【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

文字の大きさ
上 下
154 / 243

152

しおりを挟む
猪瀬との同居生活は意外と苦痛ではなかった。まぁ、力関係が俺の方が上だからという所も大きいのだろう。
俺のΩフェロモンが漏れ出ているのだろう、時折ヤツがゴクリと生唾を飲み込む音がする。そんな時は流石に緊張するが、ヤツはラットにでもならない限り神に背を向けるような事はしない。手出しされる心配も無く番のフェロモンに癒やされた。

意外なのは、京極だ。
猪瀬を切ると思っていたが、そのまま右腕として使っている。
京極の無期限停学は未だ解かれていない。猪瀬は授業の合間や放課後に京極のいる会社に顔を出して仕事をしている。
京極貴嗣と言えどもずっと共に過ごしてきた猪瀬を排除するのは難しかったか。それが感情的なものなのか政治的なものなのかは不明だが、想定通りで安堵する。俺が原因で消されるなんて夢見が悪すぎる。

猪瀬は今朝もシャワーを浴びて家を出た。俺のフェロモンが体についているからだろう、まぁ目が覚めると猪瀬の腕の中にいることが通常になっているから当然だが。ついでにいうと、ヤツは100%兆している。元々αは性欲旺盛だし、上位になればなるほど、良い遺伝子を後世に残す為に絶倫仕様に神が造ったと言われるほどだから驚くことではない。感情はさておき番のフェロモンを嗅いで寝ているのだ、生理現象だ。同じ男として少しだけ気の毒ではある。餌を眼の前に置かれてマテをさせられている。飼い主は少しだけ離れた所で犬が勝手に食べないかギラギラした目で監視しているのだ。流石に同情する。まぁ、手は出されたくないから、複雑ではある。

猪瀬を見送った後、大学へ向かった。
「ビッチ登校」
「京極様かと思いきや猪瀬さんとは。この大学の2大巨塔を制すとは」
「あはは、2大巨塔。確かに!Ωじゃなきゃ引き裂かれて死んでるよな」
「アレ受け入れられんだぞ?もうケツ穴ガバガバなんじゃね」
「いやいや、仮性Ω、いや、仮性αの現Ω?だぜ?締りは良いだろう?俺達ともどぉ?」
…………うるさい。
ここって一応日本最高峰の学府だよな?
学ばない連中だな。ついこの間俺を揶揄したαが転学したってのに。しかも負け犬の遠吠えじゃないが距離を取って言ってくる
「ちょっと、やめときなよそこのβ。どうなっても知らないよ?前にアホな事をいったコ達がどうなったか忘れたの?」
数少ないΩ女子が言う
「え~。だってさあの時は青島フリーだったじゃん。もう番契約も済ませたから興味もないだろ」
……それだったらどんなに良いか。その程度の想いならわざわざビッチングなんてしない、俺がαだった時点で諦めているはすだ。
「知らないからね!?忠告したからね!」
「イヤイヤ、猪瀬さんなら安心」
「つうか、猪瀬もすげ~よな、主のイロを寝取ったってことだろ」
「てか、京極様も実はたいした事ないんじゃねぇ?側近に寝盗られってどうなんだよ」
「間抜け~」
…………コイツら、死んだな。京極はそれでも考慮する事があるが、安全パイに見える猪瀬は京極を侮辱するとタガが外れる。手段を選ばず制裁する。
守る義理はないけれど、夢見が悪いのもなぁ。
連中の所へ行こうとすると、タイミングよく(悪く?)西野が入ってきた
「おう、青島。せっかくのイケメンが歪んでいるぞ。因みに馬鹿は死なないと治らないから放置しとけ。助けてやっても逆恨みしかしないと思うぞ」
…………アレでも俺の番なんで、殺人犯とかにはしたく無いんだけど。まぁ、ヤツを守る義理もこれまた無いからな







しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...