【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

文字の大きさ
上 下
135 / 243

133

しおりを挟む
最近は大学に行っても絡まれることが減った。俺と京極が週一であっているのが周知され始めたのかもしれない。最高位αの執着相手という認識になっているのだろう。そういえば、俺を冷やかしたあの男、最近見ないような…

「どうした、青島?」
「いや、最近あいつを見ないなって、あの金髪のやつとか、ロン毛のやつとか…」
西野が曖昧に笑った。
……まさか…

『よっぽど具合がいいんだろうなぁ?なんせあの京極様を誑し込むくらいだ。あっお島く~ん。俺ともどう?』
『あんあん、いい声で啼いてたよなぁ。思い出すだけでタチそうだぜ。』
脳裏によみがえる声。
振り払うように首を振る
『陸は淫乱だね。私を加えこんで離さない』
耳を押さえる
時折フラッシュバックのように思い出してはパニックになりかける

「陸!じゃない、青島!大丈夫か!ゆっくり呼吸しろ!」
『こんなのはなぁ、生理現象なんだよ!植物人間だってションベンはする!』
深呼吸した。
あれは生理現象だ。
おれは淫乱なんかじゃない

「大丈夫だ、ごめん」
泣きそうな顔の西野に言う
はふっとため息をついた。
あいつら…
最高位αの執着相手に対して欲情を表せばどうなるかなんてわかりそうなものなのに。
番ってなかったから、ヤツの俺への執着が薄いと誤解していたんだろう。
明後日、京極に会ったときに確認をしなければ。
俺をからかってきた奴らだけれど、あいつらの人生を壊したいとかは思わない。
ただ、奴らの記憶からあの時の俺を消してほしいとは思うけど


隣の西野が「さっきの講義で写せなかったところががあるからノート見せてくれ」という
西野でもそんなミスをする日があるんだなと笑ってしまった。
「ほらよ」
「ありがとう」




兄のマンションに戻って講義の内容を見返していると…
『今週の面会は今日にしておけ』
という走り書きがあった。西野の字だ。急いで書いたというのが伝わってくる字。
西野には、週一で京極に会っているという話はしていないけれど、やはりα社会には知れ渡っているのだろう

……
どういう事だ?
もう夕方だ。
これから京極に連絡をつけても三時間も会っていたらもう真っ暗になる。
そんな時間に京極に会いに行くのは危険だ。人目がなさすぎる。
『今後、俺の事は信じるな』
西野の言葉
だが…

『陸!じゃない、青島!大丈夫か!』
西野のあの時の泣きそうな顔は本物だった。

今日、か…

『今日、累と三人で晩御飯を予約しておいた。予定を開けておけ』
今朝、珍しく蓮兄さんからも誘われた。
…………

『1時間後、マンションのロビーで』
京極にメッセージを送った。
蓮兄さんよりも、俺を信じるなと言った西野に従いたい。

そして1時間も経たないうちに京極がやってきた……。


















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ただ、奴らの記憶からあの時の俺を消してほしいとは思うけど』
陸!
京極にそんなことを言っちゃだめだよ!?
パツキン達、廃人にされちゃうからね?
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

アルファな俺が最推しを救う話〜どうして俺が受けなんだ?!〜

車不
BL
5歳の誕生日に階段から落ちて頭を打った主人公は、自身がオメガバースの世界を舞台にしたBLゲームに転生したことに気づく。「よりにもよってレオンハルトに転生なんて…悪役じゃねぇか!!待てよ、もしかしたらゲームで死んだ最推しの異母兄を助けられるかもしれない…」これは第二の性により人々の人生や生活が左右される世界に疑問を持った主人公が、最推しの死を阻止するために奮闘する物語である。

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...