【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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144-猪瀬

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充満したヒート臭にゲスα達がラットになって誘引フェロモンを発する。いや、この充填度合い、ラットになる前からフェロモンを発していただろうようだ。他のオメガも釣られてヒートに入っていく。皆一様に顔を赤くし体をピクピクとさせている
「コンちゃん!」
青島が1人の女を抱きしめ口づけをした。手で鼻を塞ぎ、喉が嚥下したのがを確認して離れた。
「陸!」
「コンちゃん、あと5分だ。なんとか耐えて」
青島もヒートに入りつつあるのだろう。
苦しそうにしている

「陸!私に抑制剤を渡してる場合じゃないでしょう。京極の狙いはあんたなんだからね」
己の震える体を抱きしめながら コンちゃんとやらが青島にいう。青島は抑制剤も口に含んでいたのか。あれだけ貴嗣様が青島の口腔内を舌で確認していたのに。喉奥にでも詰め込んでいたのか。
貴嗣様を見ると呪い殺しそうな目でコンちゃんを見ている。
けれどソファーを立つことはしない。青島が次に何をするか分かっているからだ。

青島が数桁の数字をつぶやいた後にコンちゃんとやらの右手を取って己の首輪に持っていった
カチャという音がして青島の首輪が外れる。やはりセカンド認証はコンちゃんの指紋だったか。
青島はそれをコンちゃんの首にまいた。
「暗証番号は後日ね」
リビングのドアのロックが解除された音がした。
「行って」
青島が力なくコンちゃんを押す
「でも陸…」
「俺はもう動けない。コンちゃんだけでも守りたいんだ。お願いだからここから逃げて安全な場所に行って。コンちゃんに何かあったら俺は自分を許せないから。コンちゃんからもらったお守りも使ったの見たでしょ?」
青島とは反対に抑制剤が多少なりとも効いてきたのであろう。こんちゃんはためらった後によろけながらもリビングを出て行った。
青島がずるりと壁に寄りかかる。

この部屋の中では青島のヒートが最も辛そうだ。…男Ωというのもあるのだがそれ以上に…恐らく青島は貴嗣様から誘淫フェルモンを受けている。自分の番がほかのαのフェルモンで発情するなど許せるわけもない。罰としてかなり強いフェルモンが放たれているのだろう
ゲスαどもはエリアにフェルモンを放つしかなかったが、αもΩも上位になれば狙ったターゲットのみにフェルモンを放つことができる。…おそらく青島もいずれはできるようになるだろう。また、変異したばかりだから難しいとは思うがその程度には上位Ωだ。
…項がチリチリする。
なんだ?
αの本能が何かを言っている。

部屋の中を見渡す。たった数分で周囲は酒池肉林といった状況になっていた。噛まれたΩもいるようだ。
「気の毒な事をする…」
息も絶え絶えに青島がいう。
「まぁ、あの程度のαであれば、上書きも可能だろう」
「…やっぱり最低だな、猪瀬は。猪瀬だったら上書きできんのか。」
…まぁ、中位までは可能だろう。位に差があればあるほど簡単に書き換えられる。
「大抵のαのは上書きできる。そのつもりはないがな。」
「迷いは消えたよ猪瀬」
「え?」
「…因果応報。嫌いじゃなかったよ、猪瀬…」
かすれた声で青島が何かを言ったが聞き取れなかった。
貴嗣様がこちらに来ようとして崩れ落ちたのが見えた。表情に焦りが見える。口をパクパクと動かしている。何を伝えようとしている?
「貴嗣様…!」
「筋弛緩剤だよ。……猪瀬、お前も地獄に落ちろ」
駆け寄ろうとした俺の腕を掴み、掠れた声で青島が俺に囁いた
次の瞬間、全身がカッと熱くなった。犬歯が疼き獣になった。
「ザマアみやがれ、……ようこそ…俺の番…」
誰かが俺の耳元で囁いてかみついた……。








~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
当社比、0.5がけで猪瀬を地獄にしました~(します)。
アンケートで猪瀬擁護派の方も多かったので!0.5かけ。
当社比!

私が書きたかったシーン。
陸が、コンちゃんにネックガードを譲るこのシーンが書きたかったのです。Ωの男の守り方。力無い者なりの、大切な者を守る姿勢。
それと、京極の前で陸が誰かと番い、京極サマに絶望を与えるシーンが書きたかったのです。

………………コメント欄が……怖いよお。
当方、豆腐通り越して飲むヨーグルトメンタルなので、御配慮いただけましたら幸いです………。





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