΩも協力しないわけにいかない」
……αもΩも所詮は階級社会。上位Ωに頼まれたら否とは言えない。
「……救いようのないバカだな。せめて俺らの邪魔はするな。猪瀬をのせるだけの体術を青島には教えているがラットになれば別だ。そして、猪瀬が青島をレイプしたらお前の親父がどう出るかなんてわかっているだろう?」
親父は猪瀬さんを殺す。それも簡単には死なない方法で。
「じゃぁな」
手をひらひらと振って千葉さんが道場を出ていく
……
猪瀬さん家を出た父さんに言われてなんとか笑って答えた
「うん」
ゲスゲスゲス…!
クズクズクズ…!
「いつもの農家さんのだから楽しみだなぁ…」
ニコニコしている父さんに向かって千葉さんが言う。
「青島、お前は先に帰っていろ。たまには架向と手合わせしてみたいんだ。」
「え?架向凄いな?千葉さんにそんな事を言って貰えるなんて、光栄な事だよ?」
気配を気取られずにリビングにまで到達出来た、そこが気に食わなかったのか。
アホい父さんは喜んでて気付いてないけれど、千葉さんの俺を見る目は厳しい。
ただ、断わらないほうが無難だろう
αというものは番以外には合理的な生き物だ。
だから、千葉さんの父さんに対する態度には違和感がある。
何故、こうも父さんを守るのか。業務提携の問題で親父と良好な関係は維持したいだろうけど、修練をみてあげる必要まではない。自分以外の男が番に触る。親父的には許せないわけで、千葉さんにとっては距離を置いた方が得だ。
何故、こんなビッチΩに。…このαも父さんに喰われたのか。菫さんに救ってもらえてよかったな。だから猪瀬さんにも運命を用意したのか
道場に入る。
「とりあえずかかってきな。」
千葉さんに言われて加減せずに本気でいった。猪瀬さんに運命を紹介?猪瀬さんを奪う輩だ、手加減なんてしない。
……
………
残念ながらながらすぐ転がされる。受け身を満足に取る余裕もなくて、全身を打ち付けてかなりの痛みだった。
「もう終わりか?」
千葉さんのからかうような言い方にムっとして向かっていったけど、またすぐ転がされて諦めた。痛いし、動きたくない。
「……ほんと諦めるの早いよなぁ。青島とは大違いだ。」
……確かに父さんは床に叩きつけられても、それでも何度も千葉さんに向かっていっていた。
「あの青島と最高位アルファの京極の息子だから、それなりになると思っていたんだがな。」
失望した、と千葉さんがぽつりとつぶやく。
あの青島?
親父はともかく、父さんは最下位に近いアルファだったと聞いている。実際、身長だって低いからアルファとしては上位でなかったことが証明されてる。上位αほど恵まれた体躯になるのだから。
下位で、バース転向後はビッチなΩ、それが父さんだ。
俺が上位でないとすれば、それは父さんの劣勢な遺伝子を半分も受け継いでしまったからだ。
あの青島?
鼻で嗤ってしまう
千葉さんは大の字に横たわっている俺を引っ張り上げ、そして再び放り投げた。
「な、なにを…」
無言で何度も繰り返される。無防備でいるわけにもいかない。何とか受け身をとるように心がけた。
痛みがひどい。気を失えたら楽なのにと思うほどだ。
千葉さんの攻撃が止まった。
「来週もやるか?」
「なわけないでしょ?何?八つ当たり?なんで?」
ホントはこっちが痛めつけてやりたいくらいなのに。
「それでも、やるのが青島だ」
「……」
「何を聞いたか知らんが、お前が下に見てる青島はそういうやつだ。お前よりもっと打撲していたがそれでも俺に稽古付けを依頼してきた。猪瀬の為に。そしてお前は何をした?」
「………」
「大事なおうちが無くなっちゃうなんて嫌でちゅ~。ぼくちんの猪瀬さんを奪わないで~ってか?放置してりゃ、猪瀬の番狂いは進行する。むずがってりゃいいだけのお前は楽だな」
カッとなって千葉さんに手を上げようとして、痛みに呻いた。
「青島ならあともう二本は俺に依頼をしてくる」
……俺が父さんより使えないって?猪瀬さんへの想いが劣るって?
「番候補を手配したのは菫さんだ。父さんはここで稽古づけてもらっていただけだ!」
睨みながら言う。
「甘やかしすぎだな、バカ島は。こんな節穴甘ったれじゃ、京極の引退後は没落の未来しかないな。…お前は菫を過剰評価しすぎだ。Ωの遺伝子情報なんてそう簡単に盗れるわけないだろ。猪瀬に見合うランクのΩ…良家のΩともなれば最も秘匿すべき情報だ。青島だよ。ヤツが頭を下げられたらΩも協力しないわけにいかない」
……αもΩも所詮は階級社会。上位Ωに頼まれたら否とは言えない。
「……救いようのないバカだな。せめて俺らの邪魔はするな。猪瀬をのせるだけの体術を青島には教えているがラットになれば別だ。そして、猪瀬が青島をレイプしたらお前の親父がどう出るかなんてわかっているだろう?」
親父は猪瀬さんを殺す。それも簡単には死なない方法で。
「じゃぁな」
手をひらひらと振って千葉さんが道場を出ていく
……
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