【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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架向10

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猪瀬さんの家に着いた。
合鍵で入ると、土間にまた猪瀬さん以外の男物の靴があった。

……
何より……このニオイ。
あのΩがいる。
ふざけんなっ
凹んでいるんじゃ無かったのかよっ!そんなヤツを呼ぶなんて!
2階にいき、そのまま寝室のドアをノックもせずに開けた。
「……!」
父さん!?
目に飛びこんできたのは四つん這いになってる父さんと獣のように腰を振っている猪瀬さんだった。
父さんが俺に気がついてこちらを向いた。
……別人……。
別人と分かっても心臓は痛いほど鼓動している。
猪瀬さんがΩとセックスしている
寝室にいるのだから当然だ。
けれど、目の当たりにすると……!

猪瀬さんは俺に気が付かない。Ωをより深く串刺しにすることしか頭にない。
ラットになってるんだ…!
Ωが勝ち誇った様な顔をしてうなじを晒した。
「噛んで!噛んで!猪瀬!」
父さんに似た体躯。だからか声質も似ている、いや、似せているのか。
どうでもいい!
スローモーションのように猪瀬さんが口を開けたのが見えた。犬歯!
「させるかよ!」
俺が咄嗟に放った威圧に猪瀬さんの動きが止まる。駆け寄りながらネックレスを引きちぎって抑制剤を猪瀬さんに刺した。
猪瀬さんが昏倒する
二人を引き剥がした。
「ちょっと!」
「黙れ。……今すぐ、ここを出て行け。」
「ここは猪瀬の家だよ。君に言われる筋合いはないよ!」
Ωが叫ぶ。やはり先程の猪瀬さんへの呼びかけの声は父さんを意識したのか、素の声はやっぱり違う。
「この土地も建物も京極の名義だ。裸で放り出されたくなければ直ぐに出ていけ」
父さんに似た体型でも父さんのように鍛えていないΩなど簡単に廃除出来る。
俺の怒気にΩがすごすごと退散した。

裸の猪瀬さんに布団をかぶせた。窓を開けてΩの匂いを換気する
「………」
抑制剤を持っていて良かった。
ヒートになっているΩのうなじを噛めば、99%は番契約が成立する。逆にヒートでもないΩを噛んだところで、大抵番契約は成立しない。あのΩはヒートにはなっていなかったから噛んでも大丈夫だったかもしれない。ただ、猪瀬さんという高位αがラットになっている場合は不明だ。何より、猪瀬さんが誰かに犬歯を……なんて姿は見たくない。
番?
論外だ。
ここは猪瀬さんの家だ。俺の家だ。

「う……」
猪瀬さんが身じろぎする。
……怖い。
あのΩはヒートになってなかった。猪瀬さんはラットにさせられたわけではなくて自らなったのだ。
ソレを強引に止めた俺に対して猪瀬さんは……
「……」
猪瀬さんが何かを呟いた。
恐る恐る顔を近づけて聞き取ろうとすると猪瀬さんが目を開けた。うっとりとした表情を浮かべて腕を俺の後頭部に回し……
え?
え!?
キキキキスされてる!?
啄むようなものから段々……思考がどんどんとろけていき……スマホが振動して我に返った

「猪瀬さん!?」
唇が離れた瞬間に叫ぶと、とろりとしていた猪瀬さんの目に知性が戻った
「ああ、すまん。架向だったか」
てらりと光る唇
………誰と勘違いしたの
俺の髪をぐしゃぐしゃして、悪かったなと言った。
……幼い頃に親父に言われた言葉を思い出した。
『架向は私に似すぎて可愛げが無いな。少しは陸に似れば良かったのに、つまらん』
『何を言っているんだよ!架向はお前に似たから頭も良いし運動神経も良いし体型にも恵まれて眉目秀麗になるぞ!将来が楽しみな息子になんてことを言うんだよ!』
俺を抱きしめて言う父さんを見ながら、親父が言ってたっけ
『まぁ、髪だけは陸に似てくれたからまだマシだな』

………猪瀬さんは頻繁に俺の髪を触る。
………



























~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
陸は何気にツンデレ……
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