181 / 243
179
しおりを挟む
仔虎を見る為にマンションを出るとすでに京極がいた。
国産のSUV、運転してみたいが万が一傷でもつけたらと思うともっぱら助手席にいるしかない。
さんきゅ、と言いながら車に乗る。
ご丁寧にドリンクフォルダーには俺の好きなカフェのコーヒーがおかれていた。
……。
はぁ…
ため息を聞き取った京極がブランケットを後部座席から取って俺にかける。
「疲れているなら、少し眠って?朝早くなっちゃったから」
「……」
ため息の理由はそれじゃないんだが、気にしても無駄だろう…
この車に乗るのは何度目か。もう手慣れたものだ。
オープンカーからこの車に変えたとき、こいつは不安そうに俺を見た。
『雨だから…ホロをかけるなら同じかと思って…』
だったら、同じ密室ならば、俺がいつか乗ってみたいと言っていた車にしようと思ったのだろう。何年も前、京極に出会った頃の話だ。…よく覚えていたな
『……やっぱカッコイイ車だな』
日本車の頂点。
その車のお披露目をここまで怯えた表情でするのか。
俺の反応がそこまで怖いか。だいたい今更だろう。
こいつはいつでも俺を拉致れる。いまさら車が密室も何もあったもんじゃない。
……何度もヒートをコイツと過ごした。
社会人になって二年目、Ω差別も多くてまだまだ敵ばかりで気が張っていた。
ヒートの薬にも耐性ができてきて、ストレスもあってか効きが悪くなってきていた。
『陸…私をつかってくれ。』
年々ヒートは重くなり、一回のヒートで体重は激減して体力もだんだん落ちていく。番のいないΩが、特に男性Ωが短命というのは納得がいく。
見かねた京極がそんな提案をしてきたが、そんなことはできないと拒否した。
京極は…俺に新しい恋愛をするなとはいわなかった。…多少の妨害はしても。
もちろん、αが俺に声をかけてくることはなかった。自殺行為とでも思っているのだろう。
俺がΩである事を知らないβ女性がナンパしてくることはある。取引先から好意を寄せられることもある。あるけれど…気軽に、試しになんて俺は付き合えなかった。諦めたけれど、それでもまだ、俺はまだコンちゃんを引きずっている。その状態でなんて相手に失礼だ。
一人で過ごすヒートは体への負担が大きい。栄養補給や体を清潔にといった身の回りの事もヒート中は自分でできやしない。体は不調になっていき、周期も乱れがちになった
『陸…私をつかってくれ。単なる…単なる棒だと思えばいい。』
ヒートには慣れざる得なかった。でも後ろを慰めるにはまだ抵抗があった。何より俺に執着しているαに俺のヒートの世話をさせるなんて、危機感が皆無だろう。
『治療行為だと思えばいい。私は自分の快楽を追ったりしない、約束する』
信じられないし、もしも本当に自制をするというなら、それはそれで嫌だ。俺がこいつを利用しているようじゃないか
『αの精液はオメガの妙薬 って聞いたことない?』
『な!?ば、バカ!場所をわきまえろ!』
いくら芸術ばりの容姿をしていても通りで言っていいセリフと言ってはいけない単語があるだろ!
……
俺だって男だし以前はαだった。その状態がどれだけきついかってわかる。猪瀬に至っては手術をしようとしたくらいだ。
あらゆる意味で京極の申し出は却下した
国産のSUV、運転してみたいが万が一傷でもつけたらと思うともっぱら助手席にいるしかない。
さんきゅ、と言いながら車に乗る。
ご丁寧にドリンクフォルダーには俺の好きなカフェのコーヒーがおかれていた。
……。
はぁ…
ため息を聞き取った京極がブランケットを後部座席から取って俺にかける。
「疲れているなら、少し眠って?朝早くなっちゃったから」
「……」
ため息の理由はそれじゃないんだが、気にしても無駄だろう…
この車に乗るのは何度目か。もう手慣れたものだ。
オープンカーからこの車に変えたとき、こいつは不安そうに俺を見た。
『雨だから…ホロをかけるなら同じかと思って…』
だったら、同じ密室ならば、俺がいつか乗ってみたいと言っていた車にしようと思ったのだろう。何年も前、京極に出会った頃の話だ。…よく覚えていたな
『……やっぱカッコイイ車だな』
日本車の頂点。
その車のお披露目をここまで怯えた表情でするのか。
俺の反応がそこまで怖いか。だいたい今更だろう。
こいつはいつでも俺を拉致れる。いまさら車が密室も何もあったもんじゃない。
……何度もヒートをコイツと過ごした。
社会人になって二年目、Ω差別も多くてまだまだ敵ばかりで気が張っていた。
ヒートの薬にも耐性ができてきて、ストレスもあってか効きが悪くなってきていた。
『陸…私をつかってくれ。』
年々ヒートは重くなり、一回のヒートで体重は激減して体力もだんだん落ちていく。番のいないΩが、特に男性Ωが短命というのは納得がいく。
見かねた京極がそんな提案をしてきたが、そんなことはできないと拒否した。
京極は…俺に新しい恋愛をするなとはいわなかった。…多少の妨害はしても。
もちろん、αが俺に声をかけてくることはなかった。自殺行為とでも思っているのだろう。
俺がΩである事を知らないβ女性がナンパしてくることはある。取引先から好意を寄せられることもある。あるけれど…気軽に、試しになんて俺は付き合えなかった。諦めたけれど、それでもまだ、俺はまだコンちゃんを引きずっている。その状態でなんて相手に失礼だ。
一人で過ごすヒートは体への負担が大きい。栄養補給や体を清潔にといった身の回りの事もヒート中は自分でできやしない。体は不調になっていき、周期も乱れがちになった
『陸…私をつかってくれ。単なる…単なる棒だと思えばいい。』
ヒートには慣れざる得なかった。でも後ろを慰めるにはまだ抵抗があった。何より俺に執着しているαに俺のヒートの世話をさせるなんて、危機感が皆無だろう。
『治療行為だと思えばいい。私は自分の快楽を追ったりしない、約束する』
信じられないし、もしも本当に自制をするというなら、それはそれで嫌だ。俺がこいつを利用しているようじゃないか
『αの精液はオメガの妙薬 って聞いたことない?』
『な!?ば、バカ!場所をわきまえろ!』
いくら芸術ばりの容姿をしていても通りで言っていいセリフと言ってはいけない単語があるだろ!
……
俺だって男だし以前はαだった。その状態がどれだけきついかってわかる。猪瀬に至っては手術をしようとしたくらいだ。
あらゆる意味で京極の申し出は却下した
580
お気に入りに追加
1,572
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる