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「06051200」
京極の言葉に、はっとする
コンちゃんの首輪の暗証番号だ。なぜそれを京極が知っているのか?
「千葉と私は共同戦線だったからね。陸は暗証番号が何桁かも教えてくれなかったから、最初は西暦と6月5日にしたけれどそれでは解除されなかった。 考えてみると西暦だと一回きりだ。陸はその日を特別と思っていたのだから、何度でも体験したいはずだ。だから0605にしてみた。それでも駄目だった。調べてみたらその日の12時に時計塔の鐘が故障して鳴っていたらしいね。」
…どこまで、どこまでこの男は調べられるのだろう?
コンちゃんと俺が出会った時、コンちゃんは俺を見て涙を流した。
『見つけた……私の証…』
見つけてもらった。涙を流す程俺を求めてくれる人に見つけてもらった。
俺の存在を探してくれる人がいた……!
鐘が鳴った。
まるで祝福の鐘に聞こえた。
「 2人が出会った直後に鐘が鳴るなんてドラマチックだね。 06051200。」
京極が鼻で笑った。その嗤い方にぞくりとする。
「でもあの女は千葉を選んだ。そして君は…あの女を諦めた。違う、あの女のために離れた、心に残したままに。」
幼い俺を救い出してくれたコンちゃんを忘れることなんて、この先無い。あの鐘の音は一生忘れないだろう。
「ならば誰が陸の隣にきても同じだ。陸を一番に思う人に陸は一番を返せない。
でも、それでもいいと言う者だっている。私は陸が隣にいてくれるなら、あの女に想いが残っていてもいい。…………女は上書き、男はフォルダ分けって言う位だし?陸、私は誰よりも陸を欲しているよ。陸がいない世界なんて意味が無いと思う位に」
…………知ってる、知ってるさ、京極がどう思っているかなんて。落ち込んでいる時、ヒートの時、京極のその執着は孤独感に苛まれる俺の救いにもなっていた。
「ねぇ、オメガの君には番がいた方がこの先の生活は楽だ。ただ陸と番うだなんて蛮行を行うαはいない。…ねぇ、陸?君は私に一定の敬意を抱いてくれている。年を取って、私がいなくなって尊敬もできない相手とマッチングをし続ける日々よりも私と番う人生の方がよりいい人生だと思うよ?陸を一番に想い陸が守りたいたと思う場所をつくってあげれる。私とセックスできないわけでもないし。」
ぎくりとする。今ここであの時のことを持ち出すのか。
結婚式のあと、俺は打ちのめされていた。
過去の自分の行いの愚かさに凹んでいた。
胸がつぶれそうだった。
このあと二人は…
『考えるな。陸。陸、戻ってこい!』
体が急速に冷えていく感覚…。京極が舌打ちして、そして俺の体が突然熱くなった。フェロモンで俺をヒートにしたのだ。
『京極、お前…』
『うるさい。考え事なんてできない状態にしてやる』
そういって、こいつは俺を抱いた。
過ぎた快楽は拷問にも等しくて、そこから逃れることだけしか考えられなくなっていた。コンちゃんが頭をよぎるなんていう余裕もなかった。正直、自分がどんな痴態を演じたのか知りたくもない。
覚えているのは、脳が焼き切れそうなほどの快楽とこいつの俺をよぶ声。
『陸、陸、陸…!』
『私の番!』
俺を喰らいつくす激情
『陸さえいればいい』
俺だけを求める声……。
「…あれは、お前がフェロモンで…」
「そうだね。ならばこの先10年も40年もそれでいいでしょ?一人になるよりも……」
そういいながら、京極が俺を抱きしめてキスをしてきた。
振りほどこうとしてボートがゆれた。
「……転覆しちゃうかもね?お店の人に迷惑がかかっちゃうね?」
耳元でささやかれる。
…店に迷惑をかけるわけにはいかないから。
「私は死ぬまで君しかいらない」
京極の舌が入ってくる。…甘い唾液。体の力が抜けていく。
「君が帰る場所をあげる。家族をあげる。君が無条件で愛し愛される家をあげる」
俺の帰る場所……
京極が覆いかぶさってくる。
舌がより深く交わって…フェロモンにぼんやりしてくる
「陸、私と番って?頷いて?」
ぼんやりとする頭で頷いた。
「ありがとう、陸」
満たされたように笑う京極。
「次のヒートで番うからね。…予約」
首輪を外され、がぶりと本当にがぶりと京極がうなじを噛んだ。
「痛え!」
強い刺激に思考が急にはっきりとする。
「痛えぞ、京極」
「言質は取ったからね、陸?」
『家をあげる』……そうか。
「……フェロモンで頷かせただけじゃないか」
素直に返せなくて悪態をついた俺に京極は余裕の笑みを見せた
「そうだね、でも頷いてくれたのは確かだ。返品は効かないよ。」
そう言いながらボートを漕ぎ出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
京極様の家族情報が欲しいとのお声をいただきました。
詳細を煮詰めていないのですが、歳の離れた弟(α)と妹(Ω)がいます。
歳が離れていることや色々な事があったので、仲が悪いわけではありませんが距離感はあります
京極の言葉に、はっとする
コンちゃんの首輪の暗証番号だ。なぜそれを京極が知っているのか?
「千葉と私は共同戦線だったからね。陸は暗証番号が何桁かも教えてくれなかったから、最初は西暦と6月5日にしたけれどそれでは解除されなかった。 考えてみると西暦だと一回きりだ。陸はその日を特別と思っていたのだから、何度でも体験したいはずだ。だから0605にしてみた。それでも駄目だった。調べてみたらその日の12時に時計塔の鐘が故障して鳴っていたらしいね。」
…どこまで、どこまでこの男は調べられるのだろう?
コンちゃんと俺が出会った時、コンちゃんは俺を見て涙を流した。
『見つけた……私の証…』
見つけてもらった。涙を流す程俺を求めてくれる人に見つけてもらった。
俺の存在を探してくれる人がいた……!
鐘が鳴った。
まるで祝福の鐘に聞こえた。
「 2人が出会った直後に鐘が鳴るなんてドラマチックだね。 06051200。」
京極が鼻で笑った。その嗤い方にぞくりとする。
「でもあの女は千葉を選んだ。そして君は…あの女を諦めた。違う、あの女のために離れた、心に残したままに。」
幼い俺を救い出してくれたコンちゃんを忘れることなんて、この先無い。あの鐘の音は一生忘れないだろう。
「ならば誰が陸の隣にきても同じだ。陸を一番に思う人に陸は一番を返せない。
でも、それでもいいと言う者だっている。私は陸が隣にいてくれるなら、あの女に想いが残っていてもいい。…………女は上書き、男はフォルダ分けって言う位だし?陸、私は誰よりも陸を欲しているよ。陸がいない世界なんて意味が無いと思う位に」
…………知ってる、知ってるさ、京極がどう思っているかなんて。落ち込んでいる時、ヒートの時、京極のその執着は孤独感に苛まれる俺の救いにもなっていた。
「ねぇ、オメガの君には番がいた方がこの先の生活は楽だ。ただ陸と番うだなんて蛮行を行うαはいない。…ねぇ、陸?君は私に一定の敬意を抱いてくれている。年を取って、私がいなくなって尊敬もできない相手とマッチングをし続ける日々よりも私と番う人生の方がよりいい人生だと思うよ?陸を一番に想い陸が守りたいたと思う場所をつくってあげれる。私とセックスできないわけでもないし。」
ぎくりとする。今ここであの時のことを持ち出すのか。
結婚式のあと、俺は打ちのめされていた。
過去の自分の行いの愚かさに凹んでいた。
胸がつぶれそうだった。
このあと二人は…
『考えるな。陸。陸、戻ってこい!』
体が急速に冷えていく感覚…。京極が舌打ちして、そして俺の体が突然熱くなった。フェロモンで俺をヒートにしたのだ。
『京極、お前…』
『うるさい。考え事なんてできない状態にしてやる』
そういって、こいつは俺を抱いた。
過ぎた快楽は拷問にも等しくて、そこから逃れることだけしか考えられなくなっていた。コンちゃんが頭をよぎるなんていう余裕もなかった。正直、自分がどんな痴態を演じたのか知りたくもない。
覚えているのは、脳が焼き切れそうなほどの快楽とこいつの俺をよぶ声。
『陸、陸、陸…!』
『私の番!』
俺を喰らいつくす激情
『陸さえいればいい』
俺だけを求める声……。
「…あれは、お前がフェロモンで…」
「そうだね。ならばこの先10年も40年もそれでいいでしょ?一人になるよりも……」
そういいながら、京極が俺を抱きしめてキスをしてきた。
振りほどこうとしてボートがゆれた。
「……転覆しちゃうかもね?お店の人に迷惑がかかっちゃうね?」
耳元でささやかれる。
…店に迷惑をかけるわけにはいかないから。
「私は死ぬまで君しかいらない」
京極の舌が入ってくる。…甘い唾液。体の力が抜けていく。
「君が帰る場所をあげる。家族をあげる。君が無条件で愛し愛される家をあげる」
俺の帰る場所……
京極が覆いかぶさってくる。
舌がより深く交わって…フェロモンにぼんやりしてくる
「陸、私と番って?頷いて?」
ぼんやりとする頭で頷いた。
「ありがとう、陸」
満たされたように笑う京極。
「次のヒートで番うからね。…予約」
首輪を外され、がぶりと本当にがぶりと京極がうなじを噛んだ。
「痛え!」
強い刺激に思考が急にはっきりとする。
「痛えぞ、京極」
「言質は取ったからね、陸?」
『家をあげる』……そうか。
「……フェロモンで頷かせただけじゃないか」
素直に返せなくて悪態をついた俺に京極は余裕の笑みを見せた
「そうだね、でも頷いてくれたのは確かだ。返品は効かないよ。」
そう言いながらボートを漕ぎ出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
京極様の家族情報が欲しいとのお声をいただきました。
詳細を煮詰めていないのですが、歳の離れた弟(α)と妹(Ω)がいます。
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