【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

認認家族

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猪瀬が肩を竦めた
「俺は他のネタも持っているぞ。だが青島 が俺たちの話を聞くのであれば今後このようなことはしない」
これに乗らなければ、また兄を利用するというのか。
俺のせいでまた兄が傷つくのか

「分かった。ここにあと10分はいる。それ以上は部屋に戻る」
話をきけば、なんて基準が曖昧だ。隙を与えてはいけない

「蓮兄さん達は部屋に戻っていて」
ここに兄が残っていてもいいことは何もない。腐ったαどもに傷つけられるだけだ。

いやだと首を振る兄を蓮兄さんが抱きかかえて去っていく。
自分自身が完全に脅し材料にされたことに 兄は責任を感じている。それを喜びを押し殺して蓮兄さんは兄を慰めるのだろう
ため息が出た。

距離をとって 猪瀬と対峙する
猪瀬の目には俺に対する憎しみが宿っていた。
以前は憐憫の目を向けられたが、俺が京極を貶めた事で憎悪へと変わったのだろう

「貴嗣様と会え」
言われると思った
「接近禁止命令が出ているけれど?」
「青島から近づく分には問題ない」
「お断り」
そうは言いながらも、強引に拉致らなかった事を不思議に思う。
「青島さん、私からもお願いします。京極貴嗣様に会っていただけませんか」
年配の男が言う
この男、どこで見たんだっけ?ああ、そうだ。テレビだ。日本のトップのその補佐官だ。
京極家はこれほどの権力を持つ人間をこんなくだらないことに使える立場なのか
「お断りします」
「あなたはこの国がどうなってもいいのですか!」
大げさな。いくら京極といえど自分達の本拠地を破壊したりはしない。政権交代までだろう。
猪瀬をちらりと見ると、やつはゆったりと足を組んでいた。やはりそういうことか
京極が政権に擦り寄ったのではなく低支持率に喘ぐ政権側が京極を頼ったのだ。海外にある工場を日本にもってくればそれだけで景気が上向き評価も上がる。
権威ある者を連れてくれば何とかなると思ったのか?だが猪瀬の態度を見るにそれほど成果を期待していないようだった
ではなぜ連れてきたのだろう
「俺が断ったところでこの国に影響するとは思えません。あなた方の政権が倒れるくらいでしょう?」
「今の野党が政権を取ったらどうなるかぐらい想像つくでしょう!」
どうなるというのだろう?
この国は官僚が動かしている。そして上の官僚は大抵α、しかも中位のα、稀に上位αがポロリ
つまりは変わらない。
今の政治家が無職になるか否か程度だ。

「俺には、どんな変化が起きるのかわかりません。だから、俺が折れる意味がない」

「まぁ、そうだろうな。予想通りだ」

脚を組んだままに猪瀬が言った

全く期待していなかった、そう態度で示している。
ならば、何故

「京極はどこが政権を取ろうが構わん」

「そんな…。私達にお力添えをお願いします。青島さん、お願いします」

「青島様だ。コイツは貴嗣様の番になる。敬え」

「青島様、お願いします。」
男に土下座された。ふん反り返った猪瀬。とてつもなく不愉快な光景。見ていたくなんてない
けれど…………俺は頷けない

「その程度か。役にたたんな。……青島、貴嗣様を貶めて満足か。随分と用意周到な罠だったな」

「…………」
コイツは何を言っているのか。
確かに俺は襲われたときのための準備はした。けれど、京極がそんな事をしなければ不要だった。

「いつから気がついていた。首輪にしろライブ配信にしろ準備期間が必要だったはずだ」

…………防犯ベルについては触れないのか。借り物だと知っているのか。あのΩは今も無事なのか

「……あんたが言ったんだよ。具合を悪くした西野を運ぼうとした時に、俺では運べないと断言した。低下していく筋力を気のせいと、ビッチングを都市伝説とそう思おうとしていた俺に決定打を与えたんだ」

「…………そうか。」

どう出る?猪瀬。
お前のミスと言われて隠すか、それとも……















































~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
頑張れ陸!
負けるな陸!
………………負けるけど。
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