139 / 243
137
しおりを挟む
~~~~~~~~~~~~~~~~
注意!!
陸がとっても気の毒です
あり得ない位気の毒です。
作者史上、最も気の毒な回になります。
今でも、陸がかわいそう過ぎて読めん……という方は特に飛ばして下さい。
次話の冒頭に今回の概要を載せるので、この回の閲覧は自己責任でお願いします
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺に違和感を与えたまま蓮兄さんは家を去っていった。
喧嘩程度で、累兄さんがいるこの家を蓮兄さんが出て行くことはまずありえない。
それに、服のことだって誤魔化そうと思えば誤魔化せたはずだ。それをしなかった、何の目的で…
その答えはヒートになってわかった。
地獄、だった。
それは突然だった。
心臓をいきなり掴まれたかのような痛み。直後に上がる息。全身の血が沸騰したかのような熱さ。痛いくらに張ったペニス。疼く後ろ。
処理しても処理してもどうにもならない痒みににた感覚。
頭の中を何かが這い回っているような感覚に叫び声が出る。
シーツが肌に触れる、それだけでも神経を直接触られているような強い刺激に感じて。
苦しくて苦して…何かが香ってきた。
イイニオイ
そこに近づく。
カサカサ音がして、邪魔なそれを引き裂くとぶわりと広がって…それに顔をうずめた。体内を這い回る何かが少し大人しくなる。
ひもがピロっと出ている楕円のものがでてきた。
『助けが必要になったら引っ張って』
苦しい苦しい…紐を引っ張ろうとするとそのはずみで四角い布切れがでてきた
おいしそう…
匂いの強いそれを口にくわえてチューチューと吸い込む。
全身の熱が一点に向かい、弾け飛んだ。
「………!」
そして、理性が戻った。
俺は、京極がマーキングしたその服を抱きしめていた。
見たこともない、おそらくは京極のハンカチを口にくわえていた。
蓮兄さん…………!
何も、何も考えたくない。
……
全身がドロドロになっている。
…意識があるうちに水分をとってシャワーを浴びなければ…
リビングに向かうと、テーブルで臥せっていた兄が飛び起きた
「陸!」
抱きしめられそうになって慌てて手でけん制した。今の俺ははっきり言って汚い。なんだかわからない(わかりたくもない)液体まみれだ。
「水、飲むよね」
そう言ってスポーツドリンクと薬を渡された。
「ありがとう」
兄の顔を見る。ひどいクマだ。寝てないのか。
…当然か。苦しくて俺はずっと叫んでいた気がする。
「…ごめん陸、ヒートの抑制剤が市販薬しか手に入らなかった」
首を振った。
「ありがとう」
薬を流し込んだ。
Ωはヒート中の症状を軽くするために薬が処方される。それが俺には処方されなかった。
Ω科には通っていたが、緊急抑制剤は処方されていたがヒート用はもらえなかった。『後天性Ωはエビデンスが少ない。薬がどう作用してしまうか不明なので…』と断られた。どこの病院に行っても処方はされなかった。それが事実なのか京極が絡んでいるかは不明だ。処方してくれる病院を探している間にヒートが来てしまったのだ。
結局、兄が市販薬を買ってきてくれたのだ。
どう作用?
どんな副反応が出ようが今よりはましだ。無意識にベルを鳴らそうとしてしまうくらいなら、後遺症が残ろうが何だろうがましだ。
シャワーを浴びてシーツを洗濯機に放り込む。
リビングに戻ってゼリー飲料をとる。
「兄さん、このベル、俺がわからない場所に隠してくれない?」
「わかった」
このベルを壊すこともできる。けれど、それを口実に京極が乗り込んでくる可能性もある以上、俺が知らない場所に保管してもらうのが一番だ。
「…こんな事くらいしか役に立てなくて、ごめん」
「……」
首を振った。萎れた兄を見て同時に納得した。蓮兄さんの狙いはこれもだったのだろう。
兄に『お前じゃなんの力にもなれない』と知らしめるため。俺に『累に甘えるな』と警告するため。もう、俺には京極とどうにかなるしかないと実感させるため。『累を返せ』……ヒート用抑制剤が処方されなかったのは蓮兄さんが手を回した?…あり得る。嗤うしかないな。
また、熱が上がってきた。
薬とスポーツドリンクをもって部屋に向かった。
抑制剤が効いているのだろう、体中を何かが這いずり回るような痒みも先ほどまでよりは幾分ましになっていた。
これが、あと数日続くのか…
抑制剤を飲んで過ごすヒートは、別の意味で地獄だった。意識がある事による地獄
後ろがひどく疼いて、掻き毟りたくて、中をこすりたくて!
俺の体内をかき乱したアレが欲しくてたまらない!
棒状の物を探してしまいそうになる。
自分の指が後ろに伸びていきそうになって絶望する。
俺はαだ、男だ。いやΩだ、違う、俺は…
ネクタイを見つけた。
ネクタイで腕を縛った。こうすれば後ろをいじったりはできない!
机が見えた
机…
ふらりと向かう、その角に自分の後を当てがってハッとする。
嫌だ!
足を縛った。
身動きができないように。
熱がたまる。
ひたすら前をしごいた。
イってもイっても収まらない
後ろからはドロリとしたものがあふれ出ている。
「ハンカチ…」
京極の残したハンカチを咥える。こんなことはしたくない。俺をこんな目に合わせたヤツのフェロモンなんかに頼りたくない。なのに…!
「うう…」
恨む、恨むよ蓮兄さん。
俺のよだれと混ざってだんだんヤツのフェロモンが薄くなっている。
苦しさのあまりにブザーを探し…兄に預けたことを思い出す。
「きょ、ごく…」
地獄のようなヒートがあけた。
屈辱と惨めさ…
自分が、Ωになったのだと実感した。
注意!!
陸がとっても気の毒です
あり得ない位気の毒です。
作者史上、最も気の毒な回になります。
今でも、陸がかわいそう過ぎて読めん……という方は特に飛ばして下さい。
次話の冒頭に今回の概要を載せるので、この回の閲覧は自己責任でお願いします
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺に違和感を与えたまま蓮兄さんは家を去っていった。
喧嘩程度で、累兄さんがいるこの家を蓮兄さんが出て行くことはまずありえない。
それに、服のことだって誤魔化そうと思えば誤魔化せたはずだ。それをしなかった、何の目的で…
その答えはヒートになってわかった。
地獄、だった。
それは突然だった。
心臓をいきなり掴まれたかのような痛み。直後に上がる息。全身の血が沸騰したかのような熱さ。痛いくらに張ったペニス。疼く後ろ。
処理しても処理してもどうにもならない痒みににた感覚。
頭の中を何かが這い回っているような感覚に叫び声が出る。
シーツが肌に触れる、それだけでも神経を直接触られているような強い刺激に感じて。
苦しくて苦して…何かが香ってきた。
イイニオイ
そこに近づく。
カサカサ音がして、邪魔なそれを引き裂くとぶわりと広がって…それに顔をうずめた。体内を這い回る何かが少し大人しくなる。
ひもがピロっと出ている楕円のものがでてきた。
『助けが必要になったら引っ張って』
苦しい苦しい…紐を引っ張ろうとするとそのはずみで四角い布切れがでてきた
おいしそう…
匂いの強いそれを口にくわえてチューチューと吸い込む。
全身の熱が一点に向かい、弾け飛んだ。
「………!」
そして、理性が戻った。
俺は、京極がマーキングしたその服を抱きしめていた。
見たこともない、おそらくは京極のハンカチを口にくわえていた。
蓮兄さん…………!
何も、何も考えたくない。
……
全身がドロドロになっている。
…意識があるうちに水分をとってシャワーを浴びなければ…
リビングに向かうと、テーブルで臥せっていた兄が飛び起きた
「陸!」
抱きしめられそうになって慌てて手でけん制した。今の俺ははっきり言って汚い。なんだかわからない(わかりたくもない)液体まみれだ。
「水、飲むよね」
そう言ってスポーツドリンクと薬を渡された。
「ありがとう」
兄の顔を見る。ひどいクマだ。寝てないのか。
…当然か。苦しくて俺はずっと叫んでいた気がする。
「…ごめん陸、ヒートの抑制剤が市販薬しか手に入らなかった」
首を振った。
「ありがとう」
薬を流し込んだ。
Ωはヒート中の症状を軽くするために薬が処方される。それが俺には処方されなかった。
Ω科には通っていたが、緊急抑制剤は処方されていたがヒート用はもらえなかった。『後天性Ωはエビデンスが少ない。薬がどう作用してしまうか不明なので…』と断られた。どこの病院に行っても処方はされなかった。それが事実なのか京極が絡んでいるかは不明だ。処方してくれる病院を探している間にヒートが来てしまったのだ。
結局、兄が市販薬を買ってきてくれたのだ。
どう作用?
どんな副反応が出ようが今よりはましだ。無意識にベルを鳴らそうとしてしまうくらいなら、後遺症が残ろうが何だろうがましだ。
シャワーを浴びてシーツを洗濯機に放り込む。
リビングに戻ってゼリー飲料をとる。
「兄さん、このベル、俺がわからない場所に隠してくれない?」
「わかった」
このベルを壊すこともできる。けれど、それを口実に京極が乗り込んでくる可能性もある以上、俺が知らない場所に保管してもらうのが一番だ。
「…こんな事くらいしか役に立てなくて、ごめん」
「……」
首を振った。萎れた兄を見て同時に納得した。蓮兄さんの狙いはこれもだったのだろう。
兄に『お前じゃなんの力にもなれない』と知らしめるため。俺に『累に甘えるな』と警告するため。もう、俺には京極とどうにかなるしかないと実感させるため。『累を返せ』……ヒート用抑制剤が処方されなかったのは蓮兄さんが手を回した?…あり得る。嗤うしかないな。
また、熱が上がってきた。
薬とスポーツドリンクをもって部屋に向かった。
抑制剤が効いているのだろう、体中を何かが這いずり回るような痒みも先ほどまでよりは幾分ましになっていた。
これが、あと数日続くのか…
抑制剤を飲んで過ごすヒートは、別の意味で地獄だった。意識がある事による地獄
後ろがひどく疼いて、掻き毟りたくて、中をこすりたくて!
俺の体内をかき乱したアレが欲しくてたまらない!
棒状の物を探してしまいそうになる。
自分の指が後ろに伸びていきそうになって絶望する。
俺はαだ、男だ。いやΩだ、違う、俺は…
ネクタイを見つけた。
ネクタイで腕を縛った。こうすれば後ろをいじったりはできない!
机が見えた
机…
ふらりと向かう、その角に自分の後を当てがってハッとする。
嫌だ!
足を縛った。
身動きができないように。
熱がたまる。
ひたすら前をしごいた。
イってもイっても収まらない
後ろからはドロリとしたものがあふれ出ている。
「ハンカチ…」
京極の残したハンカチを咥える。こんなことはしたくない。俺をこんな目に合わせたヤツのフェロモンなんかに頼りたくない。なのに…!
「うう…」
恨む、恨むよ蓮兄さん。
俺のよだれと混ざってだんだんヤツのフェロモンが薄くなっている。
苦しさのあまりにブザーを探し…兄に預けたことを思い出す。
「きょ、ごく…」
地獄のようなヒートがあけた。
屈辱と惨めさ…
自分が、Ωになったのだと実感した。
122
お気に入りに追加
1,572
あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜
車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる