【本編完結済】底辺αは箱庭で溺愛される

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俺の言葉に、猪瀬は顔を強張らせた。覚えているのだろう。
『嘘をつくなら真実を混ぜろ』昔から言われていることだ。
京極が西野に威圧を振るって俺が医務室に運ぼうとしたとき、あの時猪瀬が言った『お前には運べない』という言葉がどれほどの衝撃だったか。
認めたくないと止まってくれと願っていた俺の僅かな希望すら打ち砕いた。
『お前の身体はもうΩなのだ』
猪瀬は俺にそう言ったようなものだった。
表情を取り繕う事すら不可能だった。
Ω値を測る試験紙の目盛りが少しづつ上がっても信じたくなかった。
微熱ですらパニックを起こしてが出でOD（オーバードーズ）手前まで解熱剤を飲んだ。…………兄に見つかって無理矢理嘔吐させられたけれど。
そんな状態の俺に猪瀬は言ったのだ
『青島、お前では意識のない西野は運べない。』
αという俺の、死刑宣告にも聞こえた。
あの時、俺はなんて返しただろう……。猪瀬の言葉でパニックになってその後の事は覚えていない。
ただ、猪瀬のこの態度、やっぱり俺はあの時平静ではいられてなかったらしい。

顔をこわばらせた猪瀬だったが 切り替えも早かった
「ならば、余計に青島と貴嗣様を会わせなければならないな。俺が貴嗣様の希望を折ってしまったのだから。」

…………買収は無理か。まぁ、多少は想像がついていたけれど。猪瀬はミスの隠蔽なと京極に対してはしない。『心臓を捧げよ！』どっかの騎士のようにひたすらに忠誠を誓うのみだ。

「青島、これに見覚えはあるか」

あの日の防犯ベルの残骸を猪瀬が俺に見せた。そしてそれを補佐官に渡した

「やめてくれ！」
破壊されたΩの防犯ベルをΩ保護課以外が調べることは禁じられている。重犯罪とされる。だから、調べるなら足がつかないようにする、京極と言えども時間を要する作業のはずだ
でもこの国のトップであれば別だ。足跡など気にせず調べられる。直ぐに発覚する。

「貴嗣様に会いにくるか？」

手のひらにある残骸を見つめて頷いた。
「ただし、場所は俺が指定する」

猪瀬がわざとらしく眉跳ね上げる。けれどヤツが指定する場所になど行ってたまるか。自らアリ地獄などには行かない

「週に一回、3時間以上」
譲歩案の用に猪瀬が言い、男が手のひらを俺に見せつける。
打ち合わせしたわけでもあるまいに、忌々しい

「分かった」

猪瀬が残骸を男から受けとった。
「青島がこの約束を守っている間は調べない」

頷いた。
俺を助けた事で、あの子が悲惨な目に合うなど許されない

「青島から会いにくるんだ、接近禁止命令は無効だな」

ポツリと猪瀬が呟く。

「そうですね。京極貴嗣様に出ているものですので、青島様から会いに行かれるので無効です」

殴りかかれるなら殴りたい。
俺がどんな思いでこれを勝ち取ったのか。何を犠牲にしてまで得たものなのか。
コイツらは、俺のそれまでをぐしゃぐしゃに踏みにじる。




























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陸のリベンジ、瞬殺された　(TOT)