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118_猪瀬
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京極家の弁護士に連絡をし、こちらに来てもらう手はずを整えた
俺は執務室の方へと移動する。
大学のレンタルルームは防犯の意味を含めて完全な防音にはなっていない。
青島の助けを求める声で他の学生が動き出すと面倒だし、何より青島自身が 頓服したGPS の問題もある。通報を受けたΩ保護課が向かうだろう。それに対しての言い訳をしなければならない。
大学側もオメガ用の防犯ベルを鳴らされた以上見て見ぬふりはできぬはずだとはいえ 執務室に入る勇気もないだろう。俺が間に立つことでとりあえずの時間稼ぎはできる。その間に貴嗣様は青島を番にできるだろう
執務室から音が漏れている。青島が何がしかを叫んでいる声だ
まだ噛み終わってないのか
いつ番契約がなされるのか
大学側も俺も一刻も早くと願っているのに!
中出しして噛めば良いだけなのに!
耳をすませる。αの俺はβ達よりも音を拾える
青島の声が聞こえた。明確な声。ヒートは収まったのか、番契約がすんだ?その割に甘さがない。
「全てがお前の思い通りにいくと思うなよ!」
どういう事だ?
「外せ、外せ!」
貴嗣様の声。何を外せと?まさか……
「ざまあみやがれ!」
「外せ、外せ!」
狂ったように叫んでいる貴嗣様。これは……恐らく青島はネックガードをしているのだ。そして貴嗣様は、ラットになっている。
当然といえば当然かもしれない。
番を失うという心臓が凍りつきそうな恐怖の後の安堵、そして拒絶という悲しみの後に番えるという希望、そしてネックガードという絶望。
安寧と絶望を交互に与える、青島は有能な拷問官だ。
そこにヒートのフェロモンとくれば、いかに強かな精神の持ち主であるαといえどもラット堕ちするだろう。
だが……
貴嗣様がラットになってしまったのであれば、もうそれはそれで良しとする。
ラット状態の貴嗣様であれば、筋肉のリミッターも外れて首輪くらい噛みち切れるであろう。
俺は、そろそろやってくるであろうΩ保護課の隊員をどう言いくるめるかのみに注力すればいい。
「誰か!外にいるんだろう!GPSはここまで発信していたはずだ!」
青島の大声。βの大学職員まで聞こえる音量だ。
「京極貴嗣にレイプされてる!大学に届け出たヤツだ!」
職員が狼狽える。青島がナニをされているかなど知っていたはずだが、こう言われてしまっては…………といった所か。
「無視して下さい。もう暫くもすれば番契約が成立する。犬も喰わない喧嘩みたいなモノとなる」
職員の視線が泳ぐ
「猪瀬!大学!今までの音声全部ネットにライブ中継してんだぞ!いいのか!」
青島の言葉に絶句する。
ライブ中継?
貴嗣様がフェロモンレイプしている所が?
αならば理解は示すが、一般的には犯罪だ。
「猪瀬さん…」
「ブラフの可能性があります」
うろたえている職員を落ち着かせるために笑顔で言ってやるが、しかし頭は忙しなく動いていた
都市伝説としか言われていないビッチングに対しても警戒してネックカードをしてきた青島。それなりの技術を持つ監視員の目をくぐり抜けて大学までやってきた青島。 ならば一番避けなければいけない事態、ヒートに対する備えをしていない方が変だ。
だが こんなのは青島自身に対しての加害行為だ。デジタルタトゥーが残る。そのリスクがわからない青島ではあるまい。
「自殺行為であろうとも俺は京極貴嗣とは 番わない」
もう大声を上げる 体力すらないのか、 青島が小さな声で言っているのが聞こえた
ぞくりとした
青島の覚悟を見た気がした
ブラフではない可能性がある。
俺は執務室の方へと移動する。
大学のレンタルルームは防犯の意味を含めて完全な防音にはなっていない。
青島の助けを求める声で他の学生が動き出すと面倒だし、何より青島自身が 頓服したGPS の問題もある。通報を受けたΩ保護課が向かうだろう。それに対しての言い訳をしなければならない。
大学側もオメガ用の防犯ベルを鳴らされた以上見て見ぬふりはできぬはずだとはいえ 執務室に入る勇気もないだろう。俺が間に立つことでとりあえずの時間稼ぎはできる。その間に貴嗣様は青島を番にできるだろう
執務室から音が漏れている。青島が何がしかを叫んでいる声だ
まだ噛み終わってないのか
いつ番契約がなされるのか
大学側も俺も一刻も早くと願っているのに!
中出しして噛めば良いだけなのに!
耳をすませる。αの俺はβ達よりも音を拾える
青島の声が聞こえた。明確な声。ヒートは収まったのか、番契約がすんだ?その割に甘さがない。
「全てがお前の思い通りにいくと思うなよ!」
どういう事だ?
「外せ、外せ!」
貴嗣様の声。何を外せと?まさか……
「ざまあみやがれ!」
「外せ、外せ!」
狂ったように叫んでいる貴嗣様。これは……恐らく青島はネックガードをしているのだ。そして貴嗣様は、ラットになっている。
当然といえば当然かもしれない。
番を失うという心臓が凍りつきそうな恐怖の後の安堵、そして拒絶という悲しみの後に番えるという希望、そしてネックガードという絶望。
安寧と絶望を交互に与える、青島は有能な拷問官だ。
そこにヒートのフェロモンとくれば、いかに強かな精神の持ち主であるαといえどもラット堕ちするだろう。
だが……
貴嗣様がラットになってしまったのであれば、もうそれはそれで良しとする。
ラット状態の貴嗣様であれば、筋肉のリミッターも外れて首輪くらい噛みち切れるであろう。
俺は、そろそろやってくるであろうΩ保護課の隊員をどう言いくるめるかのみに注力すればいい。
「誰か!外にいるんだろう!GPSはここまで発信していたはずだ!」
青島の大声。βの大学職員まで聞こえる音量だ。
「京極貴嗣にレイプされてる!大学に届け出たヤツだ!」
職員が狼狽える。青島がナニをされているかなど知っていたはずだが、こう言われてしまっては…………といった所か。
「無視して下さい。もう暫くもすれば番契約が成立する。犬も喰わない喧嘩みたいなモノとなる」
職員の視線が泳ぐ
「猪瀬!大学!今までの音声全部ネットにライブ中継してんだぞ!いいのか!」
青島の言葉に絶句する。
ライブ中継?
貴嗣様がフェロモンレイプしている所が?
αならば理解は示すが、一般的には犯罪だ。
「猪瀬さん…」
「ブラフの可能性があります」
うろたえている職員を落ち着かせるために笑顔で言ってやるが、しかし頭は忙しなく動いていた
都市伝説としか言われていないビッチングに対しても警戒してネックカードをしてきた青島。それなりの技術を持つ監視員の目をくぐり抜けて大学までやってきた青島。 ならば一番避けなければいけない事態、ヒートに対する備えをしていない方が変だ。
だが こんなのは青島自身に対しての加害行為だ。デジタルタトゥーが残る。そのリスクがわからない青島ではあるまい。
「自殺行為であろうとも俺は京極貴嗣とは 番わない」
もう大声を上げる 体力すらないのか、 青島が小さな声で言っているのが聞こえた
ぞくりとした
青島の覚悟を見た気がした
ブラフではない可能性がある。
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