【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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俺の番契約の件の詳細は外には知られていない。
ただ、αであれば目の前のΩが未契約かどうかくらいはニオイでわかる。そしてマーキングしたαのニオイを認識していれば相手が誰だか分かる。
猪瀬はセフレにはある程度の貞淑を求め(性病リスク回避、クズだな)軽いマーキングをしていたから西野も猪瀬のフェロモンは知っている
『なんで態々、自分を追い詰める様な行為をするんだ……馬鹿島……』
契約後、初めて西野に教室で会った時、西野は呆然と俺を見つめ、俺を抱きしめた。あの場で起こった事は口外されていない。けれど、俺がこの道を選択した事は想像がついたのだろう
怒りか何かに震えている西野の背中をポンポンと叩いて慰めた。
『お前の捨て身の攻撃はおまえを大切に思う者を傷つけてるんだよ!』
うん、そうだね累兄さん。ありがとう西野。


…………って思ったけどさぁ!
アレが原因だろ、今の事態は。
俺に抱きついても西野が処分されていない→京極は他のαの番になった青島に興味を失った&猪瀬は青島という番に興味は無い。→Ωだったくせにαのふりをしていたヤツ。むかつく。→嫌がらせしてやろうってトコだろう。
まったく……。

西野が無事だった理由は正直分からない。
猪瀬は俺には貞淑なんて求めない、何なら京極とヤってきてくれとでも思っているだろう。最も番ってる時点で他の者とやることはできないから猪瀬としては更にどうでも良いはずだ。
ただ、京極は違う。ヤツは今だに俺を求めていて、更に言うなら週1の面会が続いている。契約済のΩが番以外の性的に己を求める者と会うという事、それがここまで辛いとは思ってもみなかった。猪瀬同伴だからまだ何とか耐えられるが………。
あの場にいたゲスαと契約させられたΩを思うと申しわけなさがつのる。ヒートの相手をする条件として、『体を売ってこい』と言われたら従わざるえないのだ。
俺が京極と会ったところで彼女達が救われるわけじゃない、そんなの贖罪にもならない事くらいわかってる。けれど、自分たちだけのうのうと過ごすことも出来ない。京極から漏れ出るフェロモンを浴びる時間は吐き気との戦いで、そうなっている俺を見て京極も凹むのなら、まだ少しは意味があると思う
京極と会わないという手を取れば、京極はそのうち俺を焦がれ過ぎてそのうちに死ぬ。猪瀬も後追いして俺は番契約が解除される。俺だけが、彼女達を苦しめたのに俺が助かるなんて赦されない。だから、会い続けるのだ。
…………兄にバレたらまた怒られるだろうけど。自己満足の世界?そうかもしれない。でも、これくらいしてないと罪悪感で押し潰さる。これは必要な行為だ。

「青島?」
ため息をついた俺を西野が心配そうに見つめる。
「なんでもない」
「そっか」
背中をバンバンと叩いてくる
「痛えな、おい!」
「痛くしてんだ馬鹿島」
笑いながら言われた。
ああ…そういうことか。
京極が西野を排除しなかった理由。俺が吐いたりしてないから。西野は俺を気に入っているが、それは完全に友情だから。
その西野を排除すれば俺がどうするかなんて分かりきっているからだ。
ヤツも少しずつ……。

「しかし、お前ちゃんと食ってるのか。」
「…………食ってるよ」
ただ、戻してしまう事が多いだけだ。自分のストレス耐性はここまで低くは無かったと思うのに。
猪瀬も俺の体重減少には気がついている。貴嗣様至上主義のヤツですら『会合の頻度を減らすか』と提案してくるくらいなのだから、相当ヤバイのかもしれないが。
けれどお互い様だろう、ヤツの窶れようも酷いものがある。貴嗣様への自責の念でやられているのだろう。あとは性欲か。。俺という上位Ωと番わされた弊害だ。満足感が得られないからたんまりいたセフレとは縁を切り、結果、欲求不満が溜まっているのだろう
自業自得とはいえ、俺の下着を盗んでいる姿を見ると哀れみすら覚えた。
上位αのお相手が自身の右手とはな…。







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