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ソファにすわっている京極の後ろ姿が見えた。
フロントでコンシェルジュに警備の依頼をしていると後ろから抱きつかれた
「……!」
「陸!」
暴れてもヤツとの体格差は歴然で、全く力が緩む事も無い
「ああ、良い香り。私を求めている」
首筋をクンクンとされてゾワリと鳥肌が立った。
「離せ!」
「…………京極様。青島様が嫌がってますよ。黙認は出来かねます」
コンシェルジュの離さなければ警備を呼ぶ、その言葉にしぶしぶ京極が応じた。
「こんな時間は珍しいね。何処へ移動するの?」
「…………今日はここで過ごす」
この状態の京極と外に出るのは危険だ。
猪瀬が俺を脅したあの日から何度も会合を重ねた。約束をした上での人目の多い場所での会合、手足を拘束して勉強を教わる日々に警戒が緩んでいたのかもしれない。
俺らは友達や家庭教師のような穏やかな関係では無かった。
向かい合った京極はギラギラとした目で俺を見る。欲情を隠そうともしない。
…………この状態で3時間も過ごすのか。
隙を見せれば喰われる、そんな恐怖がある。勉強どころではない。
「いいニオイがするね」
「私に食べられたいって言ってる」
…………
「陸、そこ間違ってる」
パキッとシャーペンの芯が折れた。
この状況でミス無くいられるとでも!?
「集中出来てないようだね。そうだ、陸の好きな作家の新作を読むか?」
「え?出でたっけ?」
「まだ、和訳はされてないが…」
「……いや、それは無理」
ヘブライ語なんて読めん
「読んであげる」
…………
この男の凄さを実感する。
スマホに映った文字列を単純に和訳するのではなく、このシリーズをずっと翻訳してきた人の作風のままに読み上げる。
AIに勝てるかもな。
このあたりは素直に認めざる得ない
「なに?そんなに私を煽ってどうしたいの?」
…………
押し黙る俺に続け様にいう
「美味しそうだ」
「舐め取りたい。」
「陸の蜜は甘いんだろうな…」
…………
誰か、このセクハラ爺をどうにかしてくれ
でも、何故、今日はこんなに変なのだろう……
「どうぞ」
コンシェルジュがハーブティーを持ってきた。
何杯目だろ……
けれど、間が持たないので貰うことにする。
一杯目の時は舌打ちしていた京極も無言で飲んでいる。
『ここは住人の方へのホスピタリティを謳っているマンションですから、こちらで過ごされるのであれば、ご協力をいただきたく…』
何でも、気分が落ち着く成分が入っているらしい
…………本当か?
こんだけセクハラ発言しているのに?
ただ、京極も大人しく飲んで居るから毒では無いのだろう
コンシェルズの瞳には俺を心配するものと、あとこの仕事へのプライドというものが現れているようにも見えるし、多分大丈夫なのだろう
それより何杯も飲んでいるからだいぶトイレが近い
席を立つと京極が言う
「どこへ行くの」
「トイレだよ トイレ」
「そんな美味しそうな匂いでトイレに何か行ったら危険だ。私もついていく」
「……」
俺を美味そうと欲望を隠そうともしないこのαと一緒にトイレに行く方がやばい。とはいえこのままでは大惨事が待っている。
「京極様。私どものマンションのセキュリティは完璧でございます。青島様がお1人で向かわれても何ら問題はないかと思いますが、ご心配であれば私どもがトイレが無人かどうか確認してまいります。その上で入り口付近に待機してにおります」
「…分かった」
……
それはそれで嫌だが背に腹は代えられない。コンシェルジュに甘えることにした。
トイレから戻る
俺の腹がここまでタプタプ ということは、同じ量の水分を取っている京極も限界が近いはず。一度トイレに行かせてやるべきだろう
足のロープを緩めようと京極に近づいた
……近づくんじゃなかった
やつの股間が大きく盛り上がっていた。
変態か!?
よくよくやつの顔を見ると少し汗ばんでいた。息もいつもよりかは浅い気がする。
今日のコイツは最初からずっと変だった。
まさか俺と会ってからずっと この状態だったのか
『美味しそうなニオイ』
俺のフェロモンが強くなっていたのか。ソレにヤツが反応していたのか。
この状態でも……俺に手を出すことはしなかったのか。同じ男だから辛さは分かる…………けど。
けれど……
フロントでコンシェルジュに警備の依頼をしていると後ろから抱きつかれた
「……!」
「陸!」
暴れてもヤツとの体格差は歴然で、全く力が緩む事も無い
「ああ、良い香り。私を求めている」
首筋をクンクンとされてゾワリと鳥肌が立った。
「離せ!」
「…………京極様。青島様が嫌がってますよ。黙認は出来かねます」
コンシェルジュの離さなければ警備を呼ぶ、その言葉にしぶしぶ京極が応じた。
「こんな時間は珍しいね。何処へ移動するの?」
「…………今日はここで過ごす」
この状態の京極と外に出るのは危険だ。
猪瀬が俺を脅したあの日から何度も会合を重ねた。約束をした上での人目の多い場所での会合、手足を拘束して勉強を教わる日々に警戒が緩んでいたのかもしれない。
俺らは友達や家庭教師のような穏やかな関係では無かった。
向かい合った京極はギラギラとした目で俺を見る。欲情を隠そうともしない。
…………この状態で3時間も過ごすのか。
隙を見せれば喰われる、そんな恐怖がある。勉強どころではない。
「いいニオイがするね」
「私に食べられたいって言ってる」
…………
「陸、そこ間違ってる」
パキッとシャーペンの芯が折れた。
この状況でミス無くいられるとでも!?
「集中出来てないようだね。そうだ、陸の好きな作家の新作を読むか?」
「え?出でたっけ?」
「まだ、和訳はされてないが…」
「……いや、それは無理」
ヘブライ語なんて読めん
「読んであげる」
…………
この男の凄さを実感する。
スマホに映った文字列を単純に和訳するのではなく、このシリーズをずっと翻訳してきた人の作風のままに読み上げる。
AIに勝てるかもな。
このあたりは素直に認めざる得ない
「なに?そんなに私を煽ってどうしたいの?」
…………
押し黙る俺に続け様にいう
「美味しそうだ」
「舐め取りたい。」
「陸の蜜は甘いんだろうな…」
…………
誰か、このセクハラ爺をどうにかしてくれ
でも、何故、今日はこんなに変なのだろう……
「どうぞ」
コンシェルジュがハーブティーを持ってきた。
何杯目だろ……
けれど、間が持たないので貰うことにする。
一杯目の時は舌打ちしていた京極も無言で飲んでいる。
『ここは住人の方へのホスピタリティを謳っているマンションですから、こちらで過ごされるのであれば、ご協力をいただきたく…』
何でも、気分が落ち着く成分が入っているらしい
…………本当か?
こんだけセクハラ発言しているのに?
ただ、京極も大人しく飲んで居るから毒では無いのだろう
コンシェルズの瞳には俺を心配するものと、あとこの仕事へのプライドというものが現れているようにも見えるし、多分大丈夫なのだろう
それより何杯も飲んでいるからだいぶトイレが近い
席を立つと京極が言う
「どこへ行くの」
「トイレだよ トイレ」
「そんな美味しそうな匂いでトイレに何か行ったら危険だ。私もついていく」
「……」
俺を美味そうと欲望を隠そうともしないこのαと一緒にトイレに行く方がやばい。とはいえこのままでは大惨事が待っている。
「京極様。私どものマンションのセキュリティは完璧でございます。青島様がお1人で向かわれても何ら問題はないかと思いますが、ご心配であれば私どもがトイレが無人かどうか確認してまいります。その上で入り口付近に待機してにおります」
「…分かった」
……
それはそれで嫌だが背に腹は代えられない。コンシェルジュに甘えることにした。
トイレから戻る
俺の腹がここまでタプタプ ということは、同じ量の水分を取っている京極も限界が近いはず。一度トイレに行かせてやるべきだろう
足のロープを緩めようと京極に近づいた
……近づくんじゃなかった
やつの股間が大きく盛り上がっていた。
変態か!?
よくよくやつの顔を見ると少し汗ばんでいた。息もいつもよりかは浅い気がする。
今日のコイツは最初からずっと変だった。
まさか俺と会ってからずっと この状態だったのか
『美味しそうなニオイ』
俺のフェロモンが強くなっていたのか。ソレにヤツが反応していたのか。
この状態でも……俺に手を出すことはしなかったのか。同じ男だから辛さは分かる…………けど。
けれど……
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