【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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コンちゃんがいた。
この狂った宴にコンちゃんが!
でも他にもΩはいる。まだ誰がコンちゃんかを京極サイドはわかっていない。
なんでなんで首輪をしていないの。
あの首輪であれば、今までつけていたあの首輪であれば2段階認証だ。君のことだから指紋認証を自分の指になんてしているわけがない。あれがこの状況下で外せるわけがない
なんで……
ギクリとした
俺、だ。
俺とお揃いだから。だからあの首輪をやめたのだ。
コンちゃんの事だ。俺との連絡は絶っていても、俺の事を気にしてくれていたはず。俺が京極にやられているあの音声も聞いていたはず。俺がどの首輪をしていたかも想像が着いたはず
同じ首輪をしていたら誰がコンちゃんか確定していただろう。それを避けるためにだ。
コンちゃんが首をさらしているのは俺のせいだ…。

絶対に絶対に京極に誰がコンちゃんだかバレてはいけない
そして絶対にコンちゃんをこんなゲスαなどと番わせてはならない

弛緩剤のカプセルを口に含んだままに京極の元へと向かう
この薬は以前コンちゃんが俺にくれたものだ。大学に受かって、京極と俺が知り合った時にくれたもの
『陸、いい?これは弛緩剤よ。αが誘淫フェロモンを出してきた時に初めて作用する 弛緩剤。無味無臭だから京極に飲みに誘われた時にお酒に入れなさい』
『コンちゃん、俺男、俺α、そんなことにはならないって』
『お願いだから持っていて。これは私が陸 のために研究した薬なんだからね!?』
『分かった、ありがとう』
あんなやり取りがあった薬。本当に使う日が来るとは思わなかった。

京極は素直に俺の口づけを受け入れた。カプセルをそのまま渡したが、それすら飲み込んだ 。そして俺の口腔内を探る。他にもカプセルを隠し持っていないかを。
ヒート抑制剤は喉奥に隠し持っている。えずきそうになるのを必死にこらえて、やつの舌を受け入れる。
満足したのかヤツようやく離れる。そして淡く笑いながらいう
「陸のくれる物なら何でも受け入れるよ」
…………だったら何故!
何でも受け入れるというなら、俺に会えない苦痛を受け入れてくれ。毒薬ですら飲むというなら、俺と番えない未来も受け入れてくれ!

京極の背後に立った。
コンちゃんを見ないようにと思っているが 万が一 見てしまった時、京極はそれだけでわかってしまうから。
時計だけを見つめることを意識した。
一分が長く感じられる。早く早く!


やがて 約束の18時になる
ドアを開けに行き、けれど、ドアは開かなかった
その間にαの誘淫フェロモンが充満してくる。コンちゃんもヒートになった。俺も少し反応している
このままではまずい
口の中に隠し持っていた抑制剤をコンちゃんに与えた。嫌がるコンちゃんの顔を抑えつける。鼻を塞ぐ。苦しさに負けてコンちゃんが口を開け、カプセルを飲み込んだ。
「陸、なんで!私に渡している場合じゃない。あなたが狙われているのよ」
こんな時なのにコンちゃんは俺を心配してくれた。巻き添えになったのは君なのに。
『私は私が一番大事なの。京極が怖いの。ごめんなさい、陸……』そういっていたのに抑制剤を素直に飲まなかった。俺が頓服すべきだと抵抗してくれた。ありがとう。
確かに京極の狙いは俺だ。けれどここで コンちゃんがヒートになればゲスαたちがコンちゃんへと群がる。ここを抜けしてもヒートのまま屋外に出れば他の奴らに襲われる。それだけは避けなければならない。



















~~~~~~~~~~~~~~
前話、皆様の反応が怖かったのですが
温かいコメントや過去最多のエールをいただき、ありがとうございました。
猪瀬擁護派の方にも意外と受け入れていただき、ホッとしております。
物語も終盤戦になりました。
もうしばらくお付き合いいただけましたら幸いです。
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