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もう暫く兄の家から通うことになった
蓮兄さんは当然のことながら反対したが 兄が押し切った形だ。とはいえずっといる気はない。それはあまりにも愚行だ。
リモート受講はやはり却下された。
ネックガードをつけて通うが、正直つらいものがある。
俺が帝都大の評価を下げたから、学生からの風当たりもかなりきつい。
一部の人は俺に同情的ではあるが、それを表明もできない状況にある。
ま、簡単に言うと、一部のαによるイジメだ。
「あ~あ。後天性Ωのせいで大学のレベルがさがるわぁ」
「京極様を誘惑したくせにね」
「つぅうか、ヤツだってあんあん言ってたじゃん?」
「よっぽど感度がいいんだな」
くすくす嗤われる。
「……」
覚悟はしていたはずだ。
それでも………
こぶしをぎゅっと握った。
席を立とうとして…耐えた
大学の狙いはこれだ、俺が耐えられなくなって自主的に退学する。講義を受けれなくなれば単位がもらえなくなる。留年か退学か、どちらかしかない。学生で無くなった俺がどうなろうと関係ない。
大学の良心に賭けて、そして、俺は負けたのだ。
「青島~今日の講義さぁ…」
それまでの空気感をものともせず西野が話しかけてきて隣に座る。西野は今までと変わらない。西野と講義が被るときは陰口も減る。上位αの存在とはそういうものだ
はぁ、っとため息をついた。
「お疲れ様」
笑いながら言われる。
「あんがとな」
「俺に惚れるなよ?」
「誰が惚れるか、ボケ。俺にはコンちゃんが…」
コンちゃんが…の続きは言えなかった。
コンちゃんからの連絡はない。
バカ陸ばか陸、そう言ってるだろうな…
リモート受講届がすんなりと受理されるかは賭けだったのだ。俺は大学の理念に賭けてそして敗けた。
だから、保険を使うしかなかった。そして保険があったから京極の接近禁止を勝ち取れた。
あのライブ中継を選ばなければ、俺には番か退学しかなかった。いや、番しかなかったろう。永遠に兄の部屋に隠れ続けられるなら退学だけだが、いずれは蓮兄さんに追い出されるだろう。兄と二人でいる時間を奪った代償に恐らくはロクでもない方法で京極へ献上される。その直前に逃げ出しても京極に捕まるし、万が一逃げ切って行方をくらませても大学中退のΩに、番のいないヒートのあるΩに働き口なんてない。
だから…
『ヤツだってあんあん言ってたじゃん?』
こんな言葉に屈してたまるか。
この大学を卒業して、フルリモートの会社に就職してやる!
……本当は、義父さんの会社を継ぎたかった。けれど番のいないΩに社長業は不可能だし、何より従業員という守らねばならないものを得た俺に京極がどう出るかなんてわかりきっている
「陸、チョコレートやるから元気出せ」
西野が差し出したGABAチョコを食べる
「…陸、お前まだΩの自覚ないな」
「???」
「…食べ物には用心しろ。特にお前個人に出される食べ物に。俺が催淫剤でも入れていたらどうするんだ」
「…西野はそんな事しないだろ。それに…」
京極に執着されている俺をレイプするαがこの大学にいるとは思えない。αの執着は同じαならわかっているはずだ。
「催淫剤以外かもしれない。するしないじゃなくて、用心しろってことだよ。どんな奴でも。京極だけじゃなく俺も…」
最後の一言はなんとか聞き取れる程度の音量だった。
そう、だ。
蓮兄さんだっていずれ俺を京極に献上する。義兄でも。ならばここにいるαたちはもっと簡単に俺を売るだろう。
「それに、アホいαもいるからな。危機管理能力のあるαならあんな発言はしねぇし。高位αの執着がわからないバカなαほど、Ωは警戒したほうがいい。」
……吐き気がしそうだ。
俺を売りたい野心家α
京極を夢中にさせた俺を味わってみたいアホα
…じゃぁ、西野は?
『お前は友人だ。けど俺には……』
西野は守らなければならないモノがあるα
俺には…俺を一番に考えてくれる人などいない。
蓮兄さんは当然のことながら反対したが 兄が押し切った形だ。とはいえずっといる気はない。それはあまりにも愚行だ。
リモート受講はやはり却下された。
ネックガードをつけて通うが、正直つらいものがある。
俺が帝都大の評価を下げたから、学生からの風当たりもかなりきつい。
一部の人は俺に同情的ではあるが、それを表明もできない状況にある。
ま、簡単に言うと、一部のαによるイジメだ。
「あ~あ。後天性Ωのせいで大学のレベルがさがるわぁ」
「京極様を誘惑したくせにね」
「つぅうか、ヤツだってあんあん言ってたじゃん?」
「よっぽど感度がいいんだな」
くすくす嗤われる。
「……」
覚悟はしていたはずだ。
それでも………
こぶしをぎゅっと握った。
席を立とうとして…耐えた
大学の狙いはこれだ、俺が耐えられなくなって自主的に退学する。講義を受けれなくなれば単位がもらえなくなる。留年か退学か、どちらかしかない。学生で無くなった俺がどうなろうと関係ない。
大学の良心に賭けて、そして、俺は負けたのだ。
「青島~今日の講義さぁ…」
それまでの空気感をものともせず西野が話しかけてきて隣に座る。西野は今までと変わらない。西野と講義が被るときは陰口も減る。上位αの存在とはそういうものだ
はぁ、っとため息をついた。
「お疲れ様」
笑いながら言われる。
「あんがとな」
「俺に惚れるなよ?」
「誰が惚れるか、ボケ。俺にはコンちゃんが…」
コンちゃんが…の続きは言えなかった。
コンちゃんからの連絡はない。
バカ陸ばか陸、そう言ってるだろうな…
リモート受講届がすんなりと受理されるかは賭けだったのだ。俺は大学の理念に賭けてそして敗けた。
だから、保険を使うしかなかった。そして保険があったから京極の接近禁止を勝ち取れた。
あのライブ中継を選ばなければ、俺には番か退学しかなかった。いや、番しかなかったろう。永遠に兄の部屋に隠れ続けられるなら退学だけだが、いずれは蓮兄さんに追い出されるだろう。兄と二人でいる時間を奪った代償に恐らくはロクでもない方法で京極へ献上される。その直前に逃げ出しても京極に捕まるし、万が一逃げ切って行方をくらませても大学中退のΩに、番のいないヒートのあるΩに働き口なんてない。
だから…
『ヤツだってあんあん言ってたじゃん?』
こんな言葉に屈してたまるか。
この大学を卒業して、フルリモートの会社に就職してやる!
……本当は、義父さんの会社を継ぎたかった。けれど番のいないΩに社長業は不可能だし、何より従業員という守らねばならないものを得た俺に京極がどう出るかなんてわかりきっている
「陸、チョコレートやるから元気出せ」
西野が差し出したGABAチョコを食べる
「…陸、お前まだΩの自覚ないな」
「???」
「…食べ物には用心しろ。特にお前個人に出される食べ物に。俺が催淫剤でも入れていたらどうするんだ」
「…西野はそんな事しないだろ。それに…」
京極に執着されている俺をレイプするαがこの大学にいるとは思えない。αの執着は同じαならわかっているはずだ。
「催淫剤以外かもしれない。するしないじゃなくて、用心しろってことだよ。どんな奴でも。京極だけじゃなく俺も…」
最後の一言はなんとか聞き取れる程度の音量だった。
そう、だ。
蓮兄さんだっていずれ俺を京極に献上する。義兄でも。ならばここにいるαたちはもっと簡単に俺を売るだろう。
「それに、アホいαもいるからな。危機管理能力のあるαならあんな発言はしねぇし。高位αの執着がわからないバカなαほど、Ωは警戒したほうがいい。」
……吐き気がしそうだ。
俺を売りたい野心家α
京極を夢中にさせた俺を味わってみたいアホα
…じゃぁ、西野は?
『お前は友人だ。けど俺には……』
西野は守らなければならないモノがあるα
俺には…俺を一番に考えてくれる人などいない。
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