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147ー猪瀬
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歯にこもっていた熱がひいていく。顎に力を込めるほどに犬歯の疼きが減っていく。
獲物が、ピクンピクンと身体を震わせた。
優しい香りが俺を包む。獲物を労ってやりたくなってきた。血の滲むそこをペロペロ舐めるとより充足感を得られた。霧が少し晴れてくる
そして直後に獲物からふっ飛ばされた。背中に痛み。窒息死しそうな威圧……威圧?貴嗣様の……!
貴嗣様が青島を組み敷いている。青島のうなじに噛みついている。
ソレはオレのものだ!違う!ソレは貴嗣様のモノだ!
貴嗣様!
青島が俺を見た。
香りが言う
『どうして助けてくれないの、俺はあなたのものでしょう?奪われていいの?助けて』
あれは俺のつがいだ。助けなければ。
違うあれは…
青島が喉を掻き毟る
息が出来ないのか!
「貴嗣様!今は駄目です!青島が死ぬ!アナフィラキシーで死んでしまう!」
オレの番が死んでしまう!
違う貴嗣様の番が死んでしまう!
心が2つに割れそうだ。
けれど、このままでは!
貴嗣様に俺の声が届かない。
違う、人のモノになるなら死んでしまえ、そう言っているのだ。
駄目だ、ソレはオレの番。殺させない
手首に巻いてあるスマートウォッチであらーを鳴らす。
今の貴嗣様に階下の部下達で何とかなるかは怪しいが、それでも放置よりは勝算がある。
「いい気味だわ。αも無理矢理番わされた苦しみ思い知るといい」
Ω女が言う
『そうか、もう迷いは無い』
ああそうか、そう言う事だったんどな、青島
痛みで体が動かない。けれど動いたとして、俺は二人を引き剥がした後、誰を抱きしめるのか。
「助けに行かないの、番が死ぬわよ」
「体が…」
「ああ、動きたくないのね。選べないから。貴方位なら本来動けるはずだもの」
Ωが鼻で嗤った
違う、そんなんじゃない。俺は痛みで動けないだけだ
俺は俺は……
階下の部下達が飛び込んで来るが、貴嗣様の状態に気遅れして動けずじまいだ。
「猪瀬!呆けているんじゃねぇよ!」
千葉が飛び込んできた。そのまま貴嗣様を引き剥がして青島にエピペンを注射した。
千葉には今回の事を連絡してないのにどうやって……コンちゃんか。
今回連れてきた者達には部外者に連絡する時間を与えたりはしなかった。青島が警戒する時間を少しでも減らしたかったから。おそらく千葉はすでにコンちゃんと出会っていて、本人が認識しているかは不明だがGPS を持たせていたのだ。そして今回 GPS の発信が途切れたから、おかしいと思って確認したのだろう。そしてこの部屋にたどり着いたのだ。元々コンちゃんを守る為にヤツは俺達の動きはマークしていたはずだ。
貴嗣様同様、番狂いとも呼べる状態だった千葉だ。GPS が途切れて狂乱したに違いない。さっさと番っておかなかった千葉のミスでもあるが。
千葉が周囲を見回す。噛まれたΩ達を見て怒気を強めた。ラットになっていた下衆αどもが本能的に部屋の端まで逃げて小さくまとまっている。
「彼女をこんな所に呼び出したのか、俺の番を!」
怒声とともに放たれた威圧にゲスαが失禁した。
千葉が怒りのままに貴嗣様に向かっていく。慌てて止めに入るが、蹴り飛ばされて終わった。……肋骨が数本いった。内蔵に刺さらなかっただけでも手加減してくれたのだと取るべきか。
弛緩剤が効いている貴嗣様も、俺同様に蹴り飛ばされ壁に激突してぐったりとしている。
千葉が自分の髪の毛をぐしゃぐしゃしたあと、深くため息をついた。そして青島のもとに行き、言う
「これからお前も含めここのΩを病院に連れて行く。公的なものではないが京極からも口出しはさせない。約束する。だから……一旦落ちろ。俺の香りはキツイはずだ。」
青島がぼんやりと千葉を見て、わずかばかりに頷いた。そして目を閉じる
青島は本能的に誰が安全かを見極める。あの旅行で宮下に懐いたように、今この場では千葉が自分の味方だと認識したのだろう、回ってない頭でも。
千葉が意識のない青島を抱き上げた。
「………!」
触るな!
それは俺のものだ。お前はなぜ目を瞑っている。なぜ身を預ける。なぜ俺じゃない。 俺を頼れ。俺はお前の番だ。なぜ お前は俺の番を抱き上げている
千葉が青島を抱き上げたまま俺のもとにやってきた
「俺には威圧を飛ばせるんだな、本能的に。……青島も酷なことを。猪瀬、お前も落ちておけ」
次の瞬間 視界が真っ暗になった
~~~~~~~~~~~~~~~~
忘れないで下さいね、読者様!
千葉も最悪のαです。
立ちんぼのコに酷い事をした最悪のαですよ~
獲物が、ピクンピクンと身体を震わせた。
優しい香りが俺を包む。獲物を労ってやりたくなってきた。血の滲むそこをペロペロ舐めるとより充足感を得られた。霧が少し晴れてくる
そして直後に獲物からふっ飛ばされた。背中に痛み。窒息死しそうな威圧……威圧?貴嗣様の……!
貴嗣様が青島を組み敷いている。青島のうなじに噛みついている。
ソレはオレのものだ!違う!ソレは貴嗣様のモノだ!
貴嗣様!
青島が俺を見た。
香りが言う
『どうして助けてくれないの、俺はあなたのものでしょう?奪われていいの?助けて』
あれは俺のつがいだ。助けなければ。
違うあれは…
青島が喉を掻き毟る
息が出来ないのか!
「貴嗣様!今は駄目です!青島が死ぬ!アナフィラキシーで死んでしまう!」
オレの番が死んでしまう!
違う貴嗣様の番が死んでしまう!
心が2つに割れそうだ。
けれど、このままでは!
貴嗣様に俺の声が届かない。
違う、人のモノになるなら死んでしまえ、そう言っているのだ。
駄目だ、ソレはオレの番。殺させない
手首に巻いてあるスマートウォッチであらーを鳴らす。
今の貴嗣様に階下の部下達で何とかなるかは怪しいが、それでも放置よりは勝算がある。
「いい気味だわ。αも無理矢理番わされた苦しみ思い知るといい」
Ω女が言う
『そうか、もう迷いは無い』
ああそうか、そう言う事だったんどな、青島
痛みで体が動かない。けれど動いたとして、俺は二人を引き剥がした後、誰を抱きしめるのか。
「助けに行かないの、番が死ぬわよ」
「体が…」
「ああ、動きたくないのね。選べないから。貴方位なら本来動けるはずだもの」
Ωが鼻で嗤った
違う、そんなんじゃない。俺は痛みで動けないだけだ
俺は俺は……
階下の部下達が飛び込んで来るが、貴嗣様の状態に気遅れして動けずじまいだ。
「猪瀬!呆けているんじゃねぇよ!」
千葉が飛び込んできた。そのまま貴嗣様を引き剥がして青島にエピペンを注射した。
千葉には今回の事を連絡してないのにどうやって……コンちゃんか。
今回連れてきた者達には部外者に連絡する時間を与えたりはしなかった。青島が警戒する時間を少しでも減らしたかったから。おそらく千葉はすでにコンちゃんと出会っていて、本人が認識しているかは不明だがGPS を持たせていたのだ。そして今回 GPS の発信が途切れたから、おかしいと思って確認したのだろう。そしてこの部屋にたどり着いたのだ。元々コンちゃんを守る為にヤツは俺達の動きはマークしていたはずだ。
貴嗣様同様、番狂いとも呼べる状態だった千葉だ。GPS が途切れて狂乱したに違いない。さっさと番っておかなかった千葉のミスでもあるが。
千葉が周囲を見回す。噛まれたΩ達を見て怒気を強めた。ラットになっていた下衆αどもが本能的に部屋の端まで逃げて小さくまとまっている。
「彼女をこんな所に呼び出したのか、俺の番を!」
怒声とともに放たれた威圧にゲスαが失禁した。
千葉が怒りのままに貴嗣様に向かっていく。慌てて止めに入るが、蹴り飛ばされて終わった。……肋骨が数本いった。内蔵に刺さらなかっただけでも手加減してくれたのだと取るべきか。
弛緩剤が効いている貴嗣様も、俺同様に蹴り飛ばされ壁に激突してぐったりとしている。
千葉が自分の髪の毛をぐしゃぐしゃしたあと、深くため息をついた。そして青島のもとに行き、言う
「これからお前も含めここのΩを病院に連れて行く。公的なものではないが京極からも口出しはさせない。約束する。だから……一旦落ちろ。俺の香りはキツイはずだ。」
青島がぼんやりと千葉を見て、わずかばかりに頷いた。そして目を閉じる
青島は本能的に誰が安全かを見極める。あの旅行で宮下に懐いたように、今この場では千葉が自分の味方だと認識したのだろう、回ってない頭でも。
千葉が意識のない青島を抱き上げた。
「………!」
触るな!
それは俺のものだ。お前はなぜ目を瞑っている。なぜ身を預ける。なぜ俺じゃない。 俺を頼れ。俺はお前の番だ。なぜ お前は俺の番を抱き上げている
千葉が青島を抱き上げたまま俺のもとにやってきた
「俺には威圧を飛ばせるんだな、本能的に。……青島も酷なことを。猪瀬、お前も落ちておけ」
次の瞬間 視界が真っ暗になった
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忘れないで下さいね、読者様!
千葉も最悪のαです。
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