【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

125-猪瀬

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124-125話、猪瀬がかなりクズいです。
閲覧注意です
飛ばしても意味は通じるので、必要に応じて飛ばして下さい
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京極に戻るとすっかり窶れた貴嗣様がいた。
夜、眠れていないと聞いている。
青島のあの首輪のせいだ。
青島は何処までも残酷だ。
やっと噛める、やっと番える、そう思っていた貴嗣様に
『番う位なら死んでやる！』
と宣言したのだ。

ラットになった貴嗣さまが首輪を噛み千切らなかったのは奇跡だ。
噛みちぎっていたら、青島は死んでいた。自らの手で番を殺してしまった上位αの精神が無事であれるはずも無い。

貴嗣様は青島を殺してしまう夢を見ては飛び起きているらしい。

…………許さない。
貴嗣様を殺そうとした青島を許さない。

貴嗣様がピクリと反応する。
深呼吸で気分を変えた。
高位になってくると、ウィークポイントでもある番への害意を感じ取れてしまうのだ。

「青島とあってきました。週に一回3時間面会が可能です。」
「陸と会えるのか」
貴嗣様が嬉しそうに言う。

青島の良さは俺には全くわからない、いや 分かっていたら今頃無事では済まないか

正直なところ 接近禁止命令 なんて無視することは可能だ 
ただ、青島のあの首輪の存在がネックとなっている
俺たちαの間では奴がしている首輪を忌々しさも込めて、鋼鉄の処女とか貞操帯と呼んだりもしている。
無理やり首輪を外せば頸動脈のそばで爆発し装着者を死にいたらめ、そして何より装着者の設定で自爆させることもできるのだ。
さすがに問題なので標準装備では使えないが少し調べればその方法が出てくる
昔とは異なり、Ω×Ωの夫婦もいる。医学も発展して薬を飲めば何とかなる世になった。青島とコンちゃんとやらはβ夫婦のような関係になりえるのだ。…体への負担も大きいから寿命は短いが。
青島が諦めきれずにコンちゃんとの未来を願っているなら、ネックガードで自殺なんてことはしないとは思うが、既に諦めていたら？窮鼠猫を噛むと言うか青島の捨て身の攻撃が予測できない。
デジタルタトゥー覚悟であんなライブ中継をするようなヤツだ。何をどうするか不明すぎる。
どちらにしろ貴嗣様に首を噛まれたら終わりなのは変わらない。番解除の研究も進んで入るが、京極の番契約を無効にしようとする兵はいない。

夢を見るという。
青島の首がコロコロと転がって行く夢。
噛んで噛んだら青島の首がころりと。あの首輪はギロチンでもないし首がスパンと離れる訳が無い。
だが、それほどに貴嗣様に衝撃を与えたという事だ。
青島ほどαに酷いヤツを俺は知らない。

ヤツには決死の覚悟がある
だから貴嗣様も強引な手段には出ていない。

「陸から電話がかかってくるのか……」
…………電話とは限りませんが。
「初だな」
…………その程度で喜ばないで下さい
耳元で陸の声が…………とでも思っているのだろう
……この、恋愛童貞が！


その恋愛童貞にはメーセージアプリでの連絡だった。
『1時間後、時計台の前で』
青島は拉致られるのを警戒しているはずだ。ならば先回りした所で意味がない。どうせ時計台から移動させられるだろう。貴嗣様単身で向かわれた。
そして、想像通り、人目の多い公園へと指示され移動し、3時間を過ごしたという。

その後も会合は行われた。青島からの連絡は突然で『1時間後、ドコソコの前で』といったものだ。都合がつかないと言えば、『俺は会合を申し出た。そっちが断ったのだから今週は無しで。』と言われてしまう。
貴嗣様は青島のスケジュールに合わせて仕事を終わらせる用になった。
凄まじい集中力だった。餌をちらつかされた獣のポテンシャルを見た気がした。
青島を番に出来なかった事で貴嗣様を見下していたα達も直ぐに態度を改めた。

これでこそ、私の王、私の主だ。